大型の台風が直撃するという予報を受けて、午前9時、病院では災害対策本部が立ち上がった。また、病院の所在する市から避難所への看護師派遣の要請を受け、対応することになった。 午後1時、落雷によって病院の電源供給が一時停止したが、直後に自家発電に切り替わり、医療機器は正常に作動している。ICUには患者4名が入院し、全員が輸液ポンプを使用している。Aさん(65歳、女性)は鎮静薬が投与され、人工呼吸器が装着されている。Bさん(78歳、男性)は大声で家族を呼び続けている。その他の患者は心配そうな表情でICU内を見回している。このときのICU看護師の対応で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第115回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
災害時、特に電源復旧が確認されている状況下では、意識のある患者への精神的サポートが最優先されます。不安を軽減し、安心感を提供することで、患者の精神状態の安定を図り、不必要な混乱や合併症を防ぐことができます。これにより、看護師は限られたリソースの中で効率的にケアを提供できるようになります。
選択肢ごとの解説
- 1. Bさんは大声で繰り返し家族の名前を呼んでおり、せん妄の状態にある可能性が高いです。このような不安定な精神状態の患者を、電源が復旧したばかりで通常とは異なる状況の一般病棟へ移動させるのは不適切であり、かえって状態を悪化させるリスクがあります。ICUでの継続的な観察とケアが優先されます。正しくは:せん妄の兆候があるBさんには、せん妄に対する適切なアセスメントと、ICU環境での精神的安定を図る介入(傾聴、声かけ、環境調整など)を行う。選びやすい理由:大声で呼ぶことで他の患者に影響を与えることを懸念し、移動させることで解決しようと考えるかもしれません。しかし、患者の状態を悪化させる可能性が高いです。混同注意:患者の騒がしさを解決するための安易な移動と、患者の安全と状態安定を最優先する個別的ケアの区別。
- 2. 正解。病院の電源供給が途絶え、自家発電に切り替わった直後であり、他の患者たちは不安げな表情でICU内を見回している状況です。意識がはっきりしている患者に対して、現在の状況を説明し、医療機器が問題なく稼働していることを伝え、安心させる声かけをすることは、患者の不安を軽減し、精神的安定を図る上で最も適切かつ優先される行動です。選びやすい理由:患者の精神的なケアは常に重要ですが、災害時には特にその優先度が高まります。混同注意:物理的な安全確保と精神的な安心確保の優先順位。本状況では物理的な安全は確保済みのため、精神的な安心確保が優先されます。
- 3. Aさんは鎮静下で人工呼吸器を装着しており、生命維持に不可欠な医療機器です。問題文には「医療機器は問題なく稼働しています」と明記されており、自家発電への切り替えが成功しているため、人工呼吸器を敢えて取り外し手動での補助呼吸に切り替える必要はありません。これは患者の生命を危険に晒す行為です。正しくは:人工呼吸器は問題なく稼働しているため、そのまま継続して使用し、患者の状態を注意深く観察する。選びやすい理由:電源が途絶えたという情報から、機械の故障を懸念し、手動での対応を考えがちですが、自家発電で稼働しているという情報を見落としてしまう可能性があります。混同注意:電源喪失時の緊急対応と、自家発電などにより機器が稼働している場合の状況判断の区別。
- 4. 輸液ポンプは精密な流量管理を可能にし、特にICU患者においてはその管理が極めて重要です。問題文には「医療機器は問題なく稼働しています」とあり、輸液ポンプも正常に作動していると考えられます。これを自然滴下へ切り替えることは、正確な輸液管理ができなくなり、患者の状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。正しくは:輸液ポンプが正常に稼働しているため、そのままポンプによる輸液管理を継続し、患者の状態を注意深く観察する。選びやすい理由:電源が不安定になった際に、機器に頼らず手動で対応しようと考えるかもしれませんが、機器が稼働している場合は不必要な変更は避けるべきです。混同注意:電力喪失時の対応(手動への切り替え)と、電力供給が維持されている状況での適切な処置の区別。
国試ポイント
災害時のICU看護において、身体的ケアだけでなく、患者の精神的ケアの重要性を理解しているか。
混同注意
災害時の緊急対応と、すでに安全が確保された状況下での対応の違い。電力供給が不安定な場合は機器のバックアップが優先されるが、本問題では機器稼働が確認済みである点。
次に同じ論点が出たら
災害発生時の状況(ライフラインの状況、患者の重症度、意識レベル)を正確に把握し、その上で最も優先される介入は何かを判断する。
関連知識
災害時のトリアージ原則(START法など)、精神的ケア(サイコロジカルファーストエイド)、コミュニケーション技法(傾聴、共感)、ICUにおけるせん妄の予防と対応。