開心術後の心タンポナーデで正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・4番
解説
心タンポナーデは心嚢腔に液体が貯留し、心臓が拡張できなくなり、心拍出量が低下する病態です。これにより心臓の動きが制限されるため心音は減弱し、右心への還流が障害されるため中心静脈圧は上昇します。また、代償的に頻脈となり、奇脈(吸気時の収縮期血圧低下)が見られます。
選択肢ごとの解説
- 1. 心タンポナーデでは、心臓が圧迫されて心拍出量が低下するため、それを代償しようと心拍数は増加する傾向にあります(頻脈)。徐脈は一般的に見られません。正しくは:頻脈選びやすい理由:徐脈は心臓の異常を連想させるため誤解を招きやすいが、心タンポナーデの病態生理を理解していれば区別できる。混同注意:他の心疾患での徐脈と混同しがちですが、心タンポナーデでは循環動態維持のための代償性頻脈が特徴です。
- 2. 正解。心タンポナーデでは、心臓の周囲に貯留した液体が音を吸収するため、聴診時に心音が小さく聞こえる(減弱する)のが特徴的な所見です。混同注意:心臓の周囲の液体がクッションとなるため、心音が伝わりにくくなることを理解していれば正しいと判断できます。
- 3. 心タンポナーデでは、心臓が液体によって圧迫され、拡張が妨げられるため、心臓が一度に送り出せる血液量(心拍出量)は減少します。正しくは:心拍出量の減少選びやすい理由:心臓が頑張っているように感じるかもしれないが、圧迫によって機能が制限されることを理解する必要がある。混同注意:心臓の機能が亢進しているように感じる誤解がありますが、物理的な圧迫による機械的な制限が本態です。
- 4. 正解。心タンポナーデでは、心臓、特に右心房への血液還流が妨げられるため、その手前の中心静脈に血液が鬱滞し、中心静脈圧が上昇します。混同注意:心臓への血液流入が阻害される結果として、中心静脈圧が上昇することを理解していれば正しいと判断できます。
- 5. 吸気時に収縮期血圧が10 mmHg以上低下する現象は奇脈と呼ばれ、心タンポナーデの典型的な兆候です。選択肢は「高くなる」と記述しているため誤りです。正しくは:吸気時収縮期圧が10 mmHg以上低下する選びやすい理由:奇脈の概念を知っていても、「高くなる」という表現に気づかないと誤解を招く。数値の10mmHgは正しいが、変化の方向が逆である点を見落としやすい。混同注意:奇脈は「吸気時に収縮期血圧が低下する」現象であり、心タンポナーデではこの所見が重要です。記述とは逆の現象です。
国試ポイント
心タンポナーデの主要な兆候(Beckの三徴:心音減弱、頸静脈怒張/中心静脈圧上昇、動脈圧低下)と奇脈の理解が問われています。それぞれの症状が病態生理とどのように関連するかを正確に把握しておく必要があります。
混同注意
心タンポナーデと他の心不全の兆候、特に心原性ショックとの違いを理解することが重要です。また、奇脈の定義(低下する)を正確に覚えていないと、選択肢5のように方向性を逆に記述された場合に誤答する可能性があります。
次に同じ論点が出たら
心タンポナーデが疑われる患者の場合、バイタルサインのモニタリング、身体所見(特に頸静脈怒張、心音)、そして緊急心エコー検査による心嚢液貯留の評価が次の判断につながります。
関連知識
Beckの三徴(心音減弱、頸静脈怒張または中心静脈圧上昇、低血圧)、奇脈、頻脈。これらが心タンポナーデの診断において重要な臨床所見です。