重度の肝硬変で基準値よりも低い値を示す血液検査項目はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
重度の肝硬変では肝細胞の機能が著しく低下し、肝臓が本来持つ合成能力が損なわれます。血清アルブミンは肝臓で合成されるタンパク質であるため、肝機能低下によりその産生量が減少し、血中濃度が基準値よりも低下します。他の選択肢は、肝機能低下によって血中濃度が上昇するか、測定値が延長(上昇)する項目です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。肝臓はアルブミンを合成する主要な臓器です。重度の肝硬変では肝細胞の機能が著しく低下するため、アルブミンの産生能力が低下し、血中濃度が基準値よりも低くなります。アルブミンは肝臓の合成能を評価する指標の一つです。
- 2. 肝硬変では、肝臓によるビリルビンの処理能力(取り込み、抱合、排泄)が低下するため、血中のビリルビン値は上昇します。これは黄疸の主な原因となります。正しくは:肝硬変では血清ビリルビン値は上昇します。選びやすい理由:肝機能障害と関連するため、何らかの異常値を示すことは確かですが、「低い値」という条件を見落とすと誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:肝臓の機能が低下すると、すべての関連項目が低下すると誤解している場合があります。
- 3. 肝臓はアンモニアを尿素に変換して解毒する役割を担っています。重度の肝硬変ではこの解毒機能が低下するため、血中のアンモニア値は上昇します。これは肝性脳症の主な原因となります。正しくは:肝硬変では血中アンモニア値は上昇します。選びやすい理由:肝機能障害と強く結びつく項目であるため、異常値として認識されますが、「低い値」であるかどうかの確認が必要です。混同注意:ビリルビンと同様に、肝機能低下の際に「上昇する」項目と「低下する」項目を混同している可能性があります。
- 4. 肝臓は血液凝固因子(プロトロンビンを含む)を合成します。肝硬変ではこれらの合成能力が低下するため、血液の凝固に要する時間が延長します。つまり、プロトロンビン時間の数値は「長くなる(上昇する)」ことになります。正しくは:肝硬変ではプロトロンビン時間は延長し、数値は上昇します。選びやすい理由:肝機能低下で凝固因子が減少することは知られているため、凝固能が低下するという意味で「低い」と誤解するかもしれません。しかし、プロトロンビン時間そのものは「延長する(数値が上昇する)」検査項目です。混同注意:凝固因子の「量」が低下することと、プロトロンビン時間の「測定値(時間)」が延長・上昇することを混同している可能性があります。
国試ポイント
肝機能検査の各項目が肝臓のどのような機能(合成能、解毒能、排泄能など)を評価し、肝硬変などの疾患時にどのように変動するかを正確に理解しているかを問う基本的な問題です。特に「低い値を示す」という条件に注意が必要です。
混同注意
肝機能が低下すると「すべての検査項目が低くなる」という誤解や、プロトロンビン時間のように「凝固因子の量が減少する」ことと「プロトロンビン時間という測定値が延長(上昇)する」ことを混同しやすい点が挙げられます。
次に同じ論点が出たら
この問題で正答できなかった場合、肝臓の各機能と、それを評価する血液検査項目、および疾患時の変動について網羅的に復習しましょう。特に、肝硬変の重症度分類(例:Child-Pugh分類)で用いられる検査項目(ビリルビン、アルブミン、プロトロンビン時間)とその臨床的意義を理解しているかを確認してください。
関連知識
肝臓の主な機能には、栄養素の代謝・貯蔵、解毒、胆汁の生成・排泄、血液凝固因子の合成、アルブミンなどのタンパク質合成があります。肝機能検査はこれらの機能を評価する目的で行われ、AST, ALT(逸脱酵素)、ALP, γ-GTP(胆道系酵素)、血清ビリルビン(排泄能)、血清アルブミン、プロトロンビン時間、コリンエステラーゼ(合成能)、血中アンモニア(解毒能)など多岐にわたります。それぞれの項目が肝疾患でどのように変動するか、またそれらが黄疸、出血傾向、肝性脳症などの症状とどのように関連するかを理解することが重要です。