生後11か月の男児。ある日の朝、自宅でボタン型電池を飲み込んだ疑いがあり、その日の午前中に外来を受診した。胸部エックス線撮影によって、ボタン型電池が食道下部にあることが確認された。行われる処置で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
ボタン型電池が食道内に停滞している場合、電池が食道粘膜に接触することで電流が流れ、電気化学的反応により短時間で食道組織に重篤な損傷(壊死、穿孔など)を引き起こす可能性があります。そのため、発見され次第、可能な限り速やかに内視鏡などで摘出する緊急処置が必須となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 背部叩打法は、気道異物の除去に用いられるものであり、食道に異物がある場合には効果がありません。むしろ、異物をさらに奥へ押し込むリスクや、粘膜損傷のリスクがあります。正しくは:この処置は不適切です。選びやすい理由:窒息予防の基本処置として知られているため、誤って選ぶ可能性があります。混同注意:気道異物と食道異物の違いを混同していると間違えやすいです。
- 2. 緩下薬は、異物が腸管を通過するのを促す目的で用いられることがありますが、食道に留まっているボタン型電池に対しては効果がなく、時間が経過することで食道粘膜の損傷を進行させる危険性があります。正しくは:食道内の異物に対して緩下薬は適切ではありません。選びやすい理由:異物排出を促す処置として、漠然と選んでしまう可能性があります。混同注意:胃や腸に到達した異物への対応と、食道に留まる異物への対応を混同していると間違えやすいです。
- 3. 催吐薬の使用は、食道粘膜をさらに傷つけたり、嘔吐物とともに電池が再度気道に入る誤嚥のリスクを高めるため、ボタン型電池の誤飲時には禁忌とされています。正しくは:催吐薬の使用は危険であり、行ってはいけません。選びやすい理由:飲み込んだものを取り出す手段として、反射的に選んでしまう可能性があります。混同注意:一般的な誤飲時の対応と、ボタン型電池のような腐食性異物の誤飲時の対応を区別できていないと間違えやすいです。
- 4. 正解。ボタン型電池は、食道粘膜に接触することで電気化学反応を起こし、短時間で重篤な組織損傷(潰瘍、穿孔、気管食道瘻など)を引き起こす危険性が非常に高いため、食道に停滞している場合は、緊急の内視鏡的または外科的摘出術が最も適切な処置です。正しくは:この状況では、緊急摘出が最優先されます。選びやすい理由:手術という大掛かりな処置であるため、他の選択肢と迷う可能性があります。混同注意:ボタン型電池の特性(腐食性)と、それ以外の異物の特性を混同していると、緊急性の判断を誤ることがあります。
国試ポイント
ボタン型電池の誤飲における緊急性と、その対応の知識が問われています。特に、食道に留まっている場合の危険性と、早期摘出の必要性を理解しているかが重要です。
混同注意
通常の異物誤嚥とボタン型電池誤嚥の違い。ボタン型電池は放置すると重篤な合併症を引き起こすため、緊急性が高いことを認識している必要があります。
次に同じ論点が出たら
緊急摘出術の実施後、食道損傷の程度に応じて、適切な合併症の管理と長期的なフォローアップが必要となります。
関連知識
ボタン型電池誤飲時の合併症(食道穿孔、気管食道瘻、縦隔炎など)。異物誤飲の一般的な対応(気道異物と消化管異物の違い)。