Aさん(63歳、男性)は3年前から肺気腫で定期受診を続けていた。最近、歩行時の息切れが強くなってきたことを自覚し、心配になったため受診した。受診時、呼吸数は34/分で、口唇のチアノーゼがみられた。Aさんについて正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
肺気腫が進行すると、肺胞の破壊によりガス交換効率が低下し、特に二酸化炭素の排出が困難になります。このため、慢性的に動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)が上昇する状態(慢性呼吸不全II型)となることが多いです。
選択肢ごとの解説
- 1. 肺気腫では、肺の過膨張と換気能力の低下により、1回換気量は減少傾向にあります。呼吸数を増やすことで代償しようとします。正しくは:1回換気量が減少している。選びやすい理由:息切れがあるため、身体が酸素を多く取り込もうとしていると誤解する可能性がある。混同注意:呼吸困難と換気量の関係性を混同しやすい。
- 2. 肺気腫では、気道の虚脱により呼気が困難になるため、十分に呼出できないことで肺に空気が残り(エアトラッピング)、過膨張を悪化させます。このため、呼気を意識的に長く、ゆっくり行うことが重要です。正しくは:吸気よりも呼気を促すと効果的である。選びやすい理由:息切れがあるため、酸素を取り込む吸気を多くすることが良いと直感的に考えてしまう。混同注意:呼吸困難の原因が吸気困難であると誤解しやすい。
- 3. 肺気腫の進行により、肺胞でのガス交換能力が低下するため、動脈血酸素飽和度(SpO2)は低下します。設問のチアノーゼもSpO2低下を示唆しています。正しくは:経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)は低下している。選びやすい理由:動脈血酸素分圧(PaO2)とPaCO2の関係性、あるいは代償機構を複雑に考えすぎてしまう可能性。混同注意:チアノーゼが酸素不足のサインであることを理解できていない場合。
- 4. 正解。肺気腫が進行すると、肺の換気能力が著しく低下し、特に二酸化炭素の排出が困難になります。その結果、体内に二酸化炭素が蓄積し、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)が上昇します(II型呼吸不全)。正しくは:この選択肢は正しい記述です。選びやすい理由:初期の肺気腫では換気亢進によりPaCO2が正常〜低下することもあるため、病状進行時の変化と混同してしまう。混同注意:PaO2の低下とPaCO2の上昇が常に連動するわけではない点。
国試ポイント
肺気腫の病態生理、特に進行期のガス交換異常(酸素分圧の低下と二酸化炭素分圧の上昇)について理解しているかどうかが問われています。また、呼吸困難時の呼吸様式やバイタルサイン、身体所見(チアノーゼ)と関連付けて考える知識が必要です。
混同注意
肺気腫の初期段階では、換気亢進によってPaCO2が正常に保たれる、あるいは軽度低下することもありますが、病状が進行するとPaCO2が上昇します。この段階的な変化と、慢性呼吸不全の分類(I型・II型)を混同しないように注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
Aさんの現在の呼吸状態を評価し、酸素療法や薬物療法(気管支拡張薬、ステロイドなど)、呼吸リハビリテーションの必要性を検討する必要があります。また、増悪因子の特定と除去も重要です。
関連知識
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の病態、呼吸不全の分類(I型:PaO2低下のみ、II型:PaO2低下とPaCO2上昇)、呼吸様式とガス交換、チアノーゼの観察。