胃食道逆流症について正しいのはどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4・5番
解説
胃食道逆流症では、胃酸の逆流により食道粘膜が損傷し、重症化するとバレット食道という前癌病変に移行することがあります。プロトンポンプ阻害薬は胃酸分泌を強力に抑制するため、症状緩和と粘膜治癒に効果的で、第一選択薬として用いられます。
選択肢ごとの解説
- 1. 胃食道逆流症で問題となるのは、胃酸によって食道の粘膜が傷害され、扁平上皮が円柱上皮に置換される「バレット食道」と呼ばれる腺上皮化生である。扁平上皮化生は円柱上皮が扁平上皮に変わる現象であり、これは通常、慢性的な炎症刺激に対する適応反応として、例えば気管支粘膜などで見られる。正しくは:食道に腺上皮化生(バレット食道)を引き起こす。選びやすい理由:「化生」という言葉が含まれるため、一見正しいように思えるが、化生の種類が異なる。混同注意:扁平上皮化生と腺上皮化生(バレット食道)の区別が曖昧だと誤りやすい。
- 2. 胃食道逆流症の主な原因は、下部食道括約筋の一時的な弛緩や機能不全、食道裂孔ヘルニア、食道クリアランスの低下、胃内容物の逆流などである。上部食道括約筋は、主に嚥下時の食塊の通過や、咽頭への逆流を防ぐ役割を担っており、胃食道逆流症の直接的な原因とは通常考えられない。正しくは:下部食道括約筋の弛緩によって生じることが多い。選びやすい理由:食道括約筋の弛緩が原因であるという点では正しいが、上部か下部かで異なるため誤りやすい。混同注意:食道にある2つの括約筋(上部と下部)の機能の違いを混同している可能性がある。
- 3. 胃食道逆流症の症状(胸やけ、嚥下困難など)の程度と、内視鏡で確認される食道炎(esophagitis)の重症度には必ずしも相関がない。軽度の食道炎でも強い症状を訴える患者もいれば、重度の食道炎があっても自覚症状が少ない患者もいる。正しくは:食道炎の程度と症状の強さが一致しない場合もある。選びやすい理由:症状と炎症は関係があるという一般的な認識から、一致すると考えがち。混同注意:症状の有無や強さが、必ずしも客観的な所見と一致しないという病態の多様性を理解していないと誤りやすい。
- 4. 正解。プロトンポンプ阻害薬(PPI)は、胃酸分泌を強力に抑制するため、胃食道逆流症の症状緩和と食道炎の治癒において最も効果的な薬剤であり、治療の第一選択薬として広く用いられている。正しくは:記述の通り。選びやすい理由:治療薬の種類が多いため、第一選択薬を正確に覚えていないと迷う可能性がある。混同注意:H2ブロッカーや制酸薬など、他の胃酸関連疾患治療薬との違いが不明確だと迷う。
- 5. 正解。バレット食道とは、胃酸の慢性的な逆流により食道の扁平上皮が胃や腸のような円柱上皮に変化した状態である。このバレット食道は、食道腺癌の前癌病変と考えられており、特に腸上皮化生を伴う場合、食道腺癌のリスクが著しく高まることが知られている。正しくは:記述の通り。選びやすい理由:バレット食道の病態自体は覚えているが、それが癌にどう関連するかまで理解していないと迷う。混同注意:食道癌の多くは扁平上皮癌であるため、腺癌との関連性が不明確だと迷う。
国試ポイント
胃食道逆流症の病態、主な原因、治療の第一選択薬、および合併症であるバレット食道と癌発生リスクについて正確に理解しているかが問われています。特に、症状と内視鏡所見の乖離や、食道括約筋の種類、化生の種類といった詳細な知識が重要です。
混同注意
選択肢1の「扁平上皮化生」と、バレット食道で起こる「腺上皮化生(円柱上皮化生)」を混同しやすい。また、選択肢2の「上部食道括約筋」と「下部食道括約筋」の役割の違いも頻出のひっかけポイントです。
次に同じ論点が出たら
胃食道逆流症の患者教育において、どのような生活習慣の改善指導が適切か、また合併症予防のために定期的な内視鏡検査が推奨されるのはどのような場合か、といった実践的な知識を問う問題が考えられます。
関連知識
プロトンポンプ阻害薬(PPI)の作用機序(胃壁細胞のプロトンポンプを阻害し、胃酸分泌を抑制)、H2ブロッカーとの違い。食道裂孔ヘルニアと胃食道逆流症の関連性。食道癌の種類(扁平上皮癌と腺癌)とその原因。