A君(5歳、男児)は共働きの両親と3人で暮らしている。2歳6か月で自閉スペクトラム症と診断され、保育所と療育センターに通っている。保育所の健康診断で低身長を指摘され、受診を勧められて両親と来院した。A君は待合室を走ったり診察室の扉を開けたりしていた。診察室に入ると「頑張ろう」と泣きながら叫び、恐怖心を抑えている様子だった。母親は「Aは病院が苦手で、予防接種はAの手足と体を看護師さん3人で抑えて行ってきましたが、繰り返し説明することで、抑えなくても注射ができるようになりました」と話した。診察の結果、1週後に成長ホルモン分泌刺激試験を行うことになった。母親から「Aが血液検査でパニックを起こすのではないかと心配です」と発言があった。 3か月後、自宅でのA君への成長ホルモン製剤の注射は順調に実施されている。外来受診時に母親から看護師に「Aが通っている療育センターにも相談しましたが、Aは自閉スペクトラム症であるだけでなく、注射もしているので就学のことを考えると心配です。通常の学級に通わせたいと考えているのですが、通常の学級への就学について教えてください」と相談があった。看護師の説明で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
障害のある児童生徒は、その特性に応じて学習上・生活上の困難を改善するための「合理的配慮」を受ける権利があります。保護者は学校や教育委員会に対し、子どもの状況に応じた具体的な配慮を求めることができます。
選択肢ごとの解説
- 1. 母親が常に学校で待機することは、義務として求められるものではありません。必要に応じて学校と連携し、支援体制を構築することが重要です。正しくは:学校との連携を通じて、必要なサポート体制を検討します。選びやすい理由:不安を抱える母親に対し、手厚いサポートを連想させるかもしれませんが、現実的・法的な根拠に乏しいです。混同注意:学校での医療的ケアが必要な場合、保護者の付き添いが検討されるケースもありますが、一概に「待機が必要」と断定するのは適切ではありません。
- 2. 就学する学級は、市町村の教育委員会が設置する就学支援委員会などの専門家会議の意見を参考に、最終的に教育委員会が決定します。学校長が単独で決定するわけではありません。正しくは:就学する学級の決定は、教育委員会が就学支援委員会の意見を踏まえて行います。選びやすい理由:学校長が教育の最終責任者であるという認識から選ばれがちですが、就学先の決定には教育委員会が関与します。混同注意:学校長は学級運営の責任者ですが、就学先の決定はより広範な行政的・専門的判断が求められます。
- 3. 通常の学級に在籍しながら、個別の支援が必要な児童生徒が、一部の時間だけ別の教室で指導を受ける「通級による指導(通級指導)」は可能です。発達障害のある児童生徒に対して広く行われています。正しくは:通常の学級に在籍していても、必要に応じて通級指導を受けることが可能です。選びやすい理由:通常の学級と特別支援教育は別物と誤解しがちですが、連携した支援体制が存在します。混同注意:「特別支援学級」と「通級指導」の区別が曖昧だと誤りやすいです。通級指導は通常の学級に籍を置きながら受けられる指導です。
- 4. 正解。障害のある児童生徒は、教育を受ける際にその障害に応じた必要な支援を受ける権利があります。これは「合理的配慮」と呼ばれ、学校はA君の自閉スペクトラム症の特性や成長ホルモン注射の状況などを踏まえ、学習上または生活上の困難を改善するための配慮を講じる義務があります。保護者は学校や教育委員会に対して、具体的な配慮を求めることができます。正しくは:A君の特性に応じた個別の支援や配慮を、学校や教育委員会に相談し求めることができます。選びやすい理由:当然のことのように思えるかもしれませんが、具体的な権利として重要です。混同注意:漠然とした不安に対し、具体的な行動につながる説明として適切です。
国試ポイント
発達障害のある児童生徒の就学支援に関する制度(合理的配慮、通級指導など)の理解が問われています。特に、通常の学級における特別支援教育の基本的な考え方を押さえることが重要です。
混同注意
通常の学級と特別支援学級、通級指導の役割と対象者の違い。また、教育委員会と学校長の権限範囲の理解。
次に同じ論点が出たら
この説明の後、母親から具体的な配慮の内容について質問があった場合、看護師はどのような情報提供や支援機関の紹介を行うべきか。
関連知識
特別支援教育、合理的配慮、通級による指導、就学相談、個別支援計画、医療的ケア児の就学支援。