Aちゃんは出生前診断で羊水過多があり先天性食道閉鎖症の疑いを指摘されていた。在胎37週5日に帝王切開で出生、出生体重2,780 g、Apgar〈アプガー〉スコア1分後8点、5分後9点である。出生後、Aちゃんは先天性食道閉鎖症と診断された。 Aちゃんは、出生当日に胃瘻造設、気管食道瘻切断と食道端々吻合術を受け、無事に終了した。術後2日、人工呼吸器管理下で胸腔ドレーンが挿入されている。このときの看護で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
食道吻合術後の患者、特に新生児では、吻合部の脆弱性を考慮し、物理的な刺激を避けることが最も重要です。吸引チューブを吻合部より奥に挿入すると、治癒途中のデリケートな組織を損傷し、縫合不全や穿孔といった重大な合併症を引き起こす危険性があるため、吻合部手前での慎重な吸引が必須です。
選択肢ごとの解説
- 1. 食道吻合術後の乳児において頸部を伸展させる体位は、吻合部に過度な牽引や緊張を与え、縫合不全や離開のリスクを高める可能性があります。特に乳児の場合、体位の固定が難しいため、より慎重な管理が求められます。正しくは:頸部は過度に伸展させず、頭部と体幹を直線に保つか、やや屈曲位で安楽な姿勢を保つべきです。選びやすい理由:気道確保の観点から頸部伸展が良いという知識と混同しやすいですが、今回のケースは食道吻合部の保護が優先されます。混同注意:一般的な気道確保時の体位と、食道吻合術後の体位管理を混同する可能性があります。
- 2. 術後すぐの人工呼吸器管理下で、食道吻合術を受けたばかりの乳児に摂食嚥下機能の獲得支援を開始することは不適切です。吻合部の治癒が最優先され、経口摂取は医師の指示のもと、段階的に開始されます。誤嚥のリスクも極めて高い状態です。正しくは:摂食嚥下能力の獲得支援は、吻合部の治癒と全身状態の安定が確認され、医師の指示があった後、専門職の指導のもとで慎重に進めるべきです。選びやすい理由:児の発達支援の重要性から、早期介入が良いという考えが先行するかもしれませんが、まずは急性期の身体的な安定が最優先です。混同注意:術後の早期離床や発達支援の一般的な原則と、特定の術式(食道吻合術)後の禁忌事項を混同する可能性があります。
- 3. 人工呼吸器管理下であり、胸腔ドレーンも挿入されている状態の新生児を、両親が自由に抱っこすることは、チューブ類の抜去や体位変化による吻合部への負担、呼吸状態の悪化などのリスクを伴います。医療従事者の監視と介助のもと、安全に配慮しながら行うべきです。正しくは:両親との触れ合いは重要ですが、医療スタッフが付き添い、人工呼吸器やドレーンが安定していることを確認しながら、安全な範囲で短時間の抱っこを支援するべきです。術後早期は見守りではなく、積極的な介助と指導が必要です。選びやすい理由:早期母子接触や親子の絆形成の重要性から、親の行動を尊重すべきと考えるかもしれませんが、医療管理下での安全確保がより優先されます。混同注意:新生児集中治療室(NICU)における家族支援の一般的な方針と、侵襲的処置後の具体的な管理制限を混同する可能性があります。
- 4. 正解。食道吻合術後の患者において、吸引チューブを吻合部を越えて挿入すると、治癒途中の吻合部に物理的な刺激や損傷を与え、縫合不全や出血、再離開などの重篤な合併症を引き起こすリスクがあります。そのため、吻合部より手前で吸引を行うことが極めて重要です.
国試ポイント
新生児の食道吻合術後の看護における、合併症予防のための具体的な注意点(特に吸引時の配慮)が問われています。術後の身体的脆弱性への理解と、それに基づいた適切な看護介入を選択できるかが評価されます。
混同注意
一般的な気道確保のための吸引手技と、食道吻合術後の特殊な吸引手技を混同しやすい。また、乳児の体位管理や親との触れ合いの重要性を過度に優先し、術後の身体的なリスクを見落とす可能性があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、術後の解剖学的・生理学的特徴を考慮し、最もリスクが高い合併症を予防する介入が何かを判断する視点が必要です。特に、吻合部や手術部位への機械的刺激を避けるという原則は重要です。
関連知識
食道閉鎖症の術後管理、新生児の消化器外科術後の看護、人工呼吸器管理中の児の看護、胸腔ドレーン管理、NICUにおける家族支援。