Aさん(38歳、女性)は、大腸癌の終末期である。癌性腹膜炎による症状緩和の目的で入院し、鎮痛薬の静脈内注射と高カロリー輸液が開始された。Aさんは自宅で過ごしたいと希望したため、医師と看護師で検討し、症状緩和をしながら自宅退院の方向で退院支援カンファレンスを開催することになった。退院支援カンファレンスの参加者で適切なのはどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第110回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・5番
解説
大腸癌末期の患者が自宅療養を希望する場合、鎮痛剤の点滴や高カロリー輸液の継続が必要であり、薬剤師は自宅での適切な薬剤管理、特に点滴製剤の調剤や管理、副作用の評価、服薬指導に関して不可欠な専門知識を提供します。また、ソーシャルワーカーは患者の経済的・社会的問題、例えば医療費の助成制度の利用や介護保険制度の導入、転院・転所支援など、多岐にわたる調整や情報提供を行い、在宅療養を円滑に進める上で中心的な役割を担います。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。Aさんは鎮痛剤の点滴と高カロリー輸液を受けており、自宅でのこれらの管理には薬剤師の専門知識が不可欠です。在宅での点滴製剤の調剤、管理方法、副作用への対応、他の薬剤との相互作用などについて指導・調整を行うため、重要な参加者です。選びやすい理由:直接的な医療処置に関わるため、必要性が明確である。混同注意:医師や看護師が薬剤に関する全てを担うと思われがちだが、薬剤管理の専門家としての薬剤師の役割は大きい。
- 2. 言語聴覚士は嚥下機能やコミュニケーション障害のリハビリテーションを専門としますが、Aさんの症例では、大腸癌末期による癌性腹膜炎であり、嚥下障害やコミュニケーション障害の具体的な記述がないため、現時点でのカンファレンスへの緊急性は低いと判断されます。正しくは:嚥下障害や構音障害がある場合に招集すべきである。選びやすい理由:リハビリテーション職種の一員として、退院後の生活の質向上に貢献すると考えられるから。混同注意:理学療法士や作業療法士など、他のリハビリテーション職種との役割分担。
- 3. 臨床検査技師は診断のための検体検査や生理機能検査を行う専門職であり、退院支援カンファレンスにおいては、検査結果を説明する役割はあるものの、直接的な在宅療養支援計画の立案には関与しません。正しくは:診断や治療効果判定のための検査が必要な場合に、医師・看護師と連携し情報を提供する役割を持つ。選びやすい理由:医療従事者であるため、医療チームの一員として参加が必要だと誤解されやすい。混同注意:医師や看護師が検査結果を解釈し、治療に結びつける役割と混同。
- 4. 介護支援専門員(ケアマネジャー)は主に介護保険制度の利用調整を行いケアプランを作成しますが、Aさんは38歳と若く、介護保険サービスの利用対象となる65歳未満の場合、特定疾病に該当する必要があります。大腸癌は特定疾病ですが、介護保険サービスの必要性がカンファレンス時点で具体的に示されていません。退院支援カンファレンスには、まず患者の社会福祉的支援全般を調整するソーシャルワーカーが優先的に招集されるべきです。正しくは:介護保険サービスの利用が具体的に見込まれる場合に招集すべきである。選びやすい理由:在宅療養では介護サービスが重要になるため、必須の参加者と考えられやすい。混同注意:ソーシャルワーカー(MSW)との役割の混同。ケアマネジャーは介護保険に特化している点が異なる。
- 5. 正解。Aさんは大腸癌末期であり、自宅での療養を強く望んでいます。ソーシャルワーカー(医療ソーシャルワーカー)は、医療費助成制度の利用、介護保険制度の申請支援(特定疾病の場合)、転院・転所調整、在宅サービス導入調整など、患者の経済的・社会的問題を解決し、退院後の生活を円滑にするための多岐にわたる支援を行います。特に末期がん患者の場合、緩和ケア病棟の利用や地域資源の活用など、社会福祉的な側面からの支援が不可欠であるため、重要な参加者です。選びやすい理由:患者の心理的・社会的側面への支援が重要であるため、選択肢として理解しやすい。混同注意:介護支援専門員との役割の混同。
国試ポイント
退院支援カンファレンスにおける多職種連携の役割と、各専門職種の具体的な業務範囲を理解しているか。
混同注意
介護支援専門員とソーシャルワーカーの役割は混同しやすいが、介護支援専門員は介護保険サービスに特化したケアプラン作成が主業務であるのに対し、ソーシャルワーカーは医療費助成や社会資源の活用など、より広範な社会福祉的支援を行う点で異なる。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、患者の抱える具体的な問題点(薬剤管理、経済的・社会的支援、リハビリテーション、栄養管理など)から、最も直接的にその問題解決に関わる職種を判断する。
関連知識
退院支援カンファレンスには、患者や家族、医師、看護師の他、必要に応じて管理栄養士(高カロリー輸液中の栄養管理)、理学療法士・作業療法士(ADL維持・向上)、訪問看護師(在宅での医療処置)、MSW(医療ソーシャルワーカー)などが参加し、多角的な視点から支援計画を策定する。