Aさん(75歳、女性)は、1人暮らし。高血圧症の内服治療をしているが、その他に既往歴はない。認知機能は問題ない。軽度の円背があるが、日常生活動作〈ADL〉は自立している。簡単な家事は自分で行っており、家の中で過ごすことが多かった。近所に住む長女が時々、Aさんの様子を見に来ていた。ある日、Aさんは自宅の階段を踏み外して転落し、横向きになったまま動けなくなったところを訪問してきた長女に発見され、救急車で病院に運ばれ、右大腿骨頸部骨折と診断された。そのまま入院し、緊急手術を行うことになった。 Aさんの退院日が決定した。看護師は、Aさんの退院前の指導を行うことになった。Aさんから「医師から骨がもろくなっていると言われました。これ以上悪くならないように何をすればよいでしょうか」と質問があった。Aさんへの看護師の説明で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第110回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
日光を浴びることは、皮膚でのビタミンD生成を促し、ビタミンDはカルシウムの吸収を助けて骨の健康維持に不可欠です。骨がもろくなる骨粗鬆症の予防・改善には、ビタミンDの適切な摂取と骨への負荷をかける運動が重要とされています。
選択肢ごとの解説
- 1. 骨粗鬆症の予防および改善には、適度な運動が推奨されます。運動によって骨に負荷がかかることで、骨形成が促進され、骨密度の維持・向上が期待できます。ただし、転倒リスクの高い激しい運動は避けるべきですが、適切な体操やウォーキングなどはむしろ推奨されます。正しくは:「骨を強くするために、適度な運動を心がけましょう」選びやすい理由:骨がもろいと聞くと、安静にした方が良いと考えてしまうかもしれませんが、適度な運動は骨の強化に繋がります。混同注意:安静と運動療法の区別が曖昧だと誤った選択をしてしまう可能性がある。
- 2. 炭酸飲料の過剰摂取と骨密度低下との明確な因果関係は確立されていませんが、一般的に骨の健康に良い影響を与えるとは言えません。むしろ、リン酸を多く含む清涼飲料水の摂りすぎは、カルシウムの吸収を阻害する可能性や、他の栄養素の摂取不足を招く可能性があるため、推奨されません。正しくは:「炭酸飲料の飲みすぎは控え、水やお茶を飲みましょう」選びやすい理由:炭酸が骨に良いという誤解や、嗜好品として勧められることがあると勘違いする可能性がある。混同注意:「炭酸飲料が骨に悪い」という明確な科学的根拠が不足している一方で、「骨に良い」という根拠もないため、判断に迷う可能性がある。
- 3. 果物はビタミンやミネラル、食物繊維が豊富で健康に良い食品ですが、骨粗鬆症の直接的な予防や改善に特化した栄養素を多く含むわけではありません。骨の健康にはカルシウムやビタミンD、ビタミンKなどが重要であり、これらを効率的に摂取できる食品を優先すべきです。果物の摂りすぎは糖質の過剰摂取にもつながる可能性があります。正しくは:「カルシウムやビタミンDを多く含む食品を積極的に摂りましょう」選びやすい理由:果物が健康全般に良いというイメージから、骨にも良いと誤解する可能性がある。混同注意:「健康に良い食品」と「骨の健康に特に重要な食品」の区別が曖昧だと判断を誤る可能性がある。
- 4. 正解。日光を浴びることで、皮膚でビタミンDが生成されます。ビタミンDは、腸からのカルシウム吸収を促進し、骨への沈着を助ける重要な役割があります。骨粗鬆症の予防や治療において、ビタミンDの摂取は非常に重要であり、日光浴はビタミンDを体内で生成する自然な方法です。
国試ポイント
骨粗鬆症の予防・治療における生活習慣指導の知識が問われています。特に、ビタミンDの生成と日光浴の関連性、およびカルシウム摂取の重要性について理解している必要があります。
混同注意
骨粗鬆症の患者さんに対して、安静にすべきか運動すべきかで迷うことがあります。適度な運動は骨を強くするために必要ですが、過度な運動や転倒リスクのある運動は避けるべきです。
次に同じ論点が出たら
Aさんの具体的な食生活や運動習慣についてさらに情報収集し、より詳細で個別化された指導計画を立案する。
関連知識
骨粗鬆症の治療には、薬物療法(ビスホスホネート製剤、SERM、副甲状腺ホルモン製剤など)や、食事療法(カルシウム、ビタミンD、ビタミンKの摂取)、運動療法が複合的に行われます。看護師はこれらの療法の指導において、患者の理解度や生活状況に応じた個別的なアプローチが求められます。