Aさん(30歳、男性)は統合失調症で内服治療をしていた。最近、部屋にこもり、精神科受診以外は外出しなくなった。ある日、母親がAさんの部屋で大量の薬を見つけ、確認すると「薬は飲みたくない」と話した。受診に付き添った母親は「Aは昼間に寝ていて、夜に窓を開けて、隣の家に向かって『悪口を言うな』『監視するな』と大声で怒鳴る」と主治医に話した。Aさんと母親の強い希望があり、精神科病棟に入院することになり、薬物療法が開始された。入院3日、夜間の巡視のたびにAさんは起きていて「隣の人が自分を監視している」「皆が悪口を言っている」と小さな声で看護師に話した。日中はホールで眠そうにしていることもあり、レクリエーションには「疲れた」と言って参加しない。他の患者と話すことはあるがトラブルはない。歯磨きや身だしなみは、声をかけると行う。 Aさんのセルフケアの観察項目で優先度が高いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
セルフケアの評価項目として「日中の活動量と十分な睡眠のバランス」は、生活リズムの確立と健康維持に直結し、特に精神的健康の基盤となるため最も重要です。活動と休息の適切な配分は、心身の回復を促し、QOL向上に不可欠です。
選択肢ごとの解説
- 1. 社会的な交流と孤立感の適切な調整はセルフケアの重要な側面ではあるが、日中の活動と睡眠のバランスが崩れると、これら社会的活動への参加意欲や能力にも影響が出ることが多いため、日中の活動量と睡眠のバランスほどには「最も重視すべき点」とは言えない。正しくは:日中の活動と十分な睡眠が確保された上で、社会的な交流を適切に調整する。選びやすい理由:精神的な健康や生活の質の向上において、社会的交流が重要であると認識されているため。混同注意:精神的健康や社会性の側面と、セルフケアの基礎的な生理的側面。
- 2. 正解。日中の活動量と十分な睡眠のバランスは、身体的・精神的健康の基盤であり、生活リズムの安定に不可欠である。このバランスが崩れると、他のセルフケア行動も困難になるため、最も重視すべき点である。選びやすい理由:生活リズムの安定が健康維持の基本であるという認識があるため。
- 3. 危険から身を守る能力はセルフケアの重要な側面ではあるが、日中の活動と睡眠のバランスが取れていないと、判断能力の低下や注意力散漫により危険察知能力も低下する可能性があるため、日中の活動量と睡眠のバランスほどには「最も重視すべき点」とは言えない。正しくは:適切な睡眠と活動量を維持し、心身の調和を保ちながら危険から身を守る能力を高める。選びやすい理由:安全の確保が基本的な欲求であり、ADLやセルフケアの重要な一部であるという認識があるため。混同注意:安全確保の側面と、セルフケアの基礎的な生理的側面。
- 4. 身体の清潔さの維持はセルフケアの基本的な項目であり重要ではあるが、これは日中の活動と睡眠のバランスが保たれた上で維持されることが多く、バランスが崩れると清潔保持への意欲や能力も低下しやすいため、日中の活動量と睡眠のバランスほどには「最も重視すべき点」とは言えない。正しくは:日中の活動と十分な睡眠を確保することで、清潔保持への意欲や能力を維持・向上させる。選びやすい理由:身だしなみや衛生が基本的な生活習慣の一部であり、ADLの重要な評価項目であるため。混同注意:ADL(日常生活動作)の具体的な項目と、セルフケアを支えるより根源的な要素。
国試ポイント
セルフケアの評価においては、単一の行動だけでなく、その行動を支える生活リズムや心身の健康状態に焦点を当てることが重要である。
混同注意
「セルフケア」は日常生活動作(ADL)と混同されやすいが、ADLが具体的な行為を指すのに対し、セルフケアはより広範な自己管理能力や健康維持行動を含む。
次に同じ論点が出たら
セルフケアの評価問題が出た場合、単なる身体的清潔さや安全確保だけでなく、その人の生活全体を支える基盤となる要素(生活リズム、心身のバランス、自己管理能力)に着目して判断する。
関連知識
セルフケアの概念には、オレムのセルフケア理論、ゴードンの機能的健康パターンなどがあり、身体的、精神的、社会的側面が総合的に評価される。睡眠障害は多くの疾患と関連し、日中の活動性にも影響を与えるため、そのバランスは多角的に評価されるべきである。