急性期の患者に起きる生体反応で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
急性期は、外傷、手術、感染症などのストレスにより、生体の恒常性を維持しようとする様々な反応が起こります。これには交感神経系の亢進が含まれ、アドレナリンやノルアドレナリンといったカテコールアミンの分泌が著しく増加します。これにより、心拍数や血圧の上昇、血糖値の上昇、末梢血管の収縮などが引き起こされ、生体が緊急事態に対応できるよう準備されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 急性期には、損傷や炎症ストレスへの対応として、エネルギー消費が増大し、代謝は亢進します。正しくは:エネルギー代謝が亢進する。選びやすい理由:ストレスがかかることで一時的に体が「休眠状態」になる、という誤解から選んでしまうかもしれません。混同注意:慢性疾患や飢餓状態など、代謝が低下する他の病態と混同しやすいです。
- 2. 急性期には、免疫反応や組織修復のための材料を供給するため、蛋白質の異化(分解)が同化(合成)を上回ります。特に骨格筋の蛋白質が分解されやすいです。正しくは:蛋白質の異化作用が同化作用を上回る。選びやすい理由:体を治すためには蛋白質が必要だから、合成(同化)が活発になると考えてしまうかもしれません。混同注意:成長期や回復期など、積極的に組織が形成される時期と混同しやすいです。
- 3. 正解。急性期の身体的ストレス(損傷、炎症、感染など)に対して、交感神経系が活性化され、副腎髄質からカテコールアミン(アドレナリン、ノルアドレナリン)が大量に分泌されます。これは、血糖上昇、心拍数増加、血管収縮など、生体防御反応の一部です。
- 4. 急性期には、体液量減少、痛み、ストレスなどにより、抗利尿ホルモン(ADH)の分泌が亢進します。ADHは腎臓での水分の再吸収を促進し、体液量を維持しようとします。正しくは:抗利尿ホルモン(ADH)の分泌が亢進する。選びやすい理由:利尿作用がある物質と混同したり、ストレス下で体が余分な水分を排出する、という誤解から選んでしまうかもしれません。混同注意:心不全時におけるANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)の増加や、ADH不適合分泌症候群(SIADH)といった病態と混同しやすいです。
国試ポイント
急性期(侵襲期、ストレス期とも呼ばれる)の生体反応、特にホルモン動態、代謝変化、免疫応答に関する知識は、国家試験で頻繁に問われる重要項目です。交感神経の活性化によるカテコールアミンの増加、ACTH・コルチゾールの増加、ADHの増加、そして異化亢進(蛋白質・脂肪分解)、血糖値上昇などが典型的な反応として理解しておく必要があります。
混同注意
「炎症反応」と「急性期生体反応」の区別(ただし密接に関連します)。各ホルモンがどのような状況で増減するか。同化と異化の概念。
次に同じ論点が出たら
急性期患者のバイタルサイン(心拍数、血圧、血糖値)の変動から、どのようなホルモンが関与しているか判断できるか。急性期からの回復期(同化期)への移行で、代謝がどのように変化するかを説明できるか。急性期反応が過剰になった場合の病態(例:ショック、DIC)について理解しているか。
関連知識
ストレス反応に関わるホルモン(副腎皮質刺激ホルモン: ACTH、コルチゾール、カテコールアミン、抗利尿ホルモン: ADHなど)。急性期における代謝の変化(糖新生の亢進、脂肪分解、蛋白質異化)。炎症性サイトカイン(IL-6, TNF-αなど)の役割。SIRS(全身性炎症反応症候群)の概念。