A君(5歳、男児)は共働きの両親と3人で暮らしている。2歳6か月で自閉スペクトラム症と診断され、保育所と療育センターに通っている。保育所の健康診断で低身長を指摘され、受診を勧められて両親と来院した。A君は待合室を走ったり診察室の扉を開けたりしていた。診察室に入ると「頑張ろう」と泣きながら叫び、恐怖心を抑えている様子だった。母親は「Aは病院が苦手で、予防接種はAの手足と体を看護師さん3人で抑えて行ってきましたが、繰り返し説明することで、抑えなくても注射ができるようになりました」と話した。診察の結果、1週後に成長ホルモン分泌刺激試験を行うことになった。母親から「Aが血液検査でパニックを起こすのではないかと心配です」と発言があった。 成長ホルモン分泌刺激試験の結果、母親が自宅で毎晩A君に成長ホルモン製剤を注射することになった。外来で母親は注射の手技を習得し、A君も注射に慣れた。自宅での注射に向けて、母親に確認する事項で優先度が高いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
成長ホルモン製剤の注射は毎日、通常は夜間に継続して行う必要があります。そのため、A君と家族の毎日の生活スケジュール(日課)を詳細に把握することは、注射を生活の中に無理なく組み込み、継続して実施できるかを確認するために最も優先度が高い事項です。家族の生活リズムに合わせて最適な注射時間を設定したり、注射を忘れないための工夫を一緒に検討したりすることが重要となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 保育所でのA君の様子は、成長ホルモン注射の実施計画を立てる上で直接的な優先順位の高い情報ではありません。注射は主に夜間に自宅で行われるため、日中の保育所での活動は直接影響しません。正しくは:保育所での過ごし方は、日常生活の重要な一部ではあるものの、注射の『実行可能性』という点では優先度が低いです。選びやすい理由:子どもの全体的な生活状況を把握する上で重要だと感じるかもしれませんが、注射の継続性を確保する直接的な情報ではありません。混同注意:子どもの生活リズムを把握することは重要ですが、注射の実施に直接関係する日課の把握とは異なります。
- 2. 正解。成長ホルモンの注射は毎日継続する必要があり、特定の時間帯(通常は夜間)に行われます。そのため、家族の日常生活やA君の活動スケジュールを把握することで、注射を無理なく、確実に継続できる体制を整えることが最も重要です。生活スケジュールに合わせて注射のタイミングを調整したり、忘れずに実施するための工夫を検討したりするための基盤となります。
- 3. 成長ホルモン製剤の費用は高額な場合が多く、経済的状況は治療継続に影響を与える可能性がありますが、これは通常、治療開始前に医療費助成制度の確認や相談が行われるべき事項です。自宅での注射『開始後』に『優先的に』確認する事項としては、注射の『実行可能性』に直接関わる日課の把握の方が優先度が高いです。費用については、治療開始前や別の機会に確認すべき内容です。正しくは:経済状況は重要な要素ですが、注射の手技を習得し、自宅での実施を始める段階では、毎日の『実施体制』の確認がより優先されます。選びやすい理由:経済的な負担は治療継続に大きく影響するため、重要だと感じるかもしれませんが、注射の具体的な実施計画を立てる上では日課の確認が先です。混同注意:経済的な支援は重要ですが、注射の継続を支える環境整備としては、まず日課を把握し、無理なく組み込めるかを確認することが優先されます。
- 4. 祖父母の居住地は、家族構成やサポート体制の一部として考慮されるかもしれませんが、毎晩の注射という日々のルーティンを確立する上で、直接的かつ優先度の高い確認事項ではありません。緊急時の協力や育児支援の可能性はありますが、注射自体の実行可能性には直接関わりません。正しくは:祖父母の居住地は、遠隔地であるか近隣であるかによってサポート体制に影響する可能性はありますが、注射の『毎日の実施』という点では優先度が低いです。選びやすい理由:家族のサポート体制を把握する上で役立つ情報だと感じるかもしれませんが、注射の確実な実施とは直接結びつきません。混同注意:家族支援の一環として把握することも考えられますが、注射の毎日の実施計画とは直接関係ありません。
国試ポイント
自宅での医療処置を継続する際の看護の視点。特に、患者(家族)の日常生活に組み込むためのアセスメントの優先順位を問う問題です。治療の継続性、アドヒアランス向上のために何が最も重要かを見極める能力が求められます。
混同注意
他の選択肢も、家族の全体的な状況を把握する上では重要な情報ですが、『自宅での注射』という具体的な医療行為の『継続性』と『実行可能性』に焦点を当てた場合、日課の確認が最も直接的に関連します。
次に同じ論点が出たら
日課を確認した後は、具体的な注射時間の設定、忘れ防止策の検討、製剤の保管方法、針の廃棄方法、副反応への対応など、実践的な指導と支援を進めていく必要があります。
関連知識
アドヒアランスの向上、在宅医療における家族指導、慢性疾患管理におけるQOL(生活の質)への配慮、セルフケア支援。