Aさん(89歳、女性)は、認知症と診断されており、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準はランクIIbである。定年退職後の長男(66歳、未婚)との2人暮らし。Aさんは「役所の世話になるのは嫌だ」と言い、要介護認定を受けることを承諾していなかった。しかし、Aさんが室内で転倒したことをきっかけに、要支援1の判定を受け介護予防訪問看護が導入された。 ある冬の訪問時、長男が「母がここ数日寒さを訴え、居間にある電気こたつの温度を最も高くして、肩までもぐり込んでそのまま朝まで眠ってしまう」と話した。長男の話を受けて、看護師が最初に観察する項目で最も優先度が高いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
高齢者が電気こたつで長時間寝るという状況は、低温熱傷のリスクを極めて高めます。低温熱傷は自覚症状が乏しく、皮膚の深部に損傷が及ぶため、早期発見と適切な処置が重要です。そのため、全身の皮膚の状態、特に接触部位の確認が最も重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 筋力低下は高齢者によく見られる症状であり、寒がることや長時間同じ姿勢でいることと関連する可能性はありますが、電気こたつでの長時間睡眠という情報から直ちに最も確認すべき項目ではありません。低温熱傷のリスクがより直接的かつ緊急性が高いです。正しくは:電気こたつでの長時間睡眠から生じる可能性がある低温熱傷のリスクが確認された後、全身状態の一部として評価されるべき項目です。選びやすい理由:高齢者の全身状態を評価する上で一般的な項目であり、寒がるという訴えから活動性の低下を連想しやすいためです。混同注意:高齢者の一般的な全身状態の評価と、特定の状況による緊急性の高いリスク評価との優先順位。
- 2. 寒がることや体温調節の不調は感染の兆候の一つである可能性はありますが、電気こたつで暖を取っているという状況は、むしろ体温を上げようとする行動であり、感染症の直接的な兆候としては優先度が低いです。低温熱傷のリスクがより直接的です。正しくは:低温熱傷のリスクを排除した上で、発熱などの具体的な感染兆候がないかを確認する項目です。選びやすい理由:寒気は発熱の初期症状であることも多く、高齢者の全身状態悪化の原因として感染症を想起しやすいためです。混同注意:一般的な体調不良の訴えと、特定の環境要因による身体損傷のリスク評価。
- 3. 認知機能の低下は、電気こたつで寝てしまう行動の一因である可能性はありますが、この情報から直接的に確認すべき最も重要な観察項目は、すでに発生しているかもしれない身体的な損傷(低温熱傷)です。認知機能の評価は、その後のアセスメントに含まれます。正しくは:身体的な損傷のリスクが評価された後、その行動の背景要因として認知機能の評価を行うべきです。選びやすい理由:電気こたつで長時間寝てしまう行動は、判断力の低下(認知機能低下)を示唆しているように見えるためです。混同注意:行動の原因究明と、その行動によって生じる可能性のある緊急の身体的リスクの評価との優先順位。
- 4. 正解。電気こたつに肩まですっぽり入り、そのまま朝まで寝てしまうという状況は、皮膚が高温部に長時間接触することで低温熱傷を引き起こす可能性が非常に高いです。低温熱傷は自覚症状が乏しく、発見が遅れると重症化するため、全身の皮膚の状態、特に接触部位の確認が最も重要です。選びやすい理由:最も直接的かつ緊急性の高いリスクである低温熱傷の兆候を確認するため、選択肢として非常に適切です。
国試ポイント
高齢者の生活習慣と関連するリスク(特に低温熱傷)の評価と、それに伴う初期観察項目を理解すること。
混同注意
高齢者の寒がる訴えから全身状態の変化を総合的に捉える必要はありますが、特定の情報(長時間こたつでの睡眠)が与えられた場合、その情報から直接的に導かれる最も緊急性の高いリスクを優先して考える必要があります。
次に同じ論点が出たら
高齢者の生活習慣に関する情報があった場合、それが直接的に引き起こす可能性のある身体的リスク(外傷、熱傷、脱水など)を優先して判断し、そのリスクに対する最も直接的な観察項目を選択します。
関連知識
低温熱傷は44〜50℃程度の比較的低い温度で長時間接触することで生じ、深部組織が損傷されることが多いです。自覚症状が少ないため発見が遅れがちで、治癒に時間がかかり、褥瘡と鑑別が必要な場合もあります。高齢者や糖尿病患者は特にリスクが高いです。