Aさん(70歳、男性)は、妻(68歳)と2人暮らし。3年前に筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉と診断され、在宅で療養生活を続けていた。その後、Aさんは症状が悪化し、入院して気管切開下の人工呼吸療法、胃瘻による経管栄養法を受けることになった。妻は、退院後に必要なケアの技術指導、人工呼吸器や胃瘻の管理方法、緊急・災害時の対応について病棟看護師から指導を受けた。退院前カンファレンスにおいて、訪問看護のほかに必要な在宅サービスについて検討することになった。妻は慢性腎不全のため、週に3回の血液透析を受けており、1回に約6時間の外出が必要である。 Aさんが利用する在宅サービスで最も優先度が高いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
療養通所介護は、医療依存度の高い利用者に対して、医療的ケアや機能訓練、日常生活上の世話などを一体的に提供するサービスです。特にがん末期患者や難病患者など、医療機関での治療が必要な状態の人が在宅で過ごすために適しており、高い医療ニーズに対応できる点で優先度が高いと考えられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、日中・夜間を通じて定期的な訪問と随時の対応を行うサービスですが、訪問時間は短時間です。妻が血液透析のために週3回、1回約6時間外出する間、人工呼吸器を装着したAさんを継続的に見守ることはできません。正しくは:病状が不安定で緊急対応のニーズが高い場合に選択肢となる。選びやすい理由:在宅での医療ニーズが高いと誤解し、24時間対応が必要と判断してしまう。混同注意:「訪問看護」が含まれるため、医療ニーズに対応できるサービスだと考えがちですが、個別のニーズによっては他のサービスが優先されることがあります。
- 2. 「通所リハビリテーション」は、身体機能の維持・回復を目的としたリハビリテーションを提供しますが、緊急性の高い医療ニーズがある場合には優先度が低いと考えられます。正しくは:身体機能の維持・改善が主な目的である。選びやすい理由:身体機能の維持も重要と考え、リハビリテーションの必要性を重視してしまう。混同注意:ADLの維持向上は重要ですが、医療的ケアの必要性とは直接結びつかないため、優先順位を誤ることがあります。
- 3. 「短期入所生活介護」は、家族の介護負担軽減や緊急時の宿泊を目的とするサービスであり、Aさんの具体的な医療ニーズに対応するものではありません。正しくは:在宅介護者の負担軽減や一時的な宿泊を目的とする。選びやすい理由:妻が透析で外出する間のAさんの預け先として、短期入所を思い浮かべやすいためです。しかし、短期入所生活介護は医療的ケアの体制が限られ、週3回の定期的な利用には適しません。混同注意:レスパイトケアとして有効ですが、Aさんの直接的な医療・看護ニーズに応えるものではありません。
- 4. 正解。療養通所介護は、難病や末期がんなどで常に看護師による観察が必要な重度の要介護者を対象とした通所サービスです。気管切開下の人工呼吸療法と胃瘻による経管栄養を受けるAさんが、妻の血液透析(週3回、1回約6時間)の間、看護師の観察のもとで安全に過ごすことができるため、最も優先度が高いサービスです。正しくは:医療依存度が高い利用者に対し、医療的ケアと機能訓練を提供する。混同注意:「通所リハビリテーション」と混同しがちですが、「療養通所介護」は医療依存度の高い方への医療的ケアが中心であり、重症度によって使い分けられます。
国試ポイント
在宅介護サービスの種類と、それぞれのサービスが対象とする利用者の状態や提供内容を正確に理解しているかが問われています。特に、医療ニーズが高い利用者に対するサービス選択が重要です。
混同注意
「通所リハビリテーション」と「療養通所介護」は、共に通所型のサービスですが、対象となる利用者の医療依存度や提供されるケアの重点が異なります。前者は主に身体機能の維持・改善を目的とし、後者は医療的ケアの提供が中心となります。
次に同じ論点が出たら
Aさんの具体的な疾病、ADL、医療依存度、家族の介護状況、生活環境などの詳細情報が与えられた場合、より適切なサービスを判断できる。
関連知識
介護保険サービスには、訪問サービス、通所サービス、短期入所サービス、施設サービスなど多様な種類があります。それぞれのサービスが持つ特徴や対象者を把握し、個々の利用者の状態やニーズに合わせて最適なサービスを選択する能力が求められます。