Aさん(40歳、男性、会社員)は、うつ病と診断されていた。最近、仕事がうまくいかず、大きなミスを起こし、会社に損失を与えたことから自分を責め不眠となり、体重が減少した。ある朝、リビングの床で寝ているAさんを妻が発見し、大きな声で呼びかけたところ、Aさんは1度目を開けたが、すぐ目を閉じてしまった。ごみ箱に、からになった薬の袋が大量に捨ててあり、机には遺書があった。救急搬送後、意識が清明となり、身体的問題がないため精神科病院に入院となった。 入院時の看護師のAさんに対する関わりで適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
自殺念慮のある患者に対しては、まず現在の具体的な死にたい気持ちの有無、自殺計画の有無、手段の具体性などを確認し、緊急度を評価することが重要である。これにより、適切な介入や安全確保の計画を立てるための基盤となる情報を得る。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。自殺念慮のある患者に対し、現在の死にたい気持ちの有無を具体的に確認することは、自殺のリスクアセスメントの第一歩であり、適切な介入を行う上で最も重要である。選びやすい理由:患者の安全確保を最優先する看護師の役割に合致するため。混同注意:単なる傾聴と具体的なリスク評価の区別。
- 2. 「生命を尊重すべきである」という助言は、患者の苦悩や葛藤を理解しようとせず、一方的な価値観を押し付けるものであり、患者を孤立させ、かえって自殺念慮を強める可能性がある。正しくは:患者の苦しみに寄り添い、傾聴する姿勢を示すとともに、具体的な希死念慮の有無や背景をアセスメントする。選びやすい理由:倫理的に正しい考え方であるため、良かれと思って選択しがちである。混同注意:倫理的助言と、共感的理解に基づく看護介入の区別。
- 3. 「死ぬ気力があれば何でも達成できる」という発言は、患者の苦しみを軽視し、鼓舞することで問題を解決しようとするものであり、患者は理解されていないと感じ、より心を閉ざす可能性がある。また、自殺の肯定的な側面を暗示するような表現は不適切である。正しくは:患者の気持ちを否定せず、「死にたいくらい辛いのですね」と共感を示しながら、安全を確保し、専門家への相談を促す。選びやすい理由:患者を励まし、前向きにさせたいという意図から選びやすい。混同注意:建設的な励ましと、患者の感情を無視した無責任な励ましの区別。
- 4. 「家族が悲しむから命を絶つべきではない」と伝えることは、患者の苦しみに寄り添うことなく、罪悪感や責任感を煽ることで自殺を思いとどまらせようとするものであり、患者にさらなる精神的負担をかけ、本質的な問題解決には繋がらない。正しくは:家族の協力も視野に入れつつ、まずは患者自身の感情や苦痛に焦点を当て、傾聴とアセスメントを行う。選びやすい理由:家族の存在が自殺防止の一助となると考えがちであるため。混同注意:患者の視点と家族の視点の区別。患者の苦しみを第一に考える必要性。
国試ポイント
自殺のリスク評価と初期対応の原則を理解すること。特に、傾聴とアセスメントの重要性。
混同注意
自殺のリスク評価と、患者の気持ちを否定したり説得したりする対応とは異なる。前者は患者の安全確保のため、後者は患者を孤立させかねない。
次に同じ論点が出たら
患者の訴えに対し、共感的に傾聴し、具体的なアセスメント(希死念慮の有無、計画性、手段の具体性、実行可能性)を優先しているか。
関連知識
自殺のリスク因子(精神疾患の既往、希死念慮の具体性、過去の自殺企図、サポート体制の脆弱性など)、自殺予防のための多職種連携(精神科医、心理士、PSWなど)、精神保健福祉法に基づく対応。