右肺尖部の肺癌の胸壁への浸潤による症状はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
肺尖部肺癌(パンコースト腫瘍)は、肺の最上部に発生するため、上肢の運動と感覚を司る腕神経叢(C8-T1神経根が関与)に浸潤しやすい性質があります。この神経浸潤によって、肩甲帯から上肢にかけての強い痛みやしびれ、筋力低下などの神経症状を呈することが特徴的であり、「上肢の痛み」はその代表的な症状の一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. 肺尖部肺癌が交感神経節に浸潤すると、ホルネル症候群として縮瞳(瞳孔が小さくなること)が生じます。散瞳は交感神経が活性化されたり、副交感神経が抑制されたりした場合に起こる症状であり、ホルネル症候群とは逆の症状です。正しくは:瞳孔が小さくなる(縮瞳)選びやすい理由:肺尖部肺癌とホルネル症候群の関連は正しいのですが、具体的な症状(縮瞳か散瞳か)を混同しやすい点が狙われています。混同注意:縮瞳と散瞳の区別、および交感神経・副交感神経の働き
- 2. 構音障害は、脳や神経、口腔、咽頭、喉頭の異常によって、言葉を正しく発音できない状態を指します。肺尖部肺癌が直接、これらの部位や支配神経(舌咽神経、迷走神経、舌下神経など)に浸潤して構音障害を引き起こすことは稀です。正しくは:構音障害は脳血管疾患や神経変性疾患などでよく見られます。選びやすい理由:癌が神経に影響を与える症状として、広範な神経症状の中から選んでしまいがちです。混同注意:肺癌の局所浸潤による神経症状と、他の原因による神経症状全般
- 3. 閉眼は顔面神経の働きによって行われます。肺尖部肺癌が顔面神経に直接浸潤することは非常に稀であり、閉眼困難は肺尖部肺癌の典型的な症状ではありません。正しくは:閉眼困難は顔面神経麻痺(ベル麻痺など)でよく見られます。選びやすい理由:ホルネル症候群の症状である眼瞼下垂(まぶたが垂れ下がる)と混同して、目の周囲の症状として選びやすいかもしれません。混同注意:眼瞼下垂(ホルネル症候群の症状)と閉眼困難
- 4. 正解。肺尖部肺癌は「パンコースト腫瘍」とも呼ばれ、肺の最上部に位置するため、近くにある腕神経叢(肩から腕、手への運動・感覚を司る神経の束)や胸壁、肋骨などに浸潤しやすい特徴があります。この神経叢への浸潤により、肩や腕、手の痛み、しびれ、筋力低下といった上肢の神経症状(パンコースト症候群)が引き起こされることが典型的な症状です。
国試ポイント
肺尖部肺癌(パンコースト腫瘍)の病態生理と、それに伴う特徴的な局所浸潤症状(特に神経症状)を理解しているか問う問題です。腕神経叢への浸潤による上肢症状や、交感神経節への浸潤によるホルネル症候群(縮瞳、眼瞼下垂、患側の発汗低下)は頻繁に出題される重要ポイントです。
混同注意
ホルネル症候群の症状(特に縮瞳と散瞳の区別)や、腕神経叢への浸潤による神経症状と他の神経症状との区別。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、肺尖部肺癌の他の特徴的な合併症であるホルネル症候群の具体的な症状(縮瞳、眼瞼下垂、無汗症)や、他の種類の肺癌(小細胞肺癌など)による異所性ホルモン産生症候群など、全身的な症状についても確認できるように準備しておくと良いでしょう。
関連知識
パンコースト腫瘍の定義と発生部位、ホルネル症候群の症状とメカニズム、腕神経叢の解剖学的知識と支配領域、肺癌のその他の局所浸潤症状(嗄声:反回神経麻痺、嚥下困難:食道浸潤、顔面・上肢の浮腫:上大静脈症候群など)。