仰臥位で手術を受けた患者が術後に上肢の薬指と小指のしびれを訴えた。しびれの原因として考えられるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
薬指と小指のしびれは、尺骨神経の支配領域における症状です。手術中の仰臥位では、上肢を外転・外旋位に保ち、肘を軽く屈曲させた状態で固定するのが一般的ですが、肩関節が内旋した状態や、肘関節が過度に屈曲・伸展した状態で長時間固定されると、尺骨神経が圧迫・伸張されるリスクが高まります。特に、肩関節の内旋は、腋窩部や肘部管における尺骨神経の圧迫を引き起こしやすい体位です。
選択肢ごとの解説
- 1. 頸部の伸展は、一般的に正中神経や橈骨神経に影響を与える可能性があり、薬指と小指のしびれ(尺骨神経領域)とは直接結びつきにくいです。むしろ、手の親指から中指にかけてのしびれや、上腕から前腕の外側にかけての症状を引き起こすことがあります。正しくは:頸部の伸展は、通常、正中神経や橈骨神経に関連する症状を引き起こす可能性があります。選びやすい理由:広範囲の神経圧迫を連想させるが、具体的な神経支配領域と異なる。混同注意:広範囲の神経症状と勘違いしやすい。
- 2. 前腕の回内は、橈骨神経の深枝や正中神経の圧迫に関与することがありますが、薬指と小指のしびれは主に尺骨神経の領域です。回内自体が直接的に尺骨神経を圧迫することは稀です。正しくは:前腕の回内は、橈骨神経深枝や正中神経に関連する症状を引き起こす可能性があります。選びやすい理由:手の動きに関連するため、神経圧迫を想起させる。混同注意:尺骨神経麻痺と他の神経麻痺の症状が混同されやすい。
- 3. 正解。手術中に肩関節が内旋した状態で長時間固定されると、肘部管(尺骨神経溝)や腋窩部で尺骨神経が圧迫・伸張されるリスクが高まります。尺骨神経は薬指の半分と小指の感覚を司るため、その圧迫はこれらの指のしびれとして現れます。正しくは:肩関節の内旋は、肘部管や腋窩部での尺骨神経の圧迫・伸張を引き起こし、薬指と小指のしびれの直接的な原因となる可能性があります。選びやすい理由:他の選択肢も神経圧迫を思わせるが、尺骨神経の走行と圧迫部位を正確に結びつける必要がある。混同注意:漠然とした神経圧迫の概念に囚われやすいが、尺骨神経の解剖学的走行を理解しているかが問われる。
- 4. 肘関節の過伸展(伸展位)は、尺骨神経が肘部管内で伸張されることで圧迫を引き起こす可能性がありますが、通常は持続的な屈曲位での圧迫の方が尺骨神経麻痺の原因として多いです。また、長時間にわたる強い伸展位は、より正中神経や橈骨神経への影響も考えられます。正しくは:肘関節の持続的な伸展は、尺骨神経への圧迫を引き起こす可能性はありますが、一般的には屈曲位での圧迫の方が典型的です。選びやすい理由:肘部管症候群が肘に関連するため、選択肢として魅力的である。混同注意:肘関節の動きが尺骨神経に影響を与えることは正しいが、伸展位よりも屈曲位での圧迫が一般的である点を混同しやすい。
国試ポイント
手術中の体位と関連する神経障害について問われています。特に尺骨神経の走行と支配領域、およびその障害を引き起こしやすい体位を理解しているかが重要です。
混同注意
尺骨神経、正中神経、橈骨神経の支配領域と、それぞれが圧迫を受けやすい解剖学的部位および体位の知識が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
術後の神経障害が疑われる場合の初期対応(観察項目、医師への報告内容)や、予防のための看護介入について問われる可能性があります。
関連知識
手術体位による神経損傷のリスク、各末梢神経の解剖学的走行と支配領域、術後合併症の早期発見と対応。