Aさん(30歳、初産婦)は妊娠39週3日で陣痛発来し、4時に入院した。その後、陣痛が増強して順調な分娩進行と診断されて、11時45分の診察で子宮口が8cm開大となった。看護師が12時に昼食を配膳にいくとAさんは額に汗をかいて、側臥位で「陣痛がつらくて何も飲んだり食べたりしたくありません」と言っている。陣痛発作時は強い産痛と努責感を訴え、目を硬く閉じて呼吸を止めて全身に力を入れている。 Aさんへの看護で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第110回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
過換気症候群は、ストレスや不安が原因で呼吸が速くなり、血液中の二酸化炭素濃度が低下することで、呼吸困難感や手足のしびれなどの症状を引き起こします。呼吸法の実践、特にゆっくりとした腹式呼吸を促すことで、換気量を調整し、二酸化炭素の過剰な排出を抑制し症状の緩和を図ることができます。
選択肢ごとの解説
- 1. 過換気症候群の患者は、安静を保つことが推奨されるが、「座って過ごす」だけでは直接的な症状の改善には繋がらない。また、不安が強い場合は臥位の方が安心できる場合もあるため、体位の選択は個別性も考慮する必要がある。正しくは:不安を軽減し、安静を保つ環境を整える。その上で、楽な体位を取ることを提案する。選びやすい理由:呼吸が苦しい患者には安静を促すことが一般的であるため、選びやすい。混同注意:一般的な呼吸困難時の対応。過換気症候群の特異的な症状緩和には繋がりにくい。
- 2. 過換気症候群の患者は、発作中は精神的に不安定であり、意識レベルの変動やテタニー症状により転倒のリスクもあるため、シャワーでの入浴は危険を伴う。また、入浴は体力を消耗させ、症状を悪化させる可能性もある。正しくは:発作が治まってから、患者の状態を観察し、清拭など安全な方法で清潔を保つ。選びやすい理由:清潔保持は看護の基本であるため、入浴を促すことが良いと誤解しやすい。混同注意:一般的な患者の清潔ケア。過換気症候群発作中の患者は、入浴は避けるべきである。
- 3. 過換気症候群の発作中は、呼吸困難や悪心のために食事が困難な場合が多く、無理に食事を摂らせると嘔吐を引き起こす可能性がある。また、発作中に食事を摂ることは誤嚥のリスクも高める。正しくは:発作が治まり、落ち着いてから少量ずつ水分摂取から開始し、食事へと移行する。選びやすい理由:栄養補給は患者の回復に重要であるという一般的な認識から選びやすい。混同注意:一般的な患者の栄養ケア。発作中の患者に無理に食事を促すことは適切ではない。
- 4. 正解。過換気症候群では、呼吸が速く深くなることで過換気状態となり、血液中の二酸化炭素濃度が低下する。意識的にゆっくりと深呼吸をする(特に腹式呼吸)ことで、換気量を正常に戻し、二酸化炭素濃度を上昇させることで症状の緩和に繋がる。具体的には、吸気よりも呼気を長くする、口すぼめ呼吸などが有効である。選びやすい理由:呼吸困難の症状に対して、呼吸法の指導は直接的な介入となるため、適切な選択肢として判断しやすい。混同注意:他の呼吸器疾患(喘息など)における呼吸法の指導。過換気症候群の場合は、二酸化炭素濃度を正常化させることに主眼を置いた呼吸法が重要となる。
国試ポイント
過換気症候群の病態生理と、それに基づく適切な看護介入(呼吸法の指導)を理解しているかが問われる。
混同注意
過換気症候群と喘息発作や心疾患による呼吸困難との鑑別。過換気症候群は、呼吸困難を訴えるが、酸素飽和度は保たれ、聴診上異常がないことが多い。
次に同じ論点が出たら
患者の訴え、意識状態、バイタルサイン、呼吸パターン(速くて浅い呼吸)、身体所見(手足のしびれ、テタニーの有無)から過換気症候群と判断し、二酸化炭素濃度の上昇を促すための呼吸法指導が適切であると判断する。
関連知識
過換気症候群の診断基準、症状(テタニー、めまい、胸痛など)、鑑別疾患(心筋梗塞、脳血管障害、肺炎など)、緊急時の対応(リブリージングバッグの使用など)。