インシデントレポートについて適切なのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・4番
解説
インシデントレポートは、個人の責任を追及するのではなく、医療の安全性を高めるための情報収集ツールです(選択肢2)。そして、その分析結果は部署や職種を超えて組織全体で共有され、再発防止策の立案と実行に活かされます(選択肢4)。
選択肢ごとの解説
- 1. インシデントレポートの書式は、各医療機関が独自に作成・運用しており、法令による統一の義務はありません。医療機関の特性や報告内容に応じて柔軟に対応できるようにするためです。正しくは:書式は各医療機関が独自に定めている。選びやすい理由:医療安全に関わる重要な文書であるため、統一されていると思われがちですが、実際は各施設で最適化されています。混同注意:「医療安全」という言葉から、すべてが法的に厳格に定められていると誤解する可能性があります。
- 2. 正解。インシデントレポートは、医療事故やヒヤリ・ハット事例を客観的に記録し、原因を分析して再発防止策を講じるためのツールです。個人の責任追及を目的とすると、報告が滞り、情報が集まらなくなるため、原則として責任追及には使用されません。むしろ、安全文化を醸成するために、報告しやすい環境づくりが重要視されます。選びやすい理由:インシデントが発生したことで、どうしても関係者の責任が問われると思いがちですが、その報告自体はあくまで改善のためです。混同注意:「報告」という行為が「責任の追及」に直結すると考えることがあります。
- 3. インシデントレポートは、事象発生後、速やかに提出されることが求められます。多くの場合、24時間以内など、具体的な期限が各施設の規程で定められています。時間が経つと記憶が曖昧になり、正確な情報が得られにくくなるためです。正しくは:事象発生後、速やかに提出する。選びやすい理由:一般的な事務処理の期限が1ヶ月というケースがあるため、混同する可能性があります。混同注意:速やかな報告の重要性を見落とし、一般的な報告サイクルと混同する可能性があります。
- 4. 正解。インシデントの分析結果は、特定の部署や職種だけでなく、組織全体で共有することが非常に重要です。これにより、類似のインシデントの再発防止策が組織全体で浸透し、医療安全文化の向上に繋がります。多職種が関わることで、多様な視点からの意見や改善策が生まれる効果も期待されます。選びやすい理由:情報共有は部署内や一部の管理者のみにとどまるべきと考える人もいるかもしれませんが、組織全体の改善には広範な共有が不可欠です巻。混同注意:特定の部署や個人に限定して情報が共有されると誤解する可能性があります。
- 5. 医療行為の誤りが患者に実施される前に発見された事例は「ヒヤリ・ハット」と呼ばれ、インシデントレポートの重要な報告対象です。患者に実害がなかったとしても、その原因を分析し、再発防止策を講じることで、将来的な事故の発生を防ぐことができます。正しくは:医療行為の過ちが患者への実施前に見つかった事例も、報告が必要である。選びやすい理由:患者に影響がなかったため、報告の重要性が低いと判断しがちです。しかし、これが最も重要なインシデントの一つです。混同注意:「インシデント」と「アクシデント」の区別が曖昧な場合、患者に被害がないものは報告不要と誤解する可能性があります。
国試ポイント
インシデントレポートの基本的な目的、役割、そしてその運用における原則(責任追及ではない、組織全体での共有)が問われる問題です。医療安全における「ヒヤリ・ハット」の重要性も理解しているかを確認しています。
混同注意
インシデントレポートとアクシデントレポートの役割の違い、またインシデント報告の対象範囲(ヒヤリ・ハットを含むか否か)で迷いやすい。また、責任追及ではなく再発防止という目的を明確に理解しているかが鍵となります。
次に同じ論点が出たら
この問題で誤答した場合は、医療安全推進体制やインシデントマネジメントの基本原則について教科書やガイドラインを再確認し、特に「報告の目的」「報告の範囲」「情報の活用方法」に焦点を当てて学習する必要があります。
関連知識
医療事故調査制度、医療安全管理者、PDCAサイクル、KYT(危険予知訓練)