臨死期にある患者の家族から「のどがゴロゴロと鳴っていて苦しんでいます。この苦痛をとってあげたい」と相談された。看護師が、呼吸音を聴取すると咽頭に雑音を認めた。患者の苦痛を緩和するための対応で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
臨死期の患者に見られる咽頭のゴロゴロ音(デスラトル)は、分泌物が貯留することで生じますが、必ずしも患者が苦痛を感じているとは限りません。このような状況では、体位変換(特に顔を横に向けることや側臥位)によって分泌物の排出が促進され、患者の安楽に繋がることが多いため、まず試みるべき対応です。過度な吸引は患者に苦痛を与える可能性があり、気管支拡張薬や口腔内清拭は直接的な解決策とはなりません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。終末期の患者に見られる喉のゴロゴロ音(デスラトル)は、咽頭や気管に分泌物が貯留することで発生します。患者がこの音で苦しんでいるとは限らないため、無理な吸引は避けるべきです。体位変換、特に側臥位にすることで、分泌物が自然に排出されやすくなり、呼吸が楽になることがあります。これは患者の安楽を保つための穏やかなケアであり、苦痛緩和に寄与します。正しくは:分泌物の貯留を軽減し、呼吸を楽にするため、顔を横に向けたり、体位を側臥位に変更したりします。選びやすい理由:すぐに吸引するのではなく、まず体位調整や環境調整を試みることが重要です。混同注意:患者が本当に苦しんでいるのか、単に分泌物が貯留している音なのかを判断することが難しい場合があります。
- 2. 気管支拡張薬は、気管支が狭窄している状態(喘息やCOPDなど)に効果がありますが、終末期の咽頭のゴロゴロ音は気管支の狭窄によるものではなく、分泌物の貯留が原因です。したがって、この状況で気管支拡張薬を使用しても効果は期待できず、不適切な対応です。正しくは:気管支拡張薬の使用は適応外であり、分泌物貯留による雑音には効果がありません。選びやすい理由:呼吸音が悪化しているように見えるため、呼吸を楽にする薬を連想するかもしれませんが、原因が異なるため無効です。混同注意:呼吸困難感や呼吸音の異常に対して、反射的に呼吸器系の薬剤を考えることがあります。
- 3. 口腔内の清拭は、口腔乾燥や不快感の緩和には有効ですが、咽頭深部の分泌物によるゴロゴロ音を直接的に解消する効果はほとんどありません。分泌物は咽頭よりもさらに奥に貯留していることが多いため、表面的な清拭では不十分です。正しくは:口腔内の清拭は口腔ケアには有用ですが、咽頭の分泌物貯留による呼吸音の改善には直接的な効果は限定的です。選びやすい理由:口腔内のケアは患者の安楽に繋がるため、一見適切な対応に思えるかもしれませんが、喉のゴロゴロ音の直接の原因には対処できません。混同注意:患者の不快感を軽減する一般的なケアとして、口腔ケアが選択肢に挙がるため、迷う可能性があります。
- 4. 終末期の患者における吸引は、患者に強い苦痛や刺激を与える可能性があります。家族の訴えがあっても、患者自身が苦しんでいると判断できない場合や、吸引によって逆に苦痛が増す可能性があるため、漫然と雑音がなくなるまで吸引を続けるのは適切ではありません。まず安楽な体位変更などで分泌物の排出を促し、それでも呼吸困難感が強い場合に限り、慎重に吸引を検討します。特に「雑音が消失するまで」という過度な目標設定は適切ではありません。正しくは:過度な吸引は患者に苦痛を与える可能性があるため、慎重に判断し、必要最小限にとどめるべきです。選びやすい理由:家族が「苦しんでいる」と訴えているため、原因と思われる分泌物を除去したいと考えるのは自然な発想です。混同注意:分泌物が原因であるため、吸引が解決策であると単純に考えてしまうことがあります。しかし、終末期医療ではQOLを優先し、苦痛を最小限に抑えることが重要です。
国試ポイント
終末期医療における苦痛緩和ケア、特にデスラトル(死前喘鳴)への対応について問われています。患者の安楽を最優先し、侵襲性の低いケアから始める原則を理解しているかが重要です。
混同注意
家族が苦痛を訴えていることから、すぐに侵襲的な介入(吸引など)を検討しがちですが、終末期のQOLを考慮した選択が求められます。
次に同じ論点が出たら
体位変換後も呼吸音が改善せず、患者が明らかな苦痛の徴候(顔の歪み、頻呼吸、発汗など)を示している場合は、医師と相談の上、抗コリン薬の投与や必要に応じた最小限の吸引を検討します。ただし、吸引は最後の手段であり、常に患者のQOLを考慮すべきです。
関連知識
デスラトルは、嚥下機能の低下や咳嗽反射の減弱により、唾液や気道分泌物が咽頭部に貯留することで発生します。一般的に、患者は意識レベルの低下により、この音自体による苦痛を感じていることは少ないとされています。対応としては、体位変換(側臥位、半坐位)、吸引の必要性の判断、抗コリン薬の検討(医師の指示による)などが挙げられます。重要なのは、患者の苦痛のサインを見逃さず、家族への説明と精神的サポートも行うことです。