Aさん(85歳、女性)。左側の人工股関節置換術後10日である。日中は看護師の援助によって車椅子でトイレまで行くことは可能であるが、夜間はポータブルトイレを使用している。Aさんの夜間の療養環境を整える上で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
人工股関節置換術後の患者は、脱臼予防のため術側の股関節の過度な屈曲や内転を避ける必要があります。左股関節術後のAさんの場合、ベッドの右側にポータブルトイレを配置することで、ベッドからポータブルトイレへ移動する際に術側(左側)の股関節に負担がかかる体勢を避け、より安全に、かつ自立を促すことができます。これにより転倒リスクを減らし、脱臼を予防します。
選択肢ごとの解説
- 1. ベッドの足元の柵を下げた状態にしておくことは、転落のリスクを高め、特に夜間は安全確保の観点から不適切です。Aさんは夜間ポータブルトイレを利用しており、移動時の転倒予防が重要です。正しくは:ベッドの足元の柵は、可能な限り上げた状態にするか、介助しやすいように片側を下げる場合は、転落防止策を講じるべきです。選びやすい理由:介助のしやすさを優先すると、柵が邪魔になるため下げた方が良いと考えるかもしれません。混同注意:介助時の便宜性と患者の安全確保の優先順位。
- 2. 脱ぎ履きしやすいタイプのスリッパは、つまずきやすく、転倒のリスクを高めます。特に人工股関節置換術後の患者は、バランス能力が低下しており、しっかり固定できる靴や滑りにくい素材の履物を選ぶ必要があります。正しくは:かかとを固定でき、滑りにくい素材の室内履き(例:リハビリシューズ)を用意するのが適切です。選びやすい理由:患者自身が楽に脱ぎ履きできることを優先してしまうと、この選択肢を選んでしまいがちです。混同注意:患者の利便性と安全性の優先順位。
- 3. 正解。左股関節術後のAさんがベッドから右側に配置されたポータブルトイレへ移動する際、術側(左側)の股関節の過度な屈曲や内転を避けることができます。これにより、脱臼のリスクを軽減し、安全な移乗が可能になります。選びやすい理由:正しい知識があれば適切な選択肢です。混同注意:術側と非術側の区別、およびそれぞれの股関節にかかる負担の理解。
- 4. オーバーテーブルを整理して移動時の支えにすることは、不安定であり、転倒の危険性を高めます。オーバーテーブルは本来、食事や作業に使用するものであり、体重を支えるためのものではありません。正しくは:移動時に支えが必要な場合は、ベッドサイドに手すりやサイドレール、または介助者が適切に支持します。選びやすい理由:患者が掴まるものが近くにあると安心感があるため、これを支えとして利用できると考えてしまうかもしれません。混同注意:一時的な補助具と、安全に体重を支えるための適切な支持具の区別。
国試ポイント
人工股関節置換術後の脱臼予防のための体位・動作制限に関する知識が問われています。特に、術側への負担を避けるための環境整備が重要です。
混同注意
術後の安静度と活動範囲の判断を混同しやすい。部分的な自立支援と完全な介助の判断を間違えやすい。
次に同じ論点が出たら
人工股関節置換術後の患者の療養環境に関する問題では、術側の股関節に負担をかけないための具体的な動作や環境設定(例:ベッドの高さ、トイレの位置、履物、自助具の活用)が適切であるかを確認します。
関連知識
人工股関節置換術後の一般的な禁忌肢位:股関節の過屈曲(90度以上)、内転(足を交差させる)、内旋(つま先が内側を向く)です。これらの肢位を避けるための日常生活指導も重要です。