アルコールを多飲する人によくみられ、意識障害、眼球運動障害および歩行障害を特徴とするのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第110回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
Wernicke脳症は、ビタミンB1(チアミン)の欠乏により発症する神経疾患であり、アルコール多飲者に特に多く見られます。その特徴的な3つの症状は、意識障害(傾眠、無関心)、眼球運動障害(眼振、外転神経麻痺、共同偏視など)、および歩行障害(運動失調、ふらつき)です。これらの症状は設問の記述と完全に合致しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 肝性脳症は、重度の肝機能障害によりアンモニアなどの有害物質が処理されず脳に蓄積することで発症します。意識障害、羽ばたき振戦、口臭(肝性口臭)などが特徴ですが、アルコール多飲に特異的な疾患ではありません。眼球運動障害や歩行障害は、Wernicke脳症ほど典型的ではありません。正しくは:肝機能障害による意識障害、羽ばたき振戦、口臭などを特徴とする病態です。選びやすい理由:アルコール多飲は肝臓に負担をかけるため、肝性脳症も関連が深いと思われがちです。しかし、設問の3徴候はWernicke脳症に特有です。混同注意:Wernicke脳症と肝性脳症はどちらも意識障害を呈しますが、原因と他の特徴的な症状が異なります。Wernicke脳症はビタミンB1欠乏、肝性脳症は肝不全によるものです。
- 2. ペラグラはナイアシン(ビタミンB3)欠乏症であり、特徴的な症状は皮膚炎、下痢、認知症の3D(Dermatitis, Diarrhea, Dementia)です。意識障害や眼球運動障害、歩行障害が主徴ではありません。アルコール多飲者では栄養不良によりビタミン欠乏が生じやすいですが、設問の症状とは異なります。正しくは:ナイアシン欠乏による皮膚炎、下痢、認知症が主な症状です。選びやすい理由:アルコール依存症患者に多く見られる栄養失調によるビタミン欠乏症の一つですが、症状が異なります。混同注意:Wernicke脳症もペラグラもアルコール多飲に伴うビタミン欠乏症という点で共通しますが、欠乏するビタミンと出現する症状が明確に異なります。
- 3. 正解。Wernicke脳症は、ビタミンB1(チアミン)の欠乏によって引き起こされる急性神経精神障害です。アルコール多飲者では、不規則な食事やアルコールによる吸収阻害などによりビタミンB1欠乏が生じやすく、特にこの疾患のリスクが高まります。特徴的な3つの症状は、意識障害、眼球運動障害(眼振、外転神経麻痺など)、そして歩行失調(ふらつき)です。設問の記述と完全に一致します。正しくは:ビタミンB1欠乏により、意識障害、眼球運動障害、歩行障害を特徴とする疾患です。選びやすい理由:他の選択肢もアルコール多飲と関連する病態ですが、設問の3徴候全てを満たすのはWernicke脳症のみです。混同注意:コルサコフ症候群はWernicke脳症の慢性期にみられることが多く、Wernicke-Korsakoff症候群として知られています。コルサコフ症候群の主な特徴は健忘症です。
- 4. Creutzfeldt-Jakob病はプリオン病の一種であり、急速に進行する認知症、ミオクローヌス(不随意運動)、運動失調などを特徴とします。アルコール多飲との直接的な関連はなく、また意識障害、眼球運動障害、歩行障害の3徴候が特異的に発症早期から現れるわけではありません。正しくは:プリオン感染による急速進行性の認知症、ミオクローヌス、運動失調などが主な症状です。選びやすい理由:進行性の神経症状がある点では共通しますが、原因と具体的な症状が全く異なります。混同注意:他の選択肢がビタミン欠乏や肝機能障害という比較的日常的な原因と関連するのに対し、Creutzfeldt-Jakob病は稀なプリオン病であり、原因や病態が大きく異なります。
国試ポイント
Wernicke脳症の3主徴(意識障害、眼球運動障害、歩行障害)とその原因(ビタミンB1欠乏)、およびアルコール多飲との関連性を正確に理解しているかが問われる。他のアルコール関連疾患や神経疾患との鑑別が重要。
混同注意
Wernicke脳症とコルサコフ症候群、また他のビタミン欠乏症(ペラグラ)や肝性脳症との区別。コルサコフ症候群はWernicke脳症の慢性期に多く見られ、主な症状は重度の健忘症(記銘力障害)です。
次に同じ論点が出たら
Wernicke脳症が疑われる患者への初期対応(ビタミンB1投与の重要性)や、予防のための栄養指導。
関連知識
ビタミンB1(チアミン)の生理機能(糖代謝における補酵素)。アルコール多飲がビタミンB1欠乏を引き起こすメカニズム(栄養摂取不良、吸収障害、代謝亢進)。Wernicke脳症の治療(ビタミンB1の大量投与)。