膝蓋腱反射の低下で疑われる病態はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
膝蓋腱反射は、大腿四頭筋の伸展反射であり、末梢神経と脊髄の反射弓が正常に機能することで起こります。脚気はビタミンB1(チアミン)欠乏によって生じる疾患で、このチアミン欠乏が末梢神経障害(多発神経炎)を引き起こします。末梢神経の障害は、反射弓における神経伝達を妨げ、結果として深部腱反射(DTR)の低下または消失を招きます。したがって、膝蓋腱反射の低下は脚気を疑う重要な徴候の一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。脚気は、ビタミンB1(チアミン)の欠乏によって引き起こされる疾患です。ビタミンB1は神経機能に不可欠であり、その欠乏は末梢神経障害(多発神経炎)を招きます。末梢神経が障害されると、反射弓の求心路または遠心路が正常に機能しなくなり、膝蓋腱反射を含む深部腱反射が低下または消失します。特に、乾燥脚気(神経型脚気)ではこの症状が顕著です。
- 2. 壊血病は、ビタミンC(アスコルビン酸)の欠乏によって起こる疾患です。ビタミンCはコラーゲン生成に不可欠であり、その欠乏により毛細血管が脆弱になり出血傾向(歯肉出血、皮下出血、関節内出血)が主な症状となります。また、骨形成不全や貧血もみられますが、膝蓋腱反射の低下とは直接的な関連はありません。正しくは:出血傾向や歯肉の腫れ・出血がみられる病態です。選びやすい理由:栄養欠乏症という点で「脚気」と同じ範疇に入るため、混乱しやすい可能性があります。混同注意:他のビタミン欠乏症、特にビタミンB群の欠乏症による神経症状と混同する可能性があります。
- 3. くる病は、主にビタミンDの欠乏や代謝異常によって、小児期の骨の石灰化が障害される疾患です。骨が軟らかくなり、O脚やX脚、肋骨念珠などの骨変形が特徴的です。神経症状や反射の低下とは直接関係ありません。正しくは:骨の石灰化不全により骨の変形や成長障害がみられる病態です。選びやすい理由:ビタミン欠乏症であるため、他の選択肢と同様に栄養関連疾患として選びやすいかもしれません。混同注意:骨粗鬆症や骨軟化症といった他の骨代謝疾患、または他のビタミン欠乏症と混同する可能性があります。
- 4. 夜盲症は、ビタミンAの欠乏によって網膜の光受容細胞(特に桿体細胞)の機能が低下し、暗い場所での視力が著しく低下する症状です。眼の症状であり、全身の神経反射、特に膝蓋腱反射とは関連がありません。正しくは:暗順応が困難になり、暗所での視力低下がみられる病態です。選びやすい理由:ビタミン欠乏症の一種であるため、知識が曖昧な場合に他の選択肢と並べられると、誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:他の視覚障害(例:緑内障、白内障)や、他のビタミン欠乏症による神経症状と混同する可能性があります。
国試ポイント
看護師国家試験において、ビタミン欠乏症とその特徴的な症状、特にどの栄養素がどの臓器やシステムに影響を与え、どのような具体的な徴候として現れるかがよく問われます。今回は神経系の症状と反射に着目した問題で、原因となるビタミンと症状の関連性を正確に理解しているかが試されます。
混同注意
ビタミン欠乏症の症状は多岐にわたるため、他のビタミン欠乏症による神経症状(例:ビタミンB6欠乏による末梢神経障害)や、神経疾患(例:ギラン・バレー症候群、糖尿病性神経障害)による反射低下と混同しやすいです。また、反射の亢進(例:錐体路障害)との鑑別も重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まず「何の反射か」「反射低下か亢進か」を把握し、その反射を司る神経経路と関連する疾患を特定します。特に「栄養欠乏」が選択肢にある場合は、それぞれのビタミンがどのような生理作用を持ち、欠乏するとどの身体部位にどのような症状が現れるのかを詳細に検討する必要があります。
関連知識
深部腱反射の種類(上腕二頭筋反射、アキレス腱反射など)、反射弓の構成要素(感覚神経、介在神経、運動神経)、各ビタミンの主な生理作用と欠乏症の症状(例:ビタミンA - 夜盲症、ビタミンC - 壊血病、ビタミンD - くる病・骨軟化症、ビタミンB12 - 悪性貧血・神経症状)について理解しておくことが重要です。