精神科病院入院患者の身体的拘束中に発生しやすい合併症はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
身体拘束は患者の身体活動を極度に制限し、長期臥床状態を引き起こします。これにより、下肢の静脈血流が停滞し、深部静脈血栓症(DVT)のリスクが著しく高まります。DVTで形成された血栓の一部が剥がれて血流に乗り、肺動脈に到達して血管を閉塞させるのが肺血栓塞栓症です。これは生命に関わる重篤な合併症であり、身体拘束中の患者には、弾性ストッキングの着用、足関節の運動、早期離床の検討など、予防策を講じることが極めて重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 身体拘束は直接的に糖尿病の新規発症や悪化に繋がるものではありません。糖尿病は生活習慣病であり、身体拘束との直接的な関連性は薄いです。正しくは:身体拘束そのものが糖尿病の直接的な原因とはなりません。選びやすい理由:精神疾患患者は生活習慣病を合併しやすい傾向があるため、漠然と身体合併症の一つとして選んでしまうかもしれません。しかし、身体拘束「中」に特有の合併症ではありません。混同注意:精神疾患と身体合併症一般との関連性。
- 2. 足白癬は白癬菌による感染症であり、不衛生な環境や免疫力の低下が要因となりますが、身体拘束自体が直接的な原因とはなりません。正しくは:身体拘束が直接的に足白癬の原因となることはありません。選びやすい理由:長期間の臥床や清潔ケアの困難さから皮膚トラブル全般を連想し、選びたくなるかもしれませんが、足白癬に特異的ではありません。混同注意:長期臥床や清潔ケア不足による一般的な皮膚疾患(褥瘡など)と混同する可能性。
- 3. 悪性症候群は主に抗精神病薬の副作用として発症する重篤な状態です。身体拘束自体が悪性症候群を引き起こすわけではありません。正しくは:悪性症候群は主に抗精神病薬の副作用として発生します。選びやすい理由:精神科領域の患者に起こる重篤な合併症であり、身体拘束と関連がないわけではない(身体拘束を要するような興奮状態の患者に抗精神病薬が投与されることがあるため、間接的に関連があるように見える)ため、選びやすいかもしれません。しかし、身体拘束「が直接的に引き起こす」ものではありません。混同注意:精神科治療全般における重篤な合併症と、身体拘束に直接起因する合併症。
- 4. 正解。身体拘束によって患者さんの活動量が著しく制限され、長時間の不動状態が続きます。これにより下肢の静脈に血栓ができやすくなり(深部静脈血栓症)、その血栓が剥がれて肺動脈に詰まることで肺血栓塞栓症を引き起こすリスクが高まります。これは身体拘束中の患者に特に注意すべき重篤な合併症です。
国試ポイント
この問題は、精神科医療における身体拘束の実施に伴う身体的リスク、特に長期臥床状態や活動制限から生じる循環器系の合併症についての知識を問うています。看護師として、身体拘束を実施する際の合併症予防とモニタリングの重要性を理解しているかを確認するものです。
混同注意
精神科の患者に起こりうる合併症全般(例:悪性症候群、薬剤性パーキンソニズム、褥瘡など)と、身体拘束「が直接的または間接的に高める」合併症とを混同しやすい。特に、身体拘束による活動制限でリスクが高まる合併症(血栓塞栓症、肺炎、褥瘡、筋力低下など)に焦点を当てて考える必要があります。
次に同じ論点が出たら
身体拘束中の患者の合併症に関する問題が出た場合、まず「活動量の制限」や「精神状態の変化」に起因する合併症を重点的に検討します。具体的には、循環器系(血栓塞栓症)、呼吸器系(肺炎)、皮膚系(褥瘡)、筋骨格系(筋力低下、関節拘縮)などの身体的合併症と、精神的苦痛(せん妄、心的外傷後ストレス障害など)の両面からリスクを評価し、最も直接的に結びつく重篤な合併症を選択します。
関連知識
深部静脈血栓症(DVT)のメカニズムと症状。エコノミークラス症候群とその予防。身体拘束の適応、期間、解除基準、および関連法規(精神保健福祉法)。身体拘束中の患者へのケア(体位変換、皮膚観察、清潔ケア、水分補給、関節可動域訓練など)。DVT/肺血栓塞栓症の予防策(弾性ストッキング、フットポンプ、早期離床、下肢運動、水分補給)。