Aさん(56歳、男性、会社員)は、デスクワークが多い仕事をしている。40歳時の会社の健康診断で2型糖尿病と診断され、紹介されたクリニックで血糖降下薬を処方されて内服を継続していた。50歳ころから視力の低下と持続性蛋白尿を指摘され、腎臓内科を受診し食事指導を受けた。しかし、仕事が忙しく食事指導の内容を守れていなかった。1年前から、足のしびれが出現するようになった。 Aさんの現在の状況のアセスメントで適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
「足のしびれ」は糖尿病の代表的な合併症である糖尿病性神経障害の初期症状として非常に典型的です。特に末梢神経障害では、足先から始まり、左右対称に感覚障害やしびれが出現します。したがって、Aさんの状況をアセスメントする上で、糖尿病性神経障害を疑うのが最も適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 緑内障は眼圧の上昇により視神経が障害される疾患であり、Aさんの記述からは眼に関する具体的な症状(視野狭窄、眼痛など)は読み取れません。糖尿病の合併症としては網膜症がありますが、緑内障とは直接関連しません。正しくは:糖尿病性網膜症の可能性を考慮する。選びやすい理由:糖尿病の合併症として眼科疾患(糖尿病網膜症など)があるため、眼に関する問題と誤解しやすい。混同注意:糖尿病網膜症と緑内障を混同する。
- 2. 運動療法は糖尿病治療の重要な柱ですが、Aさんの現状(足のしびれ)は運動による悪化の可能性や、すでに神経障害がある場合は転倒リスクを増大させる可能性があり、慎重な検討が必要です。特に末梢神経障害が疑われる場合は、足への負担を考慮した運動選択が求められます。正しくは:適切な運動療法について医師と相談し、足の状態を考慮して導入する。選びやすい理由:糖尿病治療において運動療法が重要であるという知識から、反射的に選択してしまう。混同注意:糖尿病治療全般の知識と、合併症がある場合の具体的な対応を混同する。
- 3. 正解。「足のしびれ」は、糖尿病の三大合併症の一つである糖尿病性神経障害の典型的な初期症状です。特に末梢神経障害では、手足の先端から左右対称に症状が現れることが多く、しびれや感覚鈍麻が特徴的です。Aさんの症状と完全に合致します。
- 4. 糖尿病の食事療法では、血糖コントロールが基本であり、高タンパク質食が必ずしも推奨されるわけではありません。むしろ、糖尿病患者では腎臓に負担がかかりやすく、過剰なタンパク質摂取は糖尿病性腎症を悪化させるリスクがあります。正しくは:バランスの取れた血糖コントロールのための食事療法が必要である。選びやすい理由:栄養状態が悪い場合や、特定疾患で高タンパク質食が推奨されるケースがあるため、一般論と混同しやすい。混同注意:一般的な健康増進のための食事と、糖尿病患者の特別な食事療法を混同する。特に腎機能低下時のタンパク質制限と混同しやすい。
国試ポイント
糖尿病の三大合併症(神経障害、網膜症、腎症)の典型的な症状と、それに対応する適切なアセスメントが問われる。特に神経障害の初期症状(しびれ、感覚鈍麻)を正確に理解しているかが鍵となる。
混同注意
糖尿病網膜症、糖尿病腎症といった他の合併症の症状。また、合併症がある場合の治療原則と、合併症を考慮した個別的な対応。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題された場合、患者の症状がどの合併症に該当するかを特定し、その合併症に応じたアセスメントや看護介入を選択できるかを評価する問題が多いだろう。
関連知識
糖尿病の三大合併症の具体的な症状、診断基準、治療原則。特に、神経障害のタイプ(末梢神経障害、自律神経障害)とその症状の鑑別。