胃切除術後のダンピング症候群を予防するための食事指導で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
胃切除術後のダンピング症候群は、胃の一部が切除されたことで胃の内容物が急速に小腸へ送られることで生じます。これを防ぐためには、1回の食事量を減らし、胃や小腸への急激な負荷を避けることが最も重要です。少量頻回食が基本となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 食事時間を短くして早食いすると、胃から小腸への内容物の急速な移行を促し、ダンピング症候群の症状を悪化させる可能性があります。正しくは:ゆっくりと時間をかけて食事を摂るように指導します。目安として、1食あたり20~30分以上かけることが推奨されます。選びやすい理由:食事に時間をかけすぎると疲れる、あるいは食事の管理を単純化したいと考える患者にとっては、一見効率的に思えるかもしれません。混同注意:他の状況下での食事効率化や、食事管理の簡素化に関する指導と混同する可能性があります。ダンピング症候群においては、食事の質とスピードが重要です。
- 2. 糖質(炭水化物)は消化吸収が速く、高濃度の糖質が急速に小腸へ送られると、浸透圧の上昇により水分が腸管内に引き込まれ、ダンピング症候群の症状(腹痛、下痢、冷汗、動悸など)を引き起こしやすくなります。正しくは:糖質の摂取量を控えめにするか、複合糖質を選ぶように指導します。特に、砂糖や菓子類などの単純糖質の摂取は制限します。選びやすい理由:炭水化物はエネルギー源として重要であるため、一般的な栄養指導では推奨されます。そのため、ダンピング症候群特有の病態を理解していないと選びやすい選択肢です。混同注意:一般的な健康維持のための栄養指導や、低血糖予防のための糖質摂取と混同する可能性があります。ダンピング症候群の場合は、糖質の消化吸収スピードが問題となります。
- 3. 正解。1回の食事量を少なくすることで、胃から小腸へ一度に移行する内容物の量が減り、胃の急激な拡張や小腸への負荷が軽減され、ダンピング症候群の発生を効果的に予防できます。これはダンピング症候群の食事指導の基本原則の一つです。
- 4. 1日の食事回数を減らすと、1回あたりの食事量が増える傾向にあり、ダンピング症候群のリスクが高まります。胃切除術後の患者には、むしろ1日の食事回数を増やし、少量ずつ頻回に食事を摂ることが推奨されます。正しくは:1日の食事回数を増やす(例:3食を5~6回に分ける)ように指導します。選びやすい理由:食事回数を減らすことで食事の準備や摂取の手間が省けるため、患者にとって負担が少ないように感じられるかもしれません。混同注意:一般的なダイエットや食事管理で食事回数を減らす指導と混同する可能性があります。ダンピング症候群の場合は、少量頻回食が基本です。
国試ポイント
胃切除術後の合併症であるダンピング症候群の病態生理を理解し、その予防のための具体的な食事指導内容を正確に把握しているかが問われる問題です。特に、症状を悪化させる要因と軽減させる要因を区別できるかが重要です。
混同注意
ダンピング症候群の食事指導は、一般の健康的な食事指導とは異なる点が多いです。特に「ゆっくり食べる」「少量頻回食」「糖質制限」といった点が、通常の「早めに食べる」「3食きちんと摂る」「バランスよく炭水化物を摂る」といった指導と混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、早期と後期のダンピング症候群の症状の違いと、それぞれに対する具体的な食事内容(例:糖質の種類、水分摂取のタイミング)や食事以外の対処法(例:食後の体位)が問われる可能性があります。
関連知識
ダンピング症候群には、食後30分以内に起こる「早期ダンピング症候群」(消化吸収不良、循環血液量減少が主因)と、食後2~3時間後に起こる「後期ダンピング症候群」(反応性低血糖が主因)があります。食事指導としては、1回の食事量を減らす、ゆっくりよく噛んで食べる、食直前・直後の水分摂取を控える、食後は横になる、糖質を控え脂質・タンパク質を適量摂る、といった点が挙げられます。