大量の輸液が必要と考えられる救急患者はどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・5番
解説
両大腿の変形を伴うオートバイ事故では大腿骨骨折による大量出血が、顔面・胸腹部・背部・両上肢の広範囲なⅡ度熱傷では血管透過性亢進による血漿成分の喪失が起こるため、いずれも大量の輸液が必要です(公式正答2・5)。
選択肢ごとの解説
- 1. 前額部の切り傷からの出血は、通常、止血が容易であり、緊急で多量の輸液を必要とするほどの循環動態への影響は少ない。もちろん止血処置は必要だが、多量輸液の適応とはなりにくい。正しくは:多量の輸液を必要とするのは、重度の外傷による出血性ショックや広範囲熱傷による循環血液量減少性ショックである。選びやすい理由:出血があるため緊急性は感じるが、その程度を過大評価しやすい。混同注意:出血があれば輸液が必要、という短絡的な思考。
- 2. 正解。オートバイ事故による両大腿変形は、両大腿骨骨折を強く示唆する。大腿骨骨折は1本あたり500-1000mlの出血を伴うことがあり、両側であればさらに多量の出血をきたし、出血性ショックのリスクが極めて高いため、緊急で多量の輸液が必要となる。選びやすい理由:外傷であり、変形があることから重症度が高いと判断できる。混同注意:他の骨折部位からの出血量。
- 3. プールの飛び込み事故で手足が動かない状態は、頸髄損傷を示唆する。頸髄損傷は神経原性ショック(血管拡張による相対的循環血液量減少)を引き起こす可能性があるが、初期段階で直ちに多量の輸液が必要となることは稀であり、むしろ輸液により心負荷が増大し危険な場合もある。呼吸管理や血圧維持が優先されるが、輸液量には注意が必要。正しくは:頸髄損傷では、神経原性ショックに対して輸液は慎重に行われ、昇圧剤の使用が検討される。選びやすい理由:飛び込み事故と麻痺から重篤な状況であることはわかるため、緊急性が高いと判断しやすい。混同注意:出血性ショックや循環血液量減少性ショックと、神経原性ショックの病態の違いと輸液療法の適応。
- 4. デスクワーク中に胸部苦痛を訴え意識を失っている状況は、心原性ショック(急性心筋梗塞など)を強く示唆する。心原性ショックでは心臓のポンプ機能が低下しており、多量の輸液は心臓に負担をかけ、肺水腫を悪化させる危険があるため禁忌となる。輸液は必要最小限にとどめ、昇圧剤や強心剤の投与が優先される。正しくは:心原性ショックでは、多量の輸液は避けるべきであり、心機能の改善や昇圧剤の使用が優先される。選びやすい理由:意識消失を伴うため緊急性が非常に高いと感じるが、病態に応じた治療の選択を誤りやすい。混同注意:意識消失イコール輸液という短絡的な思考、または心原性ショックと他のショックの治療の違い。
- 5. 正解。顔面・胸腹部・背部・両上肢にわたる広範囲のⅡ度熱傷では、血管透過性の亢進により血漿成分が血管外へ大量に漏れ出すため、循環血液量を保つために大量の輸液が必要です。選びやすい理由:広範囲の熱傷であり、見た目にも重症であることがわかるため。混同注意:熱傷深度(Ⅰ度、Ⅱ度、Ⅲ度)と体表面積による重症度判断。
国試ポイント
緊急を要する多量の輸液が必要な病態として、広範囲熱傷による循環血液量減少性ショックと、大腿骨骨折などの重度外傷による出血性ショックを理解する。
混同注意
熱傷の重症度判断(体表面積によるParklandの法則など)と、骨折の種類による出血量の違いを混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
外傷の場合、骨折部位から予測される出血量と、熱傷の場合、体表面積から予測される血管外漏出量を確認する。
関連知識
熱傷の重症度判定(Modified Wallace Rule of Ninesなど)、Parklandの法則による輸液量計算、骨折部位と予測出血量(大腿骨:500-1000ml、骨盤骨:1000ml以上など)。