エリクソン, E. H.の発達理論で青年期に生じる葛藤はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
エリクソンの発達段階理論において、青年期(約12歳から18歳)に中心となる心理社会的危機は「同一性対同一性混乱」です。この時期、青年は自己の役割、価値観、将来の展望などについて深く探求し、「自分とは何者か」という自己の感覚(同一性)を確立しようと努めます。この探求がうまくいかない場合、自己の確立ができずに混乱(同一性混乱)を経験するとされています。
選択肢ごとの解説
- 1. 生殖性対停滞は、エリクソンの発達段階理論における壮年期(成人期中期)に生じる心理社会的危機です。自己の中心が子育てや次世代の育成にあるか、あるいは自己中心的で停滞しているかどうかがテーマとなります。正しくは:これは壮年期の葛藤である。選びやすい理由:成長の一環としての性的な関心と誤解するかもしれないが、これは次世代の育成という広い意味での「生殖性」である。混同注意:「生殖性」という言葉から青年期の性的発達を連想しがちですが、エリクソンの理論における生殖性とは、子を産み育てることや社会に貢献することによって次世代を導く能力を指します。
- 2. 勤勉性対劣等感は、エリクソンの発達段階理論における学童期(児童期)に生じる心理社会的危機です。学校での学習や遊びを通して社会的な能力を身につけ、自信を育むことができるかどうかがテーマとなります。正しくは:これは学童期の葛藤である。選びやすい理由:青年期にも学業や社会活動における努力や評価が重要であるため、関連性があるように感じられるかもしれない。混同注意:青年期にも学業での勤勉さは求められますが、この葛藤の核は基礎的な能力獲得と自己効力感の形成にあり、学童期に重点が置かれます。
- 3. 自主性対罪悪感は、エリクソンの発達段階理論における幼児期前期(3~6歳頃)に生じる心理社会的危機です。自分の行動を計画し実行する「自主性」を育むことができるか、あるいはその試みが過度に抑制され「罪悪感」を抱くようになるかがテーマとなります。正しくは:これは幼児期前期の葛藤である。選びやすい理由:青年期にも自律を求めるが、これは自己決定の初期段階であり、もっと後の発達段階の課題である。混同注意:青年期は自己決定が重要になりますが、「自主性対罪悪感」は、より幼少期に自己の意志で行動を始める段階の葛藤です。
- 4. 正解。同一性対同一性混乱は、エリクソンの発達段階理論における青年期(12~18歳頃)に生じる心理社会的危機です。青年は、自己の役割、価値観、将来の方向性などを探求し、「自分は何者か」という確固たる感覚(同一性)を確立しようとします。これがうまくいかないと、自己の定義があいまいになり、役割の混乱(同一性混乱)を経験します。正しくは:青年期に生じる主要な心理社会的危機である。選びやすい理由:特になし。エリクソンの理論において青年期を代表する概念である。混同注意:青年期には様々な変化があるため、他の段階の危機と混同されることもありますが、「自分らしさ」の確立という点がこの時期の核です。
国試ポイント
エリクソンの発達段階理論における各段階と、それぞれの段階で生じる心理社会的危機(葛藤)の組み合わせを正確に理解しているかが問われる問題です。特に、青年期の「同一性対同一性混乱」は代表的な概念であり、頻出です。
混同注意
各発達段階の危機が似たような言葉で表現されることがあるため、それぞれの危機がどの発達段階に属し、具体的にどのような内容であるかを区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
この問題で正解できなかった場合は、エリクソンの発達段階理論の8つの危機と、それらがどの年齢層に該当するかを再確認し、各危機の具体的な内容を理解することが重要です。他の発達理論(ピアジェ、フロイトなど)との比較を通じて、それぞれの特徴を明確にすることも有効です。
関連知識
エリクソンの発達段階は全部で8つあり、乳児期(基本的信頼対不信)、幼児期前期(自律性対恥・疑惑)、幼児期後期(自主性対罪悪感)、学童期(勤勉性対劣等感)、青年期(同一性対同一性混乱)、成人期前期(親密性対孤立)、成人期中期(生殖性対停滞)、老年期(統合性対絶望)です。それぞれの段階における課題と達成が、次の段階へ影響を与えます。