Aさん(55歳、男性、会社員)は胃癌の終末期である。Aさんの訴えのうちスピリチュアルペインの表出はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
スピリチュアルペインとは、人生の意味や価値、希望、尊厳、そして自己の存在意義に関する苦悩を指します。終末期の患者は、死を前にして、これまでの人生を振り返り、その意味を問い直すことがよくあります。「これまでの自分の人生が意味のないものに思えます」という発言は、まさにこのスピリチュアルペインの典型的な表現であり、人生の目的や価値の喪失感を示しています。
選択肢ごとの解説
- 1. これは身体的な苦痛(フィジカルペイン)の表現であり、直接的にスピリチュアルペインを示すものではありません。正しくは:これは身体的な苦痛(フィジカルペイン)です。選びやすい理由:身体的な苦痛も終末期には深刻な問題となるため、患者の苦しみを表現している点では正しいように見えるかもしれません。混同注意:フィジカルペイン(身体的苦痛)とスピリチュアルペイン(精神的・霊的苦痛)は異なる概念です。
- 2. これは吐き気という身体症状に対する不安感(サイコロジカルペイン)を示しており、直接的にスピリチュアルペインを示すものではありません。正しくは:これは精神的苦痛(サイコロジカルペイン)です。選びやすい理由:不安という感情が表現されているため、精神的な苦痛と捉えがちですが、根源は身体症状への懸念です。混同注意:サイコロジカルペイン(精神的苦痛、不安など)はスピリチュアルペインと関連しますが、症状そのものへの不安は区別されます。
- 3. これは経済的な問題に対する心配(ソーシャルペイン)であり、直接的にスピリチュアルペインを示すものではありません。正しくは:これは社会的苦痛(ソーシャルペイン)です。選びやすい理由:社会的な問題も終末期の患者にとって大きなストレス源であり、広義の苦痛には含まれます。混同注意:ソーシャルペイン(社会的苦痛、経済的・家族関係の問題など)とスピリチュアルペインは異なる側面を指します。
- 4. 正解。この発言は、人生の意味や価値、自己の存在意義に関する問い直しを示しており、スピリチュアルペイン(霊的苦痛)の典型的な表出です。自己の存在が空虚に感じられたり、人生の目的を見失ったりする状態を指します。
国試ポイント
終末期における全人的苦痛(トータルペイン)の理解とその各要素(フィジカルペイン、サイコロジカルペイン、ソーシャルペイン、スピリチュアルペイン)の区別が問われています。それぞれの具体的な表現を区別できる知識が必要です。
混同注意
身体的苦痛、精神的苦痛、社会的苦痛とスピリチュアルペインは混同しやすいですが、それぞれが指す領域を明確に理解することが重要です。特に精神的苦痛とスピリチュアルペインは重なる部分もありますが、スピリチュアルペインはより根源的な「存在意義」や「意味」に関わる苦痛です。
次に同じ論点が出たら
スピリチュアルペインを抱える患者に対して、看護師がどのような傾聴や支援を行うべきか、具体的な介入方法を判断する問題へ発展する可能性があります。
関連知識
全人的苦痛(トータルペイン)、緩和ケアにおける多角的なアセスメント、患者のQOL向上、死生観、自己超越の概念。