転倒・転落を起こすリスクを高める薬はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
降圧薬は血圧を低下させる作用があるため、特に起立時に血圧が急激に低下する起立性低血圧を引き起こす可能性があります。起立性低血圧の症状として、めまい、ふらつき、失神などがあり、これらが転倒・転落の直接的な原因となります。高齢者では、血圧調節機能の低下や多剤併用により、このリスクがさらに高まるため、看護師は注意深く観察し、必要に応じて転倒予防策を講じる必要があります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。降圧薬は血圧を低下させるため、起立性低血圧を引き起こしやすく、めまいやふらつきから転倒・転落のリスクが高まります。特に高齢者や多剤併用者では注意が必要です。選びやすい理由:血圧低下は直接的な身体動揺に繋がりやすいため、この選択肢は非常に可能性が高い。混同注意:他の薬も副作用はあるものの、直接的に身体のバランスを崩す作用は降圧薬が最も顕著です。
- 2. 抗凝固薬は出血リスクを増加させますが、直接的に転倒・転落の原因となるふらつきやめまいを引き起こす作用は通常ありません。転倒時の外傷で出血が悪化するリスクはありますが、転倒自体を誘発する薬ではありません。正しくは:抗凝固薬は出血リスクを高めるが、転倒自体を誘発する作用は一般的に低い。選びやすい理由:転倒した場合の重症度を高めるため、関連性があるように見えるかもしれません。混同注意:転倒による外傷の重症化と、転倒そのものの原因を混同しないように注意が必要です。
- 3. 気管支拡張薬は気管支喘息やCOPDなどで用いられ、気道抵抗を減少させ呼吸を楽にする薬です。頻脈や手の震えなどの副作用はありますが、直接的に転倒・転落のリスクを高めるようなめまいやふらつきは一般的ではありません。正しくは:気管支拡張薬は頻脈や振戦の副作用があるが、転倒を直接引き起こすことは稀。選びやすい理由:交感神経刺激作用による動悸や振戦が、不安定感を誘発する可能性もわずかにあると感じるかもしれません。混同注意:直接的な運動機能や平衡感覚への影響は小さいです。
- 4. 副腎皮質ステロイド薬は、免疫抑制や抗炎症作用など多岐にわたる効果がありますが、骨粗鬆症による骨折リスクの増加や筋力低下(ステロイドミオパチー)を引き起こす可能性はあります。しかし、直接的にめまいやふらつきを誘発し転倒リスクを高める作用は一般的ではありません。正しくは:副腎皮質ステロイド薬は骨粗鬆症や筋力低下のリスクがあるが、直接的な転倒誘発作用は低い。選びやすい理由:長期使用による筋力低下や骨脆弱化は転倒時の骨折リスクを高めるため、間接的な関連性を感じるかもしれません。混同注意:転倒の結果としての骨折リスクと、転倒の原因となる直接的なふらつきやめまいを区別する必要があります。
国試ポイント
薬剤が転倒・転落リスクに与える影響は、高齢者看護における重要な論点です。特に、薬理作用から直接的に身体の平衡感覚や血圧調節に影響を与える薬剤について理解しておく必要があります。降圧薬、向精神薬、睡眠薬などが代表的です。
混同注意
抗凝固薬は転倒時の重症度を高めるため、転倒リスクと混同されやすいですが、薬自体が転倒を誘発する作用は通常ありません。ステロイド薬も筋力低下や骨粗鬆症によって転倒時の骨折リスクを高めますが、直接的な転倒誘発とは異なります。
次に同じ論点が出たら
患者の既往歴、現在の服用薬、既往の転倒歴、身体機能などを総合的に評価し、個別の転倒リスクアセスメントと予防計画を立てることが求められます。
関連知識
高齢者の転倒予防には、薬物療法の見直し(ポリファーマシー対策)、運動機能の維持・向上、居住環境の整備、視力・聴力の補正などが複合的に関与します。特に、転倒リスク評価スケール(例:Morse Fall Scale)の活用も重要です。