Aさん(32歳、女性)は小児専門の病院に勤務していたが、国際保健医療協力プログラムで中央アフリカ地域の州事務所に母子保健担当の看護師として派遣された。この地域は長く紛争が続き、母子の健康状態が不良と聞いた。Aさんが現地で最初に行う業務はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
国際保健医療協力において、効果的な支援を行うためには、まず現地の状況を正確に把握することが最も重要です。特に紛争地域で母子の健康状態が不良であるという漠然とした情報しかない場合、具体的な健康指標(例:乳幼児の栄養状態)をアセスメントすることで、問題の規模、種類、緊急性を明確にし、その後の介入計画の基礎とします。他の選択肢は、具体的な介入や長期的な開発目標であり、現状把握の後に行うべき段階のものです。
選択肢ごとの解説
- 1. 経口補水液の配布は、脱水症状が広く見られる場合に有効な対策ですが、これは介入の一つであり、初期段階で行うべき「情報収集」よりも後のステップです。まずは現状把握が優先されます。正しくは:配布の前に、脱水症の発生状況や原因を把握する。選びやすい理由:脱水症が母子の健康不良の一因である可能性が高いため、早急な対策として魅力的に見える。混同注意:介入とアセスメントの優先順位。
- 2. 正解。紛争地域での母子の健康状態不良という情報がある中で、最初にすべきは現状のアセスメントです。乳幼児の栄養状態の把握は、地域の健康問題の規模、種類、緊急性を具体的に知るための最も基本的かつ重要な情報収集であり、その後の支援計画を立てる上で不可欠です。
- 3. 女性の識字率向上は、長期的な視点で見れば母子保健に良い影響を与えますが、これは教育・開発の側面が強く、緊急性の高い「母子の健康状態不良」に対する初期対応としては適切ではありません。識字率向上の取り組みは、栄養状態などの直接的な健康問題が把握され、ある程度の基盤ができてから検討されるべき課題です。正しくは:まず健康状態の直接的な要因をアセスメントし、その後に教育支援の必要性を検討する。選びやすい理由:教育が健康に良い影響を与えるという一般的な知識から、重要に思える。混同注意:短期的な介入と長期的な開発支援の優先順位。
- 4. 病院での業務把握も重要ですが、紛争地域全体での「母子の健康状態が不良」という情報からは、問題が病院だけでなく地域全体に広がっている可能性が高いと推測されます。限られた病院での情報だけでなく、まず地域全体の乳幼児の栄養状態といった直接的な健康指標を把握することが、包括的な支援計画の策定には不可欠です。正しくは:病院の業務把握だけでなく、地域全体の健康状態の包括的なアセスメントを優先する。選びやすい理由:看護師としての業務は病院と関連が深いため、病院の状況把握が初期業務として連想されやすい。混同注意:病院内の問題と地域全体の公衆衛生上の問題の区別。
国試ポイント
国際保健医療協力における初期アセスメントの重要性と、その中で最も優先される情報収集の内容を問う問題です。紛争地域などの特殊な状況下で、看護師が果たすべき役割の優先順位を理解しているかが試されます。
混同注意
個別介入(経口補水液の配布など)と全体的な状況把握(アセスメント)の優先順位、また短期的な直接的介入と長期的な間接的介入(識字率向上など)の区別。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、初期対応として「介入」よりも「現状把握」「アセスメント」「情報収集」が常に優先されることを意識して選択肢を検討する。特に「どのような情報が最も現状を反映し、その後の計画立案に役立つか」という視点が重要となる。
関連知識
国際保健医療協力のステップ(アセスメント→計画→実施→評価)、プライマリヘルスケアの原則、公衆衛生看護における地域診断、紛争下での健康問題の特徴(栄養失調、感染症、外傷、メンタルヘルスなど)。