Aさん(19歳、男性)は、幼い頃から忘れ物や遅刻が多く、落ち着いて授業を受けることが難しかった。学校からは精神科の受診を勧められていたが、受診することなく高校まで卒業した。卒業後は事務職として働きはじめたが、仕事上のトラブルで上司や同僚から叱責を受けたことをきっかけに、仕事を無断で休むことが多くなった。産業医から精神科外来を紹介され、両親とともに受診した。本人の診察と両親からの生育歴の聴取が行われ、注意欠如・多動性障害〈ADHD〉と診断された。 Aさんは予約した受診日を忘れてしまい、受診できないことが度々あった。Aさんは、これまで忘れないための工夫を何もしてこなかったと外来看護師に話した。Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第110回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Aさんが予約日を頻繁に忘れる問題に対し、具体的な行動変容を促す介入は、自己効力感を高め、行動の習慣化を支援する上で最も直接的かつ効果的です。この対応は、認知行動療法の原則に基づき、行動変容の初期段階である計画作成を支援し、将来の行動を予測し実行する能力を高めます。
選択肢ごとの解説
- 1. 家族に管理を任せることは、Aさんの自己管理能力の向上につながらず、依存を助長する可能性があります。患者の自律性を尊重し、自己管理能力を促すアプローチが優先されます。正しくは:Aさん自身が予定を管理できるよう、具体的な方法を一緒に検討し、家族はそのサポート役として関わることを提案しましょう。選びやすい理由:家族が関わることで、一時的に問題が解決するように見えるため、最も手っ取り早い解決策だと感じやすい。混同注意:家族支援の必要性と、患者の自律性尊重のバランス。家族を頼ることは短期的な解決策にはなるが、長期的な自己管理には繋がりにくい。
- 2. 理由を考えることは問題解決の一助にはなりますが、具体的な行動が伴わないと解決には至りません。Aさんは対策を何もしてこなかったと述べており、まずは具体的な行動を促す必要があります。正しくは:理由を考えつつ、その理由に基づいた具体的な対策をすぐに実行に移すことを提案しましょう。選びやすい理由:問題の根本原因を特定しようとする姿勢は、共感的で患者中心のケアとして適切に見えるため。しかし、この段階では具体的な行動を促すことが優先される。混同注意:問題分析と行動変容の優先順位。心理的な深掘りばかりで行動に移せないこと。
- 3. デメリットを整理することは、行動変容への動機付けにはなりますが、具体的な行動を促すものではありません。Aさんは対策を何もしてこなかったと述べており、まずは行動を促す段階です。正しくは:デメリットを整理しつつ、その解決策となる具体的な行動をすぐに実行に移すことを提案しましょう。選びやすい理由:内発的動機付けを促す介入として適切に見えるため。しかし、Aさんの場合は対策を何もしてこなかったという状況から、動機付けを促しつつ、具体的な行動をすぐに開始することが重要である。混同注意:動機付けの促進と具体的な行動支援の順序。動機付けは重要だが、具体的な行動計画がなければ問題は解決しない。
- 4. 正解。Aさんがこれまで忘れないための対策を何もしてこなかったと打ち明けている状況で、具体的な行動をすぐに促すことは、自己管理能力の向上に直結します。これは行動変容を促す上で最も効果的な介入であり、具体的な行動を始める第一歩となります。選びやすい理由:最も直接的な解決策であるため。
国試ポイント
患者の自己管理能力を高めるための具体的な行動変容支援の原則を理解すること。特に、問題行動の背景にある心理状態を考慮しつつ、即座に実行可能な行動計画を立てることの重要性。
混同注意
患者の自律性を尊重しつつ、具体的な支援を行うことと、患者にすべてを任せることの区別。また、精神的な問題の深掘りと、行動変容のための実践的な介入の優先順位。
次に同じ論点が出たら
患者が具体的な行動に移せるか、患者の現在の状況(認知能力、身体状態、社会環境)に即した支援となっているか。
関連知識
ヘルスプロモーション、自己効力感、行動変容ステージモデル、認知行動療法、セルフケア支援。