A君(2歳6か月、男児)。両親との3人暮らし。脳性麻痺と診断され、自力で座位の保持と歩行はできず専用の車椅子を使用している。話しかけると相手の目を見て笑顔を見せ、喃語を話す。食事はきざみ食でスプーンを使うことができるが、こぼすことが多く介助が必要である。排泄、清潔および更衣は全介助が必要である。 A君の食事について看護師が母親に尋ねると「食べこぼしが多く、食べながらうとうとしてしまい時間がかかるし、十分な量も食べられていません」と話した。A君の食事に関する母親への指導で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
A君の症状である「食べこぼしが多い」「食べながらうとうとする」「時間がかかる」「十分な量が食べられない」といった状態は、咀嚼や嚥下機能が未熟であるか、食事の途中で疲れてしまいやすい状態を示唆しています。ペースト食にすることで、咀嚼の必要性を減らし、嚥下時の負担を軽減できます。これにより、少ない労力で効率よく栄養を摂取できるようになり、食べこぼしが減り、食事にかかる時間も短縮され、結果的に必要な量を摂取しやすくなることが期待されます。これは、子どもの摂食嚥下機能の発達段階や状態に合わせた食事形態の調整として最も適切な初期対応と言えます。
選択肢ごとの解説
- 1. 食べこぼしや時間のかかり具合だけで直ちに経腸栄養剤を導入する必要があるとは判断できません。まずは食事形態や環境調整などの方法を試すのが適切です。正しくは:まずは食事形態や食べ方の工夫を試み、それでも栄養が不足する場合に検討します。選びやすい理由:栄養不足を心配して、すぐに医療的な介入を考えてしまうかもしれません。混同注意:通常の食事調整と医療的栄養介入の優先順位を混同しやすいです。
- 2. ホームヘルパーは食事の準備や介助を助けることはできますが、A君自身の摂食状況(食べこぼし、うとうと、時間がかかる、量が食べられない)の根本的な解決には直結しません。まずは食事内容や環境の調整が優先されます。正しくは:食事の準備や片付けの負担軽減にはなりますが、A君の摂食機能のサポートには直接的に繋がらないため、まずは食事内容や環境の調整を検討します。選びやすい理由:母親の負担軽減という観点から、すぐに選択肢として考えてしまうかもしれません。混同注意:子供の摂食機能に関する問題と、親の介護負担の問題を混同しやすいです。
- 3. 時間がかかってしまう原因がA君の摂食機能や覚醒度の問題であるため、無理に時間を区切ると十分な量を食べられなくなる可能性があります。食事に集中できない原因を取り除く工夫が必要です。正しくは:食事の時間を短縮するのではなく、食べやすくする工夫(姿勢、介助方法、食事形態など)をして、結果的に時間が短縮されることを目指します。選びやすい理由:食事が長引くという母親の訴えに対して、時間を区切ることで解決を図ろうとしてしまうかもしれません。混同注意:摂食障害の背景にある要因を考慮せず、行動のみを制限しようとすることと混同しやすいです。
- 4. 正解。「食べこぼしが多く、食べながらうとうとしてしまい時間がかかる、十分な量も食べられていない」という状況から、嚥下機能が未熟であったり、疲労しやすい状態である可能性が考えられます。ペースト食にすることで、咀嚼・嚥下の負担を軽減し、食べこぼしを減らし、スムーズに摂取できるように促すことができます。これにより、食事にかかる時間を短縮し、十分な量を摂取しやすくなる可能性があります。
国試ポイント
子どもの摂食機能障害や未熟性に対する食事形態の調整の知識が問われています。特に、食べこぼしや疲労感、食事時間の延長といった具体的な症状から、適切な食事形態の選択ができるかが重要です。
混同注意
離乳食の進め方と、具体的な摂食障害への対応を混同しやすい。また、安易に医療介入や介護サービスを考えるのではなく、まず家庭でできる食事調整の工夫を優先する視点が必要です。
次に同じ論点が出たら
ペースト食を試しても改善が見られない場合や、体重減少などの栄養不良が進行する場合は、小児科医や言語聴覚士、管理栄養士などの専門家へ相談し、詳細な摂食嚥下機能評価や栄養評価、および経管栄養などの医療的介入の検討に進むべきです。
関連知識
乳幼児の摂食・嚥下機能の発達段階。誤嚥のリスク。食事の姿勢の調整。食事環境の調整(集中できる環境作り)。一口量の調整。介助方法の工夫(スプーンの選択、ペース)。