Aさん(58歳)は筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉で在宅療養をしている。嚥下機能の低下が進行したため入院し、胃瘻の造設が検討されているが、経口摂取の継続を希望している。看護師が連携する職種で優先度が高いのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
Aさんは嚥下機能の低下が進行しているにもかかわらず、経口摂取の継続を希望しています。この状況で看護師が最も優先的に連携すべき職種は、嚥下機能の評価、訓練、そして安全な経口摂取の方法や食事形態について専門的な知識と技術を持つ言語聴覚士です。言語聴覚士は、Aさんの嚥下状態を客観的に評価し、嚥下訓練や摂食指導を行うことで、Aさんの希望する経口摂取の継続の可否を判断し、その実現可能性を高めるための具体的な介入が可能です。胃瘻造設の検討と並行して、AさんのQOLに直結する経口摂取の可能性を最大限に探ることが重要であり、そのために言語聴覚士との連携が最優先となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。Aさんは嚥下機能の低下が進行し、経口摂取の継続を希望しているため、嚥下機能の評価と訓練、経口摂取の安全性を確保するための専門的な介入が必要となります。言語聴覚士は嚥下障害の評価、訓練、食事形態の指導など、嚥下機能に関する専門家であり、この状況において最も優先的に連携すべき職種です。正しくは:この選択肢は正しいです。選びやすい理由:Aさんの希望である経口摂取の継続と、現在の嚥下機能低下という状況を直接的に解決に導く専門職であるため、他の選択肢と比べて優先順位が高いと判断しやすい。混同注意:他の職種も在宅療養や生活の質に関わるが、嚥下機能の維持という喫緊の課題には直接的に関与しない点で区別できる。
- 2. 作業療法士は日常生活活動(ADL)の維持・向上、QOLの改善を目的とした作業療法を提供しますが、嚥下機能そのものへの直接的な専門介入は限定的です。ALS患者の生活支援には重要ですが、嚥下機能低下が進行している状況で、経口摂取継続の可否を判断し支援する上での最優先ではありません。正しくは:嚥下機能への直接的な介入というよりは、上肢機能の維持や食事動作に関する支援が主となります。選びやすい理由:食事動作などADLの一部に関わるため、一見すると関係がありそうに思えるかもしれませんが、嚥下そのものの評価や訓練は専門外です。混同注意:食事に関する支援という点で混同しやすいが、食具の選択や食事姿勢の調整は行っても、嚥下訓練や嚥下機能評価は通常行いません。
- 3. 理学療法士は主に運動機能の維持・向上、呼吸リハビリテーションなどを担当します。ALS患者の身体機能維持には不可欠ですが、嚥下機能の評価や訓練を直接的に行うことは専門外であり、経口摂取継続の検討において優先度は高くありません。正しくは:理学療法士は嚥下機能そのものよりも、体幹や呼吸筋の維持、臥床時の体位調整などに関わります。選びやすい理由:ALSの進行に伴う身体機能低下全般に関わるため、支援が必要な職種ではあるものの、嚥下機能の問題解決における最優先とは言えません。混同注意:呼吸機能の低下に対するリハビリテーションは行いますが、嚥下機能の評価や訓練とは専門分野が異なります。
- 4. 介護支援専門員(ケアマネジャー)は、介護保険サービスの利用計画作成や多職種連携の調整を担う重要な職種です。しかし、嚥下機能の評価や訓練といった医療的専門介入は行いません。Aさんの在宅療養継続のためには不可欠ですが、嚥下機能低下に対する具体的な医療的対応の優先順位としては最も高くありません。正しくは:介護支援専門員は、医療的介入後の生活支援やサービス調整において中心的な役割を担います。選びやすい理由:多職種連携の調整役であるため、連携する職種として必要不可欠な存在ですが、この設問では『優先度が高いのはどれか』と、特定の課題解決に直接関わる専門職を問われています。混同注意:全体のケアプラン作成や調整という広範な役割のため、特定の専門的医療介入と混同しやすいが、直接的な治療やリハビリテーションは行わない点で区別できます。
国試ポイント
筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の進行期における嚥下障害への対応と、多職種連携における専門職の役割を理解しているか。特に、患者の希望と疾患の進行状況を考慮し、最も適切な専門職を判断する能力が問われます。
混同注意
介護支援専門員は多職種連携の調整役ですが、特定の医学的介入を行う専門職ではありません。作業療法士や理学療法士もリハビリテーションに関わりますが、嚥下機能への直接的な専門介入は言語聴覚士が担います。
次に同じ論点が出たら
言語聴覚士との連携後、嚥下機能評価の結果に基づき、経口摂取継続の可能性や安全性をAさんやご家族と再検討し、胃瘻造設の要否について医師、管理栄養士、介護支援専門員などとカンファレンスを行う。
関連知識
ALSの病態生理、嚥下障害のアセスメント、胃瘻造設の適応と倫理的問題、言語聴覚士の役割、ALS患者におけるQOLの視点、多職種連携の重要性。