Aさん(87歳、男性)。3年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症と診断された。1年前に妻が亡くなってから1人で暮らしている。日常生活は問題なく送れていたが、最近Aさんは薬を飲み忘れることが増えてきたり、電話の応対ができなかったりすることがあり、日常生活に支障が出るようになった。 Aさんの状態に該当する認知症高齢者の日常生活自立度判定基準のランクはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
認知症高齢者の日常生活自立度判定基準において、ランクⅡbは「日常生活に支障をきたすような問題行動が時々見られる」状態を指します。Aさんの「服薬を忘れて二重に服用したり、服用しなかったりすることがあった」「お金の管理ができず無駄遣いするようになった」「近所の家に上がり込んで物をとってくる」といった行動は、まさにこの基準に合致するため、ランクⅡbが適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. ランクⅡaは、家庭内での簡単な活動に一部介助が必要な状況を示します。Aさんの状態は、これよりも広範囲な支援を必要としています。正しくは:家庭外での問題行動はみられないが、日中の軽いもの忘れや、買い物の計算ミスなど、日常生活に部分的に支障が出ている状態。選びやすい理由:認知症の初期段階と捉えられがちですが、Aさんの具体的な行動(服薬管理の誤り、迷惑行為)はこれより進行した段階を示唆します。混同注意:ランクⅡaは軽度な見守りや助言で対応可能な段階であり、Aさんのような問題行動を伴う状態とは異なります。
- 2. 正解。ランクⅡbは、服薬管理ミスや金銭管理の困難、不潔行為、収集癖、徘徊、物とられ妄想、ひどい物忘れなど、日常生活に支障をきたす問題行動が時々見られ、注意を要する状態を示します。Aさんの「服薬を忘れて二重に服用したり、服用しなかったりすることがあった」「お金の管理ができず無駄遣いするようになった」「近所の家に上がり込んで物をとってくる」といった状態は、まさにこのランクに該当します。正しくは:日常生活に支障をきたすような問題行動(服薬管理の誤り、不潔行為、徘徊、物とられ妄想、収集癖、ひどい物忘れなど)が時々見られる状態。選びやすい理由:Aさんの状態をより重度と判断し、ⅢaやⅢbと混同する可能性もありますが、まだ見守りや声かけで対応可能な範囲が残っています。混同注意:ランクⅡbは、問題行動が頻繁ではないが、見逃せない程度に生じている状態です。問題行動が「常に」見られるⅢaとは区別されます。
- 3. ランクⅢaは、家庭内や家庭外で問題行動が「ほぼ毎日」見られ、介護を必要とする状態を示します。Aさんの状況は、問題行動が「時々」見られる段階であり、まだ毎日ではありません。正しくは:問題行動(例えば、徘徊、不潔行為、異食など)が「ほぼ毎日」みられ、介護が必要となる状態。選びやすい理由:Aさんの問題行動の深刻さから、このランクと判断しがちですが、「ほぼ毎日」という頻度の違いで区別されます。混同注意:ランクⅢaは、問題行動が常態化し、かなりの介護量を必要とする段階です。Aさんの状態はまだそこまで進行していません。
- 4. ランクⅢbは、意思疎通が困難であり、徘徊、不潔行為、破壊行為、暴力・暴言、ひどい拒絶など、著しい問題行動が「常に」見られ、常時介護が必要な状態を示します。Aさんの状態は、まだこれほど重度ではありません。正しくは:著しい問題行動が「常に」見られ、意思疎通が非常に困難で、常時介護を必要とする状態。選びやすい理由:最も重度の分類として選択する誘惑がありますが、Aさんの状態はまだ意思疎通がある程度可能で、問題行動の頻度も「常に」ではありません。混同注意:ランクⅢbは、重度の精神症状や行動障害が持続的に見られる状態であり、Aさんのような「時々」の問題行動とは一線を画します。
- 5. ランクMは、医療保険の適用となる疾患(せん妄、うつ病など)により、一時的に認知症のような症状が出現している状態であり、認知症によるものとは異なります。Aさんの症状は認知症の進行によるものと考えられます。正しくは:器質性疾患など、医学的な治療によって改善が期待される状態。選びやすい理由:特殊なケースとして選ぶ可能性もありますが、Aさんの具体的な問題行動は認知症の進行と合致します。混同注意:ランクMは、認知症とは異なる一時的な精神症状や身体疾患による状態を指します。Aさんの症状は、一過性ではない認知機能の低下を示唆しています。
国試ポイント
認知症高齢者の日常生活自立度判定基準の各ランクの定義と、それぞれのランクに該当する具体的な症状を理解しているかが問われています。特に、問題行動の『種類』と『頻度』が判断の重要なポイントとなります。
混同注意
ランクⅡa(軽度な見守り)とⅡb(時々の問題行動)の区別、およびⅡbとⅢa(ほぼ毎日の問題行動)の区別が混同しやすいポイントです。問題文中の具体的な行動の内容と頻度を正確に読み取ることが重要です。
次に同じ論点が出たら
この患者がどのランクに該当するかを判断した後、そのランクに応じた適切な支援計画や介護サービスの提案を行う必要があります。
関連知識
認知症ケアパス、認知症初期集中支援チームの役割、地域包括支援センターの機能、介護保険サービスの種類、権利擁護(成年後見制度など)