Aさん(89歳、女性)は、認知症と診断されており、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクIIbである。定年退職後の長男(66歳、未婚)との2人暮らし。Aさんは「役所の世話になるのは嫌だ」と言い、要介護認定を受けることを承諾していなかった。しかし、Aさんが室内で転倒したことをきっかけに、要支援1の判定を受け介護予防訪問看護が導入された。 Aさんは「家事は私の仕事だ。息子にも他人にも任せられない」と言い、夕方になると、歩いて5分程度のスーパーマーケットへ買い物に行くことが長年の習慣となっている。最近、夜になっても帰宅せず、長男が探しに行くとスーパーマーケットから離れた公園のベンチに座っていることが数回あった。長男は訪問看護師に「母は私が後をついてきたと思い込んで怒るんです。このままでは心配です」と相談した。看護師が長男へ助言する内容で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Aさんは「家事は私の仕事だ。息子にも他人にも任せられない」という強い自尊心と責任感を持っています。買い物は長年の習慣であり、これを無理にやめさせたり、他者による介入を直接的に示唆したりすることは、Aさんの尊厳を傷つけ、反発を招く可能性が高いです。正答肢のように、Aさんの自発的な行動を尊重しつつ、自然な形で長男が同行することで、Aさんに警戒心を抱かせずに安全を確保し、徘徊によるリスクを軽減できるため、最も適切な助言です。
選択肢ごとの解説
- 1. 徘徊している高齢者が特定の場所に座っている場合、その場所で待機するのは、本人が探されていることへの抵抗感を強めたり、混乱を招いたりする可能性があります。また、長男が公園にいることに気づくと、尾行されているという誤解をさらに深める恐れがあります。正しくは:行動の背景にある心理を理解し、不安や混乱を軽減するような関わり方を検討します。選びやすい理由:すぐに発見できるため、一見すると安全確保の手段として有効に思えるかもしれません。混同注意:行方不明時の捜索と、徘徊行動への介入が混同されがちです。
- 2. Aさんの「家事は私の仕事だ。息子にも他人にも任せられない」という発言から、他者による家事支援への強い抵抗が読み取れます。この段階でホームヘルパーの利用を勧めるのは、Aさんの自尊心を傷つけ、反発を招く可能性が高いです。まずはAさんの気持ちに寄り添った対応が必要です。正しくは:Aさんの意欲や習慣を尊重しつつ、徐々に介入の可能性を探るか、他の方法で安全確保を図ります。選びやすい理由:家事負担軽減と安全確保の両面から有効な支援に見えます。混同注意:高齢者の生活支援全般と、認知症に伴う特定の行動への介入が混同されがちです。
- 3. Aさんにとって、買い物は「長年の習慣」であり「家事は私の仕事」という強い思いがある活動です。これを一方的にやめさせようとすると、Aさんの自立心や自尊心を著しく損ない、激しい抵抗や精神的な苦痛を引き起こす可能性が高いです。問題行動の解決には、本人の尊厳を守ることが不可欠です sickeningly正しくは:本人の習慣や意欲を尊重し、行動を制限するのではなく、安全を確保しながら継続できる方法を模索します。選びやすい理由:危険な行動を直接的に止められるため、最も手っ取り早い解決策に見えるかもしれません。混同注意:危険な行動への対処と、本人の生活習慣・尊厳の尊重が混同されがちです。
- 4. 正解。この助言は、Aさんの「家事は私の仕事だ」「息子にも他人にも任せられない」という自立心や責任感を尊重しつつ、長男が同行できる自然な理由を提供します。Aさんに「尾行されている」と感じさせず、自発的な行動を邪魔しない形で、長男がAさんの安全を間接的に見守ることができます。これにより、Aさんの尊厳を保ちながら、徘徊による迷子や事故のリスクを低減することが期待できます。選びやすい理由:本人の感情を逆撫でしない範囲での介入として、現実的な方法です。
国試ポイント
認知症高齢者の尊厳を尊重しつつ、危険行動に対してどのように安全を確保し、支援を行うかが問われる。本人の感情や習慣を考慮した、より穏やかで間接的な介入方法が求められる。
混同注意
直接的な行動制限や、すぐに専門職の介入を促す選択肢と混同しやすい。しかし、まずは本人の感情を害さない方法で対処することが重要。
次に同じ論点が出たら
今後、徘徊の頻度や場所の変化、Aさんの認知機能や気分変動、長男の介護負担などを継続的に評価し、必要に応じて医療機関への相談や介護サービスの段階的な導入を検討する。
関連知識
認知症高齢者へのBPSD(行動・心理症状)対応の基本原則、非薬物療法、コミュニケーション技術、インフォーマルサポートの活用。