ドパミン受容体が遮断されることで出現する症状はどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4・5番
解説
ドパミン受容体が遮断されると、脳内のドパミン系の活動が抑制されます。特に脳の基底核におけるドパミンD2受容体の遮断は、パーキンソン病のような運動障害を引き起こすことが知られています。これらの症状は錐体外路症状(Extrapyramidal Symptoms: EPS)と呼ばれ、筋強剛やアカシジアはその代表的な症状です。一方、幻聴や妄想はドパミン系の過活動によって生じる陽性症状と考えられており、ドパミン受容体遮断薬はこれらの症状を軽減するために用いられます。口渇は主に抗コリン作用による副作用であり、ドパミン受容体遮断とは直接関連がありません。
選択肢ごとの解説
- 1. ドパミン受容体の遮断は、統合失調症の陽性症状である幻聴を改善する方向へ作用します。幻聴はドパミンの過剰な活動が原因の一つと考えられており、遮断によって出現する症状ではありません。正しくは:幻聴はドパミン過活動が原因で出現する精神症状であり、ドパミン受容体遮断によって軽減される可能性があります。選びやすい理由:精神科領域の薬がドパミン系に作用することは知っていても、治療効果と副作用、あるいはドパミン過剰による症状と遮断による症状の区別が曖昧な場合、誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:ドパミン作動薬によって幻覚・妄想などの精神症状が悪化することがあるため、ドパミン系薬剤と精神症状の関連性を混同する可能性があります。
- 2. 口渇は、抗精神病薬などに含まれる抗コリン作用によって引き起こされる副作用であり、ドパミン受容体遮断が直接の原因ではありません。正しくは:口渇は主に抗コリン作用を持つ薬剤によって引き起こされる副作用であり、ドパミン受容体遮断とは異なるメカニズムです。選びやすい理由:抗精神病薬には多くの副作用があり、その中に口渇が含まれるため、深く考えずに選んでしまうことがあります。しかし、口渇はドパミン受容体遮断によるものではありません。混同注意:抗精神病薬の多様な副作用(抗コリン作用、抗ヒスタミン作用、抗α1作用など)と、ドパミン受容体遮断に特異的な副作用を混同する可能性があります。
- 3. 妄想は、統合失調症の陽性症状であり、ドパミン系の過活動が関連していると考えられています。ドパミン受容体遮断は、妄想を軽減させるための治療効果として期待されるものであり、遮断によって妄想が出現することはありません。正しくは:妄想はドパミン過活動が原因で出現する精神症状であり、ドパミン受容体遮断によって改善される可能性があります。選びやすい理由:幻聴と同様に、ドパミン系と精神症状の関連性が曖昧な場合、ドパミン遮断が精神症状を引き起こすと考え、誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:精神症状の原因としてのドパミン過剰と、その治療薬の副作用を混同する可能性があります。
- 4. 正解。ドパミン受容体(特にD2受容体)が脳の基底核で遮断されると、ドパミンとアセチルコリンのバランスが崩れ、パーキンソン病に似た錐体外路症状(EPS)が現れます。筋強剛(固縮)はその典型的な症状の一つです。
- 5. 正解。アカシジア(静座不能症)も、ドパミン受容体遮断によって引き起こされる代表的な錐体外路症状(EPS)の一つです。特徴として、特に下肢にそわそわとした落ち着きのなさや、絶えず動き回りたいという衝動が挙げられます。
国試ポイント
抗精神病薬などのドパミン受容体遮断作用を持つ薬剤によって生じる副作用、特に錐体外路症状の種類とメカニズムについて、正確な知識が問われています。薬剤の治療効果と副作用を混同しないように理解しておくことが重要です。
混同注意
統合失調症の陽性症状(幻聴、妄想など)と、その治療薬(ドパミン遮断薬)の副作用。また、抗精神病薬の多様な副作用(抗コリン作用など)の中から、ドパミン受容体遮断に特異的な副作用を正確に識別できるかがポイントです。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、錐体外路症状の中でも「遅発性ジスキネジア」や「悪性症候群」などの重篤な副作用、あるいは「高プロラクチン血症」のような内分泌系副作用が選択肢に含まれる可能性があります。また、非定型抗精神病薬が錐体外路症状を軽減するメカニズム(例:セロトニン・ドパミン拮抗作用)に関する知識も問われるかもしれません。
関連知識
ドパミン仮説(統合失調症の病態生理)、定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬の主な作用機序と副作用の比較、錐体外路症状(EPS)の種類と具体的な症状(パーキンソニズム、ジストニア、アカシジア、遅発性ジスキネジア)、悪性症候群、高プロラクチン血症など、ドパミン系薬剤に関連するその他の副作用。