成人の前腕に静脈留置針を穿刺するときの刺入角度で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第110回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
成人の前腕静脈は通常、比較的表層に位置しており、血管を突き破ってしまわないように、また血管壁を傷つけずにスムーズに留置針を挿入するためには、浅い角度での穿刺が重要です。10〜20度の角度で針を挿入し、血管に到達したことを確認したら、さらに針を少し進めて血管内に入り、その後は針を水平に近づけてゆっくりとカテーテルを進めるのが基本的な手技です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。成人の前腕静脈は比較的浅く走行しているため、血管を突き破るリスクを避けるために浅い角度での穿刺が推奨されます。この角度は、血管壁を傷つけずに針を血管内に導入し、留置針のガイドカテーテルをスムーズに進めるのに適しています。
- 2. この角度は、成人患者の前腕静脈穿刺にはやや深すぎる可能性があります。静脈を貫通してしまう「through and through」のリスクが高まります。特に経験の浅い看護師には推奨されません。正しくは:成人前腕静脈の穿刺には浅すぎず深すぎない10~20度が適切です。30~40度は、中心静脈カテーテル挿入時や、小児、乳児の深い静脈、または肥満患者の深い静脈を狙う際に用いられることがあります。選びやすい理由:一般的な注射のイメージから、このくらいの角度を連想するかもしれませんが、留置針の特性(内筒と外筒があること)と血管の深さを考慮すると不適切です。混同注意:筋肉内注射や皮下注射の角度と混同する可能性があります。特に筋肉内注射は90度、皮下注射は45度程度が一般的です。
- 3. この角度は、成人前腕静脈の穿刺には明らかに深すぎます。血管を貫通するだけでなく、神経や動脈損傷のリスクも増大します。通常、末梢静脈穿刺では使用されません。正しくは:末梢静脈穿刺では、血管への損傷を避けるため、より浅い角度(10~20度)が適切です。選びやすい理由:血管が深いと感じたり、確実に捉えたいという気持ちから、角度を深くしたくなるかもしれませんが、これは誤りです。混同注意:この角度は、特定の動脈穿刺や、非常に深い位置にある構造へのアプローチで用いられることがありますが、末梢静脈穿刺とは状況が異なります。
- 4. この角度は、成人前腕静脈穿刺には極めて不適切です。血管を確実に貫通し、組織損傷や合併症のリスクが非常に高まります。このような角度で末梢静脈を穿刺することはありません。正しくは:末梢静脈穿刺では、血管への損傷を避けるため、より浅い角度(10~20度)が適切です。選びやすい理由:針を立てて刺す方が良いという誤解から選んでしまう可能性があります。混同注意:筋肉内注射(90度)やワクチン接種など、他の注射手技の角度と混同する可能性があります。
国試ポイント
この問題は、末梢静脈留置針の適切な穿刺角度という基本的な手技に関する知識を問うものです。看護師として安全な医療行為を行う上で必須の知識であり、血管の解剖学的知識と手技の原則を理解しているかが試されます。特に、血管の深さや種類によって穿刺角度が異なることを把握している必要があります。
混同注意
他の注射手技(皮下注射、筋肉内注射)の角度や、中心静脈カテーテル挿入時の角度と混同しやすいです。また、採血時の角度(20〜30度程度)ともやや異なります。
次に同じ論点が出たら
次に類似問題が出た場合、血管の種類(動脈か静脈か)、血管の深さ、患者の状態(小児、高齢者、肥満など)、使用する針の種類(採血針、留置針、動脈血ガス採血針など)によって適切な角度が変化することを考慮して判断します。
関連知識
末梢静脈穿刺の手順、血管選択の基準、合併症(内出血、神経損傷、動脈穿刺など)とその予防、留置針の構造と特性、駆血帯の適切な使用法、消毒手技。