高齢者が術後に呼吸器合併症を発症しやすい理由はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
高齢者では、加齢に伴い肺の弾性収縮能が低下し、気道が閉塞しやすくなるため、1秒量(努力呼気1秒量)が肺活量に占める割合(秒率)が減少します。この秒率の減少は、気道内分泌物の喀出能力の低下や、換気障害を引き起こしやすく、術後の無気肺や肺炎といった呼吸器合併症のリスクを高める主要な要因となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。高齢者では、加齢に伴い肺の弾力性が低下し、肺活量に対する1秒量(努力呼気1秒量)の割合が減少します。これは気道が虚脱しやすくなることを示唆し、喀痰排出能力の低下や換気障害を引き起こしやすく、術後の呼吸器合併症(肺炎、無気肺など)のリスクを高めます。選びやすい理由:肺機能低下と直結するため、最も直接的な要因として考えられます。混同注意:他の選択肢が呼吸機能の亢進や減少と逆の記述をしているため、正しい低下要因を見極める必要があります。
- 2. 高齢者では、肺の弾性収縮力の低下や気道の閉塞傾向により、むしろ残気量は増加する傾向にあります。残気量の増加は、新たな空気の取り込みを妨げ、ガス交換効率を低下させる要因となります。正しくは:残気量の増加選びやすい理由:「機能が低下する」という漠然としたイメージから、残気量も減少すると誤解する可能性があります。混同注意:残気量は年齢とともに増加するのが一般的であり、その生理的変化を理解しているかで判断が分かれます。
- 3. 高齢者では、加齢に伴い嚥下反射が鈍化する傾向にあります。嚥下反射の鈍化は誤嚥性肺炎のリスクを高める重要な要因であり、活発化するというのは誤りです。正しくは:嚥下反射の鈍化選びやすい理由:嚥下能力と呼吸器合併症の関連は知っていても、反射の亢進/鈍化を混同することがあります。混同注意:誤嚥性肺炎のメカニズムを正確に理解しているかが問われます。
- 4. 高齢者では、加齢に伴い気道の線毛運動が低下する傾向にあります。線毛運動の低下は、痰や異物の排出能力を弱め、気道感染や肺炎のリスクを高めます。活発化するというのは誤りです。正しくは:気道の線毛運動の低下選びやすい理由:気道防御機能が低下するという知識から、線毛運動も低下すると想像できますが、「活発化」という言葉に惑わされる可能性があります。混同注意:気道の防御機能全般の低下を理解していれば、線毛運動も低下すると判断できます。
国試ポイント
高齢者の呼吸器系における生理的変化とその術後合併症への影響を問う問題です。特に、肺機能検査の指標(秒率、残気量)と、誤嚥や感染防御に関連する機能(嚥下反射、線毛運動)の加齢による変化を正確に理解しているかが重要です。
混同注意
残気量と秒率の変化の方向性、および嚥下反射と線毛運動の加齢による機能変化は混同しやすいポイントです。高齢者では、一般的に機能が「低下」することが多いですが、残気量のように「増加」する指標もあるため、個別の知識が求められます。
次に同じ論点が出たら
術前のアセスメントで高齢者の呼吸機能低下が認められた場合、術中にどのような点に注意し、術後はどのような看護介入が適切か。
関連知識
肺活量、1秒量、秒率、残気量、機能的残気量、誤嚥性肺炎の病態、気道クリアランス、術後肺炎の予防策。