A君(2歳6か月、男児)。両親との3人暮らし。脳性麻痺と診断され、自力で座位の保持と歩行はできず専用の車椅子を使用している。話しかけると相手の目を見て笑顔を見せ、喃語を話す。食事はきざみ食でスプーンを使うことができるが、こぼすことが多く介助が必要である。排泄、清潔および更衣は全介助が必要である。 現在、A君の母親は妊娠16週で順調に経過している。母親は「出産のときにAを預かってくれるところを探そうと思っています」と看護師に話した。父親は会社員で、毎日20時ころ帰宅する。A君の祖父母は遠方に住んでおり支援をすることができない。母親に情報提供する社会資源で最も適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
レスパイト入院は、主に医療的ケアが必要な子どもや障害を持つ子どもの家族が、一時的に休息を取るため、あるいは今回のように出産などで一時的に介護が困難になる際に、子どもを医療機関で預かる制度です。A君に関する詳細な情報は記載されていませんが、父親の帰宅が遅く、祖父母からの支援も得られない状況で、母親の出産時に子どもを安全に預け、かつ継続的なケアが必要な可能性も考慮すると、最も包括的で確実な選択肢となります。他の選択肢は、目的が異なったり、長期的な預かりや病児保育など、今回の状況に合致しないサービスです。
選択肢ごとの解説
- 1. 乳児院は、保護者の養育が困難な乳児(原則1歳未満)または幼児(原則3歳未満)を養育する施設であり、一時的な出産時の預かりには該当しません。長期的な養育が目的です。正しくは:乳児院は長期的な養育を目的とする施設であり、出産時の一時預かりには適していません。選びやすい理由:子どもを預かる施設という点では共通するが、目的が異なる。混同注意:児童養護施設や一時保護所との違いを混同しがち。
- 2. 病児保育は、子どもが病気にかかっている期間に、保護者が仕事などで面倒を見られない場合に利用する施設です。今回の母親の出産は子どもの病気とは関係がないため、目的に合致しません。正しくは:病児保育は子どもが病気の場合に利用するものであり、出産時の預かりには該当しません。選びやすい理由:子どもを預かる場所という点では共通する。混同注意:病児保育と通常の保育園の一時預かりの区別が曖昧になっている可能性。
- 3. 情緒障害児短期入所施設は、情緒に不安定な状態を示す児童を一時的に預かり、治療・指導を行う施設です。A君に情緒障害があるとの情報はなく、出産時の預かりを目的とするものではありません。正しくは:情緒障害児短期入所施設は情緒障害のある子どもを対象とする施設であり、出産時の預かりには適していません。選びやすい理由:子どもを短期で預かるという点では共通するが、対象が異なる。混同注意:児童福祉施設の種別や目的の理解不足。
- 4. 正解。レスパイト入院は、介護者(ここでは母親)の休息や一時的な不在(今回の出産など)の際に、被介護者(A君)が医療機関に入院して医療的ケアや生活のサポートを受けるものです。A君は医療的なケアが必要な子どもの可能性もあるため、この状況での出産に伴う一時預かりとして適切です。正しくは:出産は介護者である母親の一時的な不在に該当し、A君の安全確保とケア継続のため、レスパイト目的の入院が最も適切です。選びやすい理由:入院と聞くと、病気の子どもを想像しがちだが、レスパイトは介護者の休息・不在目的で利用される。混同注意:レスパイトケアが介護者支援の一環であることを理解していない場合。
- 5. ファミリーサポートセンターは、育児の援助を受けたい人(依頼会員)と援助を行いたい人(提供会員)が会員となり、地域において育児を助け合う会員組織です。出産時の長期的な預かりには対応しにくい場合が多く、また夜間帯の預かりは提供会員の確保が難しいこともあります。今回の父親の帰宅時間が20時頃であることを考えると、出産時のサポートとしては確実性に欠ける可能性があります。正しくは:ファミリーサポートセンターは地域での相互援助が基本であり、出産時の確実な長時間・夜間の預かりには限界がある可能性があります。選びやすい理由:育児支援のイメージが強く、一時預かりの選択肢として考えやすい。混同注意:地域の子育て支援サービスの提供範囲や限界を正確に把握していない場合。
国試ポイント
医療的ケア児や障害を持つ子どもの家族支援、レスパイトケアの理解が問われています。社会資源の適切な選択には、各サービスの目的と対象を正確に把握していることが重要です。
混同注意
ファミリーサポートセンターや一時預かり事業など、一見似たようなサービスとの区別。それぞれのサービスがカバーする範囲、対象年齢、利用目的、提供体制の違いを明確に理解する必要があります。
次に同じ論点が出たら
A君が医療的ケア児であるか否かによって、利用可能な社会資源の選択肢がさらに絞り込まれる可能性がある。また、出産に伴う母親の入院期間の長さも考慮に入れる必要がある。
関連知識
医療的ケア児支援法、児童福祉法における各種サービス、地域子育て支援拠点事業、一時預かり事業、ショートステイ。