腹部CT(別冊No. 3A〜C)を別に示す。胆石が半年間で胆囊内をAからCまで移動した。Cの状態を表すのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
下図AからCの経過は、胆石が胆囊内を移動し、最終的に胆囊頸部などの狭窄部に挟まり動かせなくなった状態を示しています。このような状態は「嵌頓」と表現されます。嵌頓胆石は強い痛みや胆囊炎の原因となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。胆石が胆囊頸部や胆囊管などの狭い部分に挟まり動かせなくなった状態を「嵌頓」と呼びます。図Cは胆囊頸部に胆石が固定されている状態を示しており、これが嵌頓に該当します。正しくは:適切です。選びやすい理由:胆石の移動と停止を示す状況において、最も医学的に適切な表現です。混同注意:他の選択肢も『移動』や『停止』を連想させるかもしれませんが、Cの状態(狭窄部での固定)を最も正確に表すのは嵌頓です。
- 2. 「侵入」は、通常、病原体などが組織内に入り込むことや、胆石が胆囊壁などを貫通して他臓器へ移動するような場合に用いられます。単に胆囊内で移動して停止した状態には当てはまりません。正しくは:胆石が組織や器官を貫いて入り込む場合に用いる表現です。選びやすい理由:胆石が本来の位置ではない場所に『入り込んだ』と解釈するかもしれませんが、この場合は適切ではありません。混同注意:侵入は、より組織破壊を伴うような状況や、他臓器への瘻孔形成などで使われることが多いです。
- 3. 「転位」は、通常、臓器の位置が移動することや、腫瘍細胞が元の場所から別の場所へ移動する(転移)際に用いられる表現です。胆石が胆囊内で位置を変えたことに対しては、一般的に使用しません。正しくは:臓器や細胞の位置移動、または転移を指す言葉です。選びやすい理由:胆石が『位置を変えた』という意味では似ているように感じますが、医学的な専門用語としては適切ではありません。混同注意:転位は骨折のずれや、悪性腫瘍の転移などでよく使われる言葉です。胆石の移動に対しては不自然です。
- 4. 「停留」は、通常、流れるべきものが停滞することや、ある場所にとどまることを意味しますが、胆石が狭い部分に挟まって動かせなくなった状態を特に指す言葉ではありません。より広い意味での停滞を指します。正しくは:ある場所にとどまることや、流れるべきものが停滞することを指しますが、狭窄部での固定を強調する表現ではありません。選びやすい理由:胆石が『その場に留まっている』という意味で選択したくなるかもしれませんが、『嵌頓』の方が狭窄部での固定を具体的に示します。混同注意:停留は、例えば精巣停留などで使われるように、特定の場所にとどまっている状態を示しますが、物理的な挟まりを意味するものではありません。
- 5. 「迷入」は、本来あるべき場所ではない場所に偶然入り込んでしまうことや、誤った経路に入ってしまうことを指します。胆石が胆囊内で移動し、最終的に狭窄部に挟まった状況に対しては適切な表現ではありません。胆囊内は胆石が存在しうる空間です。正しくは:本来の経路や場所を逸れて誤って入り込むことを指します。選びやすい理由:胆石が『本来あるべき位置ではない場所に落ち着いた』と誤解するかもしれませんが、胆囊内での移動は迷入とは言いません。混同注意:例えば、異物が気管に迷入するような場合に使う言葉であり、胆囊内での胆石の動きには適用されません。
国試ポイント
本問題は、画像から示される病態を正しく理解し、その病態を表現する適切な医学用語を選択できるかを問うものです。特に胆石症における胆石の移動とそれによる合併症の理解が重要です。嵌頓という用語の正確な意味を把握している必要があります。
混同注意
「停留」や「転位」も、石が『留まっている』『位置を変えた』という表面的な意味合いで混同しやすいですが、それぞれが指す医学的状況は異なります。「嵌頓」は特に狭窄部に『挟まり動かせなくなった』という限定的な状態を表します。
次に同じ論点が出たら
胆囊炎の診断基準や、嵌頓胆石による合併症(急性胆囊炎など)の症状、看護ケアについても確認しましょう。
関連知識
胆石症は、胆汁成分が結晶化してできる結石が胆囊内や胆管内に形成される疾患です。胆石が胆囊頸部や胆囊管に嵌頓すると、胆汁の流出が阻害され、胆囊炎や胆石性膵炎などの急性合併症を引き起こす可能性があります。嵌頓状態が続くと、胆囊壁の炎症や壊死に至ることもあります。治療には鎮痛、抗菌薬投与のほか、胆囊摘出術が検討されます。