血液中のカルシウムイオン濃度が低下した際に、ホルモン分泌量が増加するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
副甲状腺から分泌される副甲状腺ホルモン(PTH)は、血中カルシウムイオン濃度が低下した際に分泌量が増加し、この濃度を正常範囲に戻す主要なホルモンです。PTHは骨からのカルシウム動員、腎臓でのカルシウム再吸収促進、そして活性型ビタミンDの産生を介した腸管からのカルシウム吸収促進により、血中カルシウム濃度を上昇させます。
選択肢ごとの解説
- 1. 膵島からはインスリンやグルカゴンが分泌され、血糖値の調節に関与しますが、カルシウムイオン濃度の調節とは直接関係ありません。正しくは:膵島は血糖調節ホルモンを分泌します。選びやすい理由:内分泌器官であるため、ホルモン分泌に関わる器官として選択肢に入りがちです。混同注意:血糖値の調節と、カルシウムイオン濃度の調節を混同する可能性があります。
- 2. 甲状腺からは甲状腺ホルモン(サイロキシン、トリヨードサイロニン)が分泌され代謝を促進し、またパラ濾胞細胞からはカルシトニンが分泌されます。カルシトニンは血中カルシウムイオン濃度が『高い』ときにその濃度を低下させる働きをします。設問は『低下した際』のホルモン増加を問うているため、誤りです。正しくは:甲状腺から分泌されるカルシトニンは、血中カルシウムイオン濃度が上昇した際にその濃度を低下させます。選びやすい理由:カルシウム調節に関わるホルモン(カルシトニン)を分泌する器官であるため、迷いやすい選択肢です。混同注意:カルシウムイオン濃度が『低下』した場合のホルモンと、『上昇』した場合のホルモン、およびそれぞれの作用を混同しやすいです。
- 3. 下垂体は多くのホルモンを分泌し他の内分泌腺を制御しますが、直接的に血中カルシウムイオン濃度を低下時に上昇させるホルモンは分泌しません。正しくは:下垂体は他の内分泌腺を制御するホルモン(成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモンなど)を分泌します。選びやすい理由:内分泌系の司令塔としての役割から、あらゆるホルモン調節に関わると誤解しやすいです。混同注意:内分泌系の広範な知識と、特定のカルシウム調節機能との関連性を混同する可能性があります。
- 4. 副腎皮質からはアルドステロン(電解質コルチコイド)やコルチゾール(糖質コルチコイド)などが分泌されますが、これらは主に電解質バランス(ナトリウム・カリウム)や糖代謝、ストレス応答に関与し、血中カルシウムイオン濃度の直接的な調節とは異なります。正しくは:副腎皮質は電解質や糖代謝、ストレス応答に関わるホルモンを分泌します。選びやすい理由:副腎皮質も重要な内分泌器官であり、電解質バランスに関わるため、カルシウムも関連すると誤解しやすいです。混同注意:ナトリウムやカリウムといった他の電解質の調節と、カルシウムの調節を混同する可能性があります。
- 5. 正解。血中カルシウムイオン濃度が低下すると、副甲状腺から副甲状腺ホルモン(PTH)が分泌されます。PTHは、骨からのカルシウム放出促進、腎臓でのカルシウム再吸収促進、活性型ビタミンDの産生促進を通じて、血中カルシウムイオン濃度を上昇させる働きがあります。
国試ポイント
本問題は、血中カルシウムイオン濃度の調節メカニズムと、それに関わる主要な内分泌器官およびホルモンについて問うものです。特に、カルシウム濃度が『低下した際』に分泌が増加するホルモンとその産生臓器を正確に理解しているかがポイントとなります。甲状腺のカルシトニンと副甲状腺のPTHの作用方向(上昇時/低下時)の区別が重要です。
混同注意
甲状腺から分泌されるカルシトニンと、副甲状腺から分泌される副甲状腺ホルモン(PTH)の作用方向(血中カルシウム濃度を『下げる』か『上げる』か)が混同されやすい。また、血中カルシウム濃度の上昇・低下、どちらの状況でそれぞれのホルモンの分泌が増加するのかを正確に理解しておく必要がある。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合は、血中カルシウムイオン濃度が『上昇した際』に分泌量が増加するホルモンとその産生臓器、およびその作用(甲状腺とカルシトニン)について問われる可能性があります。また、これらのホルモンが具体的にどのようなメカニズム(骨、腎臓、腸管への作用)で血中カルシウム濃度を調節するのか、さらに深い理解が問われることも考えられます。
関連知識
副甲状腺ホルモン(PTH)の作用機序:骨からのカルシウム・リン酸放出促進、腎臓でのカルシウム再吸収促進・リン酸排泄促進、活性型ビタミンD産生促進。活性型ビタミンDの作用:腸管からのカルシウム・リン酸吸収促進。カルシトニンの作用:骨へのカルシウム沈着促進、腎臓でのカルシウム排泄促進(結果として血中カルシウム濃度低下)。