Aさん(70歳、男性、要介護1)は脳梗塞の後遺症で左不全麻痺がある。家屋内は杖を使用して移動が可能である。Aさんから「入浴が不安なので安全な方法を教えてほしい」と訪問看護師に相談があった。Aさんへの助言で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
脳梗塞後の片麻痺がある方が浴槽に出入りする際、入浴台(バスボード)は浴槽の縁に座ることで姿勢を安定させ、転倒のリスクを低減する有効な福祉用具です。これにより、安全かつ自立に近い形で入浴を行うことが可能になります。他の選択肢は、麻痺側を誤って使用させたり、浴室という特殊な環境下での不適切な移動方法を提案しており、転倒リスクを高めるため適切ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 麻痺がある左手で手すりを持つと、十分な支持力が得られず転倒のリスクが高まります。健側(右側)で手すりを持つべきです。正しくは:手すりは麻痺のない右手で持ちましょう。選びやすい理由:手すりを使うこと自体は良いことなので、深く考えずに選びそうになるかもしれませんが、どちらの手で持つかが重要です。混同注意:麻痺側をかばうためにそちらに意識がいきがちですが、安定を確保するには健側を使うのが基本です。
- 2. 麻痺のある左足から浴槽に入ると、足元の安定性が悪く転倒のリスクがあります。健側(右足)から入ることで、麻痺側を支えながら安全に入浴できます。正しくは:浴槽にはまず麻痺のない右足から入りましょう。選びやすい理由:麻痺がある側を先に動かすことで、無意識に「運動の練習」と捉えてしまうかもしれませんが、安全性確保が最優先です。混同注意:健側と麻痺側のどちらから動かすかに関する原則(健側から入る、麻痺側から出るなど)と混同しやすいです。浴槽への出入りは健側からが原則です。
- 3. 浴室の床は濡れて滑りやすいため、杖の使用はかえって転倒のリスクを高めます。浴室では手すりや壁を利用するか、シャワーチェアなど安定した方法での移動を検討すべきです。正しくは:浴室の移動は、手すりやシャワーチェアなどを利用して、杖以外の方法で安全に行いましょう。選びやすい理由:普段杖で移動しているため、浴室でも引き続き杖を使うのが自然だと感じてしまうかもしれません。しかし、滑りやすい環境では適していません。混同注意:普段の屋内移動と浴室内の移動の環境の違いに対する認識が不足していると、この選択肢を選んでしまいやすいです。
- 4. 正解。入浴台(バスボード)を使用すると、浴槽の縁に座って安全に体を移動させることができ、浴槽への出入り時の転倒リスクを大幅に減らせます。特に麻痺がある方にとって、安定した動作をサポートする有効な福祉用具です。混同注意:福祉用具の具体的な使用方法や効果に関する知識が不足していると、他の選択肢と迷う可能性があります。
国試ポイント
脳梗塞後遺症(片麻痺)のある高齢者の、日常生活における安全管理と適切な福祉用具の選択について問われています。特に、入浴時の動作の危険性と、それを回避するための具体的な方法(福祉用具の活用を含む)に関する知識が重要です。
混同注意
健側と麻痺側のどちらから動かすか、という原則(例:浴槽に入る時は健側から、出る時は麻痺側から)はよく問われるため、この問題でもその知識を応用しようとして誤った選択をしてしまう可能性があります。しかし、本問では福祉用具の活用という、より安全性を高める具体的な手段を問うています。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず患者の麻痺の程度や場所を正確に把握し、その上で安全を確保するための具体的な方法(動かし方、福祉用具、環境整備)を検討する視点が必要です。特に、転倒リスクが高い動作(移乗、移動)に着目し、それをどう安全に行うかに焦点を当てて選択肢を評価します。
関連知識
片麻痺患者のADL(日常生活動作)指導、福祉用具の種類とその活用、高齢者の転倒予防、浴室環境整備。