血漿中の重炭酸イオン濃度が基準値よりも高くなるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
慢性的な換気障害では、肺からの二酸化炭素排出が十分に行われず、体内に二酸化炭素が蓄積し、呼吸性アシドーシスを呈します。この状態が慢性的に続くと、腎臓が代償作用として重炭酸イオン(HCO3-)の再吸収を促進し、血液中のHCO3-濃度を上昇させることでpHのバランスを保とうとします。これにより、血漿中の重炭酸イオン濃度は基準値よりも高くなります。
選択肢ごとの解説
- 1. 過換気は呼吸性アルカローシスを引き起こし、代償的に重炭酸イオンの排泄が促進されるため、血漿重炭酸イオン濃度は低下します。正しくは:過換気症候群では、呼吸性アルカローシスを代償するために腎臓からの重炭酸イオン排泄が亢進し、血漿重炭酸イオン濃度は低下する。選びやすい理由:呼吸性アルカローシスが血液pHを上げるため、その原因を誤解して重炭酸イオン濃度が上がると思うかもしれません。混同注意:呼吸性アルカローシスと代謝性アルカローシスの区別が曖昧だと、間違えやすいです。過換気は呼吸性で、CO2の排泄亢進が原因です。
- 2. 腎不全では、腎臓の酸排泄能が低下し、重炭酸イオンの再吸収能も低下するため、代謝性アシドーシスとなり血漿重炭酸イオン濃度は低下することが多いです。正しくは:腎不全では、酸性物質の排泄障害と重炭酸イオンの再吸収障害により、代謝性アシドーシスが生じ、血漿重炭酸イオン濃度は低下する。選びやすい理由:腎臓が体液バランスを司る臓器であるため、何らかの理由で重炭酸イオンが増加すると誤解する可能性があります。混同注意:腎不全の種類や病期によって重炭酸イオンの動態は異なりますが、一般的にはアシドーシス傾向を示し、重炭酸イオン濃度は低下します。
- 3. 重篤な1型糖尿病では、インスリン不足によりケトン体が増加し、糖尿病性ケトアシドーシスを引き起こします。これにより酸性物質が増加し、重炭酸イオンが緩衝に使われるため血漿重炭酸イオン濃度は低下します。正しくは:重篤な1型糖尿病では、糖尿病性ケトアシドーシスにより血漿中の酸が増加し、重炭酸イオンが消費されるため、その濃度は低下する。選びやすい理由:糖尿病の合併症は多岐にわたるため、重炭酸イオンの動態について正確な知識がないと判断が難しくなります。混同注意:糖尿病性アシドーシスは代謝性アシドーシスの一種であり、重炭酸イオンが消費されることを理解していれば間違いにくいです。
- 4. 正解。慢性的な換気障害(例:COPD)では、二酸化炭素の排出が不十分となり、呼吸性アシドーシスが持続します。これに対し、腎臓は代償作用として重炭酸イオンの再吸収を促進し、血漿中の重炭酸イオン濃度を上昇させます。正しくは:慢性的な換気障害による呼吸性アシドーシスでは、pHを正常範囲に近づけるために腎臓が重炭酸イオンの再吸収を亢進させ、血漿重炭酸イオン濃度が上昇する。選びやすい理由:アシドーシス自体が重炭酸イオンの低下と結びつきやすいため、呼吸性アシドーシスの慢性代償機転を理解していないと誤解する可能性があります。混同注意:急性呼吸性アシドーシスと慢性呼吸性アシドーシスでの腎臓の代償作用の違いを理解することが重要です。慢性期では腎臓による重炭酸イオンの再吸収促進が顕著です。
国試ポイント
酸塩基平衡異常の病態と、それに対する身体の代償機構(特に腎臓と肺の役割)について理解しているかどうかが問われる問題です。特に急性期と慢性期での代償の違いを正確に把握している必要があります。
混同注意
呼吸性アルカローシス(過換気)や代謝性アシドーシス(腎不全、糖尿病性ケトアシドーシス)と、呼吸性アシドーシス慢性期の代償反応が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
この患者の血液ガス分析データから、具体的な酸塩基平衡異常の種類と重症度を判断し、適切な看護介入を計画できるか。
関連知識
酸塩基平衡の分類(呼吸性、代謝性)、アシドーシスとアルカローシス、各状態におけるpH、PaCO2、HCO3-の変動、およびその代償機構について復習が必要です。特に慢性的な換気障害では、慢性閉塞性肺疾患(COPD)における病態生理との関連が重要です。