左前胸部から頸部や左上肢への放散痛が生じる疾患はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
狭心症は心筋への血流不足によって生じる胸痛であり、その典型的な症状として左前胸部から頸部、左肩、左上肢(特に小指側)への放散痛を伴います。この痛みの広がり方は、虚血性心疾患に特徴的な所見として知られています。
選択肢ごとの解説
- 1. 胃潰瘍の痛みは主に心窩部(みぞおち)に生じ、食後に悪化することが多いです。放散痛も背中などに見られることがありますが、左上肢や頸部への放散痛は典型的ではありません。正しくは:みぞおちから背中にかけての痛みで、食後に増悪することが多い。選びやすい理由:胸部に近い部位の痛みなので、勘違いしやすいかもしれませんが、痛みの性質や放散部位が異なります。混同注意:胸やけや逆流性食道炎による痛みと混同されることがありますが、胃潰瘍の痛みは消化器系の症状として現れます。
- 2. 正解。狭心症は、心臓の筋肉への血流が不足することによって引き起こされる胸の痛みです。この痛みは典型的に左前胸部に始まり、頸部、左肩、そして左上肢(特に小指側)へと放散する特徴があります。これは虚血性心疾患に非常に特徴的な症状です。
- 3. 胆石症の痛みは、通常、右季肋部(右の肋骨の下あたり)や心窩部に突然生じ、右肩や背中に放散することがあります。左上肢や頸部への放散痛は一般的ではありません。正しくは:右の肋骨の下あたりやみぞおちに突然の強い痛みが生じ、右肩や背中に広がる(放散する)ことがある。選びやすい理由:痛みが強い疾患であるため、関連づけてしまう可能性がありますが、発生部位と放散部位が全く異なります。混同注意:急性虫垂炎(右下腹部痛)や胃腸炎など、腹部の他の疾患による痛みと混同されやすいですが、胆石症は右上腹部の痛みが特徴です。
- 4. 尿管結石症による痛みは、脇腹(側腹部)から下腹部、鼠径部(股の付け根)や外陰部へと放散する激しい痛み(疝痛)が特徴です。胸部や頸部、左上肢への放散痛とは異なります。正しくは:脇腹から下腹部、足の付け根(鼠径部)や外陰部にかけての激しい痛みが特徴である。選びやすい理由:こちらも非常に強い痛みを伴う疾患なので、痛みの印象から選んでしまうかもしれませんが、発生部位と放散部位が異なります。混同注意:腎盂腎炎(発熱を伴うことが多い)や膀胱炎(排尿時痛、頻尿など)などの泌尿器系の他の疾患と混同されることがありますが、痛みと放散部位が独特です。
国試ポイント
疾患ごとの特徴的な痛みの部位と放散痛のパターンを正確に理解しているかを問う問題です。特に、緊急性の高い虚血性心疾患の症状を鑑別できる知識が重要視されます。
混同注意
心筋梗塞(症状はより強く持続的)、大動脈解離(突然の激しい胸背部痛、移動性)、食道痙攣(胸痛、狭心症と鑑別が難しいことがある)、帯状疱疹(皮疹に先行して神経痛)など。消化器系の症状(胃潰瘍、胆石症)や泌尿器系の症状(尿管結石症)は、痛みのある部位や放散部位が明確に異なるため、鑑別は比較的容易です。
次に同じ論点が出たら
次に同じような問題が出た際は、痛みの『発生部位』『性状(締め付けられる、刺すようななど)』『持続時間』『増悪・軽減因子』、そして最も重要な『放散部位』に注目して、各疾患の典型的な症状パターンと照合することが重要です。
関連知識
虚血性心疾患の症状と診断、心電図変化、緊急時の対応。消化器疾患、胆道疾患、泌尿器疾患それぞれの痛みの特徴、合併症、治療法。痛みの評価スケール(NRS、VAS)とアセスメントの重要性。