Aさん(27歳、男性)は、突然の胸痛と呼吸困難があり、救急外来を受診した。意識は清明。身長179 cm、体重63 kg、胸郭は扁平である。20歳から1日50本の喫煙をしている。バイタルサインは、体温36.1℃、呼吸数22/分、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)96 %(room air)である。胸部CT(別冊No. 2)を示す。Aさんの所見から考えられるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
胸部CT画像では、右胸腔に多量の空気貯留が確認され、右肺は著しく虚脱しています。これは右気胸の典型的な所見です。気胸では、虚脱した肺の側の呼吸音は空気の層によって伝わりにくくなり、減弱または消失します。患者は長身痩躯の男性で喫煙歴もあり、自然気胸のリスク因子を複数有しています。呼吸困難感と胸痛の訴えも気胸の症状と一致します。
選択肢ごとの解説
- 1. 現在のSpO2が96%であり、意識も清明であるため、直ちに酸素吸入を開始するほどの低酸素状態ではありません。ただし、呼吸困難感を訴えているため、経過観察は必要です。正しくは:SpO2が90%以下になるなど、低酸素状態が進行した場合に酸素吸入が必要です。選びやすい理由:呼吸困難感を訴えているため、酸素が必要だと考えるかもしれませんが、SpO2の数値が基準内であることに注意が必要です。混同注意:呼吸困難の訴えと実際の酸素飽和度との関連性。SpO2が正常範囲内でも、呼吸困難がある場合は酸素吸入の適応となることもありますが、本ケースでは他の選択肢の方がより直接的な所見を示しています。
- 2. 胸部CT画像から示唆されるのは気胸であり、細菌感染の明確な兆候はありません。発熱もなく、一般的な感染症の所見が見られないため、現時点での抗菌薬投与は適切ではありません。正しくは:感染症を示す発熱、炎症反応の上昇、喀痰などの所見がある場合に抗菌薬投与を検討します。選びやすい理由:呼吸器症状があるため、肺炎などの感染症を連想しやすいですが、CT画像からは気胸の所見が明らかです。混同注意:呼吸器症状を呈する疾患全般と気胸の鑑別。
- 3. 正解。胸部CT画像からは、右胸腔内に空気の貯留が見られ、右肺が虚脱している状態(右気胸)であることが示唆されます。気胸では、虚脱した肺がある側の呼吸音は減弱または消失します。
- 4. CT画像では、左胸腔内に異常な液体貯留は見られず、肺も正常に拡張しています。異常な空気貯留と肺の虚脱が認められるのは右胸腔です。正しくは:CT画像からは右胸腔内に空気成分が貯留し、右肺が虚脱していることが確認されます。選びやすい理由:胸腔内に何らかの貯留があるという点で、空気と液体を混同しやすいかもしれません。混同注意:気胸(空気の貯留)と胸水(液体の貯留)の鑑別。
国試ポイント
胸部CT画像を読み解き、気胸の所見を識別できるか、およびその所見から身体診察で予想される変化(呼吸音の変化)を推測できるかを問う問題です。気胸のリスク因子も合わせて理解している必要があります。
混同注意
気胸と胸水、低酸素血症の有無、呼吸困難感と酸素飽和度の関係性。
次に同じ論点が出たら
今後同様の気胸に関する問題が出題された場合、症状、リスク因子、画像所見(X線、CT)、身体所見(呼吸音、打診)、初期対応(酸素吸入の要否、胸腔ドレナージの適応)の各側面から総合的に判断できる知識が求められます。
関連知識
自然気胸のリスク因子(長身痩躯の男性、喫煙、若年成人)、症状(突然の胸痛、呼吸困難)、身体所見(患側の呼吸音減弱・消失、打診での鼓音)、検査所見(胸部X線、CTでの肺虚脱と胸腔内空気貯留)、治療(安静、胸腔ドレナージ、手術)。