Aさん(74歳、女性)は、1人暮らし。要介護1、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準Ⅱa。頻尿のため、自室からトイレへの移動中に廊下で失禁することが頻繁にある。1日3食の高齢者向け配食サービスを利用している。現時点でのAさんの日常生活で最も起こりやすいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
Aさんは74歳の要介護認定者で認知症高齢者の日常生活自立度判定基準Ⅱaであり、頻尿で自室からトイレへ向かう途中に尿を漏らすという状況から、急いでトイレに行こうとして足元が不安定になったり、失禁による焦りや注意力の散漫から、つまずいて転倒するリスクが非常に高いと考えられます。特に認知機能の低下があると、転倒リスクはさらに増加します。
選択肢ごとの解説
- 1. Aさんの情報からは、窒息を直接示唆する具体的な情報はありません。食事は配食サービスを利用しており、通常は嚥下しやすい形態の食事が提供されることが多いため、窒息のリスクが最も高いとは考えにくいです。正しくは:嚥下機能の低下や、食べ物を誤嚥しやすい状況(例: 固形物を急いで食べる、義歯が合わないなど)があれば、窒息のリスクが高まると考えられます。選びやすい理由:高齢者全体で見れば窒息のリスクはありますが、本事例のAさんの状況(頻尿、尿失禁、移動)に直接結びつくわけではありません。一般的な高齢者のリスクとして選択肢に含めやすいからかもしれません。混同注意:高齢者の一般的なリスクと、個別の症例における最も差し迫ったリスク。
- 2. 正解。Aさんは74歳、要介護認定を受けており、認知症Ⅱaで、頻尿のためにトイレへ向かう途中に尿を漏らします。この状況から、急いでトイレへ行こうと焦ったり、尿失禁によって足元が濡れたり、注意力散漫になることで、バランスを崩して転倒する可能性が非常に高いです。認知症による判断力の低下も転倒リスクを高めます。選びやすい理由:(正答のため該当なし)混同注意:(正答のため該当なし)
- 3. Aさんの情報からは、熱傷を直接示唆する具体的な情報はありません。配食サービスを利用しているため、自炊による火傷のリスクは低いと考えられます。給湯器や暖房器具の使用状況に関する情報もないため、最も頻繁に発生しやすい問題とは言えません。正しくは:熱源の不適切な使用(例: ストーブの近くでの転倒、湯沸かし器の操作ミス)や、身体機能の低下による素早い回避行動の困難さなどがあれば、熱傷のリスクが高まると考えられます。選びやすい理由:高齢者全体で見れば熱傷のリスクも存在しますが、本事例のAさんの状況(頻尿、尿失禁、移動)に直接結びつく具体的な要因が見当たらないため、選択肢として選びにくいです。一般的な高齢者の事故として考慮されるからかもしれません。混同注意:高齢者の一般的なリスクと、個別の症例における最も差し迫ったリスク。
- 4. Aさんは認知症高齢者の日常生活自立度判定基準でⅡaと評価されています。Ⅱaは「屋外で迷うなど、生活に支障を来たすような症状・行動が見られるが、一人で外出できる」レベルであり、自宅内で頻繁に徘徊するレベルの行動障害とは必ずしも結びつきません。本事例では頻尿と移動中の尿失禁という具体的な情報があり、徘徊よりも転倒のリスクが直接的かつ頻繁に発生しやすいと考えられます。正しくは:認知症の進行によりⅢa以上(自宅内での徘徊や問題行動)となれば、徘徊が最も頻繁な問題となる可能性が高まります。しかし、Ⅱaでは自宅内での徘徊は主たる問題ではないと判断されます。選びやすい理由:認知症と聞くと、徘徊を連想しやすいため、選びたくなるかもしれません。しかし、Ⅱaという具体的な評価基準から、外出時に迷うことはあっても、自宅内での頻繁な徘徊にまでは至らないと判断できます。混同注意:認知症の段階に応じた症状と、問題文で示された具体的な身体状況がもたらす直接的な危険性。
国試ポイント
高齢者の日常生活自立度と身体状況から起こりうる具体的な危険性を判断すること、特に認知症と身体機能低下が複合した際の転倒リスクの高さ。
混同注意
認知症高齢者の生活上の問題として、徘徊も想起されやすいが、本事例では頻尿と移動中の尿失禁という具体的な身体状況が示されており、転倒に直結する状況である点で区別される。また、窒息や熱傷も高齢者に多い事故だが、本事例に直接結びつく具体的な情報は少ない。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、高齢者のADL(Activities of Daily Living)やIADL(Instrumental Activities of Daily Living)の低下度合い、認知機能の状態、そして具体的な身体症状や生活環境から、最も直接的かつ頻繁に発生しうる危険性を判断する。
関連知識
認知症高齢者の日常生活自立度判定基準(I, IIa, IIb, IIIa, IIIb, IV, M)と、それぞれの段階で注意すべき点。高齢者の転倒のリスク因子(筋力低下、平衡機能障害、視力低下、多剤服用、住環境など)と、その予防策(手すりの設置、段差の解消、履物の選択、運動療法など)。