Aちゃん(6歳、女児)は、重症の新生児仮死で出生した。誤嚥性肺炎で入退院を繰り返しているため、今回の入院で経鼻経管栄養法を導入し、退院後は週1回の訪問看護を利用することになった。現在は四肢と体幹の著しい運動障害があり、姿勢保持が困難で、移動および移乗は全介助である。声かけに笑顔はみられるが、指示に応じることはできない。 訪問看護師は、Aちゃんの誤嚥性肺炎を予防するケアの方法を母親に指導することにした。母親が行うAちゃんへのケアとして適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
胸郭可動域の訓練は、呼吸機能を改善し、肺の換気を促進します。これにより、誤嚥した場合でも肺炎への進展リスクを軽減する間接的な効果が期待できます。特に、小児や嚥下機能が未熟な場合、体位変換や胸郭を広げる運動は、肺の拡張を助け、痰の貯留を防ぎ、誤嚥性肺炎の予防に繋がります。
選択肢ごとの解説
- 1. 腹式呼吸は、肺活量を増やし、呼吸筋を強化するのに役立ちますが、直接的に誤嚥を予防する効果は限定的です。誤嚥性肺炎の予防には、嚥下機能の改善や口腔ケアがより重要になります。正しくは:嚥下訓練や口腔ケアを促す。選びやすい理由:呼吸機能の改善は間接的に誤嚥リスクを低減する可能性も考えられるため、一見正しそうに思えるかもしれません。混同注意:呼吸機能の向上と嚥下機能の向上を混同しやすい。
- 2. 咳は気道に侵入した異物を排出する防御反応ですが、咳の訓練自体が誤嚥を予防する直接的なケア方法ではありません。誤嚥が起こりにくい状態を作ることが重要です。また、不適切な咳訓練は身体に負担をかける可能性もあります。正しくは:嚥下機能訓練や口腔内の清潔保持に努める。選びやすい理由:咳は誤嚥時の対応として重要であるため、予防にも繋がるのではと誤解しやすい。混同注意:誤嚥後の対応と誤嚥の予防策を混同しやすい。
- 3. 正解。胸郭の可動域を広げる訓練は、呼吸を深め、換気能力を高めることで、肺の清潔を保ちやすくなります。これは誤嚥性肺炎のリスクを低減する間接的な効果が期待できます。特に、長期臥床や高齢者では胸郭の動きが制限されやすく、呼吸器合併症のリスクが高まるため、重要なケアの一つです。混同注意:直接的な嚥下訓練ではないため、選択肢として見落とされがち。
- 4. 含嗽剤(洗口液)を用いたうがいは口腔内の清潔を保つために有効ですが、Aちゃんは誤嚥性肺炎の予防が必要な状態であり、うがいそのものが誤嚥のリスクを伴う可能性があります。特に、乳幼児や嚥下機能が低下している場合は、うがいが安全にできないことも考えられます。正しくは:口腔ケアは、適切な方法(例: 湿らせたガーゼで拭く、口腔内の吸引など)で行う。選びやすい理由:口腔ケアの重要性から、うがいが適切な方法だと考えてしまう可能性があります。混同注意:口腔ケアの必要性と、その具体的な方法が適切かどうかの判断を混同しやすい。
国試ポイント
誤嚥性肺炎の予防は、嚥下機能の直接的な改善だけでなく、全身状態の管理や呼吸機能の維持も重要であることを理解しているかが問われています。特に、小児へのケアでは、発達段階に応じた適切な方法を選択する視点が必要です。
混同注意
各選択肢が「呼吸器」や「口腔」に関連するため、一見すると全てが誤嚥性肺炎の予防に有効なように感じられるかもしれません。しかし、直接的・間接的な効果、および患者の状態(Aちゃんは小児であること)を考慮し、最も安全かつ効果的な方法を選ぶ必要があります。
次に同じ論点が出たら
Aちゃんの年齢や嚥下機能の発達段階をさらに詳しく把握し、より具体的な嚥下訓練や食事介助方法の指導へと繋げることが重要です。
関連知識
誤嚥性肺炎の予防には、嚥下訓練、食事形態の調整、口腔ケア、体位管理、呼吸機能訓練などが挙げられます。これらの複合的なアプローチが重要です。