精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉に基づく入院形態で正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・3番
解説
選択肢1の応急入院は、急速な医療介入が必要な状況で、家族等の同意が得られない場合に72時間に限って入院させる制度であり、精神保健福祉法第33条の4に明確に定められています。選択肢3の措置入院患者が精神医療審査会に退院請求できるのは、患者の権利保障のために精神保健福祉法第38条の4で認められている制度であり、不当な入院の継続を防ぐための重要な手段です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。精神保健福祉法第33条の4で、応急入院は72時間を超えて継続することはできないと明記されており、正しい記述です。選びやすい理由:応急入院の期間について、正確な知識があるかを問うシンプルな選択肢であり、知識があれば正解できます。混同注意:緊急措置入院(72時間以内だが、延長の可能性やその手続きが異なる)
- 2. 緊急措置入院は、精神保健指定医2名が診察し、自傷他害のおそれがあると判断した場合に、都道府県知事または指定都市市長の命令によって行われる入院であり、直ちに退院させると自傷他害の危険があるため、本人や家族の希望のみで直ちに退院は許可されません。緊急措置入院は最長72時間であり、その間に措置入院への切り替えや任意入院への変更、または退院が検討されます。正しくは:緊急措置入院は自傷他害のおそれがある状態での入院であり、本人や家族が退院を希望した場合でも、直ちに退院が許可されるわけではありません。精神保健指定医による診察や都道府県知事の判断に基づいて、入院継続の要否が判断されます。選びやすい理由:患者の権利擁護の視点から「退院希望」があれば「許可される」と錯覚しやすいですが、緊急措置入院は自傷他害のおそれがある場合に公権力によって行われるため、安易な退院は認められません。混同注意:任意入院における退院の自由、あるいは医療保護入院における退院請求権の行使条件
- 3. 正解。精神保健福祉法第38条の4により、措置入院中の患者は、その処遇について不服がある場合、精神医療審査会に対して退院請求または処遇改善請求を行うことができると定められており、正しい記述です。選びやすい理由:措置入院中の患者の権利について正確な知識があるかを問うもので、人権擁護の観点から重要な制度です。混同注意:医療保護入院での退院請求権(措置入院と同様に精神医療審査会に請求できるが、入院の根拠が異なる点)
- 4. 精神保健福祉法第33条第3項において、精神保健指定医は、任意入院中の患者について、精神医療を継続しないと「医療及び保護を図る上で著しい支障がある」と判断した場合に、72時間を限度として退院を制限し、医療保護入院への切り替え等の措置を講じることができます。したがって、退院を制限する権限はあります。正しくは:精神保健指定医は、任意入院中の患者について入院継続が必要だと判断した場合、患者の退院を72時間に限り制限し、医療保護入院への切り替え等の措置を講じることができます。選びやすい理由:「任意入院」は原則として患者の自由な意思に基づくため、退院も自由であるというイメージから、指定医が退院を制限できないと誤解しやすいです。しかし、患者の状態によっては例外的に制限されることがあります。混同注意:任意入院の原則(自由に退院できる)と、例外的な退院制限(精神保健福祉法第33条第3項)
- 5. 医療保護入院を行うためには、精神保健指定医1名が診察し、入院の必要性を認めるとともに、保護者の同意(または市町村長の同意)が必要です。2名以上の指定医の判断が必要なのは、措置入院(2名)や緊急措置入院(1名が診察し、知事等の命令。ただし、最終的な措置入院への移行には2名の指定医の判断が必要となることが多い)です。正しくは:医療保護入院を行うためには、精神保健指定医1名が入院の必要性を判断し、保護者の同意(または市町村長の同意)を得る必要があります。選びやすい理由:様々な入院形態で精神保健指定医の人数や役割が異なるため、混同しやすいです。指定医の判断が必要な入院形態が複数あり、それぞれ人数が違うことを正確に覚えていないと間違えやすいです。混同注意:措置入院(精神保健指定医2名が診察し、知事が決定)、緊急措置入院(精神保健指定医1名が診察し、知事が決定)における指定医の人数
国試ポイント
精神保健福祉法における各種入院制度の要件、期間、手続き、および患者の権利について正確に理解しているかが問われています。特に、応急入院、緊急措置入院、措置入院、医療保護入院、任意入院の区別と、それぞれの入院形態における精神保健指定医の役割、保護者の同意の有無、期間の制限、患者の権利(退院請求など)が重要です。
混同注意
応急入院と緊急措置入院の期間、任意入院と医療保護入院における退院制限の可否、措置入院と医療保護入院での退院請求の主体と機関などが混同しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
次に出題された場合は、各入院形態の根拠条文、期間、同意の主体、退院請求の可否と請求先、精神保健指定医の関与の有無と人数について確認し、正確に判断します。
関連知識
精神保健福祉法に定める精神障害者の人権擁護の視点、精神医療審査会の役割、指定医の職務と権限、患者の権利擁護制度(退院請求、処遇改善請求)を関連付けて覚えることが重要です。